海外に出ると、色々な国からの旅人と出会います。そして様々なストーリーが生まれて、恋したり、別れたり、一生の友達ができたり…。このシリーズでは、私が海外で出会った女の子たちの恋物語と、彼女たちから学んだそれぞれの教訓を、イラストとともに紹介します。

自分の恋愛に自信を持つ。女の子が好きな台湾女子

台湾人のエレンとの恋バナは、彼女がレズビアンだからといって特別なことはない。結局、恋の悩みはストレートの場合とさほど変わらない。レズビアンでも、ストレートでも、人を愛する気持ちは同じだ。恋をすれば、楽しかったり、せつなくなったり、幸せを感じたりする。単に、好きになる性別が同性だっただけで、愛の形はすべて美しいし、隠す必要はどこにもない。でも、日本社会を含めてエレンのような同性愛者に対しての理解は、まだまだ少ない。多くのLGBT(レズビアン・ゲイ・バイ・トランスジェンダー)の人は、自己を否定されているように感じるという。そんな中、エレンが常に意識していることがある。

自分の恋愛に自信をもって、自分を好きになろう

日本よりLGBTにオープンな台湾

台湾では、同性愛者は「同志」と呼ばれ、日本より圧倒的にオープンだと感じられているそう。もちろん、ヨーロッパみたいに、職場で堂々と公にできるようなレベルでは、まだない。ただ、台北を歩いていると、ストレートの私が見てわかるくらいに、LGBTであることを隠していないのだ。エレンに会った時も、マニッシュな髪型や服のスタイルを見て、なんとなく女性が好きなのだろうとわかっていた。特に聞くほどのことでもない。仲良くなっていく間に、ガールフレンドがいることがわかったりするわけだ。

最近失恋をしたエレンは、自信を失いがちになっていた。もともとストレートだった元カノからの、猛アピールの末付き合い始めた。本当はまだ男性が好きなんじゃないか…そんな不安がどこかにあった。ただ、元カノはエレンに夢中だった。それが2年が経った今、ほかの女性との浮気がわかり、エレンは自分が感じていた不安以上のショックを受けた。あんなに自分に夢中だった彼女が、なぜ? 自分に魅力がなかったせい…?と原因が理解できずに苦しんだ。でも、そんな自分を戒めるかのように、私にこう言った。

相手が浮気したこと、自分のせいだと思っちゃダメだよね。私、もっと自信持たなきゃ

失恋によって自分を見失っていると自覚があるエレンは、自分にそう言い聞かせて前に進もうとしていた。そのときの感情に振り回されない姿は、かっこよく見えた。エレンがモットーとしている、自分に自信を持つということ。これは、誰もが見習うべきこと。彼女は、特に日本の同性愛者の人にこのメッセージを送りたいと言う。7.6%(13人に1人)がLGBTだと言われる日本で、当人たちがアイデンティティーを隠さないといけないと感じているなら、明らかに社会の理解が進んでいないからだ。もしこれを読んでいるあなたがストレートな場合、まず、あなたの理解が必要だ。LGBTの人たちが気軽にカミングアウトできるようになるには、まだまだ遠い道のりかもしれないが、その日に近づくには、社会のマジョリティーに当たるストレートの人が、ストレート以外の恋愛を尊重できることが大切。

異性愛者だけではなく、同性愛者も同じように恋愛を楽しめる社会では、エレンのモットーと同じく、みんなが自信を持てるようになるはず。そして、自分と同じような日本の女の子たちが「彼女が好き!」と胸を張って公言できるようになる。そんな日が、日本にも必ずくるとエレンは信じている。