ELLE.com>などで活躍する編集者、ノラ・マックナーニー・パーモート。コスモポリタン アメリカ版では、彼女が人生、愛、そして夫を失った経験について綴った、悲しくもおかしい著書『It's Okay to Laugh (Crying is Cool, Too)/笑っていいんだよ(泣いたってOK)』から抜粋した素敵なエピソードを紹介。

人生、誰と何が起こるかわからない!

友だちからジェイコブに新しい彼女ができたと知らされた私は、自分の部屋に閉じこもって入念なFacebook捜査を行った。

「赤の他人であるカレンについて、私は恐ろしいほどよく知っていた。彼女の目の色も、兄弟の名前も、最近の旅行先も、卒業した大学の名前まで。そして、直接会ったことはなかったけれど、私は彼女のことが大嫌いだった。

私の友だち選びは、決していつもこんな入念なリサーチから始まるワケじゃない。だって、私の友だちのほとんどは、出会った時点で自分の"元彼の今カノ"ではなかったから。

ジェイコブ(元彼)が私と別れた後、誰と付き合っていようがどうでもよかった…なんてウソ。彼とヨリを戻したかったからではなく、きっと彼がまだ心のどこかで私を求めていると思いたかったから。もしくは、きっとその頃映画『君に読む物語』が大ブレイクしていて、自分の中で理想の恋愛像を映画と重ねていたからかもしれない。だから、彼がその後誰と付き合っているかが、とにかく気になった。そして、今カノのカレンが私よりもナチュラルなブロンドで、胸が大きくて、(私が8年付き合ってもできなかった)リンゴ狩りなんかに一緒に行ってジェイコブを喜ばせるような女性であることに、心底嫉妬していた。

ある共通の友だちからジェイコブに新しい彼女ができたと知らされた私は、自分の部屋に閉じこもって入念なFacebook捜査を行った。"友だちの友だち"のページから彼女の写真を探し当てて、どれだけ自分より"いい女"かを見極めるために…。

その後ブルックリンのアパート近くのバーでジェイコブとばったり会って、今付き合ってる人がいると知らされたときには、すでに彼女の名前から両親の離婚、持っている服や靴についてすべて知っていたけど、びっくりしたフリをしなければならなかった。

それからしばらくして、ジェイコブから『カレンが君をブランチに誘いたいと言っている』という内容のメールが! 私は驚きを隠せなかった」

誰もが流行りのファッションに身を包みながらも、心の中ではただただ不安に怯える普通の女の子なんだと思う。

「カレンは色白でいかにも白人らしい、想像通りの女性だった。ジェイコブは食事中、終始冷や汗をかきながら作り笑顔を振りまいていたけど、私とカレンはそんな彼をよそに、驚くほど意気投合していった。

自分の中に棲む醜いジェラシーの塊が溶けていき、代わりに誰かに好意を持ったときに感じる純粋な、蝶々の舞うようなウキウキした気持ちが芽生えるのを感じた。私もカレンも少し早口で緊張しながら、お酒を片手にお互いのライフストーリーを止めどなく話し続けた。お互いの冗談にも笑い合った。私たちは同じ本を読み、同じ音楽が好きだった。まるで何年ぶりかに会った幼馴染とランチをしながら、前に会ったときの会話の続きをしているかのようだった。

嫉妬心丸出しだった自分を思い出すと今となっては嫌気が差すけれど、人生は旅のようなもので、その旅にはどん底での途中下車もつきものなのだろう。だって女は、自分が愛した人を魅了する女性が、どんな人なのかをどうしても知りたくなってしまう。自分よりも頭がいいのか、成功しているのか、センスやスタイルがいいか、知りたくなってしまうのだ。インターネットは、そんな疑問に喜んで答えてくれる。でも、私たちはそうしてみんな、いちいちFacebookの"友だち検索"や"ステータス変更"に怯え、投稿を見ては他者と比べ続けながら、自分自身に自信が持てずに生きているのかもしれない。

私たちはきっと、どうしても自分の先や後にくる女性を妬んでしまうようにできているのだろう。彼女たちにまるで不思議な力があるかのように錯覚し、自分より劣っている部分を探しながら、実は劣っているのは自分の方なのではないかという恐怖を抱き続ける。

でも、ジェラシーは無駄足だった。煮えたぎるようなその妬みの向こうには、自分とそっくりな相手がいた。元彼のストライクゾーンがよほど広くない限り、自分の後(または先)にきた"彼女"は、自分によく似ているのかもしれない。私とカレンのように、同じものが好きで、同じものが嫌いだったりするかもしれない。私が意地悪にググりまくっていた相手も、同じように私のことをググりまくっているのかもしれない。誰もが流行りのファッションに身を包みながらも、心の中ではただただ不安に怯える普通の女の子なんだと思う。

ジェイコブとカレンはその後破局し、彼は私たち2人をきれいさっぱり彼の人生から切り離した。私とカレンはというと…ずっと繋がっている。歳月が経ち、遠く離れた場所にいても、今でも大好きな彼女との友情は健在だ。私の夫ががんで病の床に伏し、亡くなったとき、彼女は私の心の支えでいてくれた。そしてまた、彼女が2度の乳腺切除を経験し、肺がんを宣告されたときも、私は彼女のそばにいた。敵について知ろうとして始まった私の旅は、その果てで代わりに友を得た。今では、あのとき芽生えた"ジェラシー"に感謝すらしている」

この翻訳は、抄訳です。

Translation名和友梨香

COSMOPOLITAN US