カミングアウトの経緯はひとそれぞれ。でも、誰だってカミングアウトに至るまでには、悩んだり苦しんだりするもの。カラダの性、ココロの性、好きになる性の組み合わせで分類されるジェンダーやセクシュアリティはとても複雑で、周囲に自分の感じ方を説明するには適切な言葉が見当たらないと感じる人もいるはず。
そこで今回<Seventeen>が、若き5人のLGBTQとアメリカのゲイ&レズビアン同盟< GLAAD >の学生代表たちに、カミングアウトに関する経験談やその心得を語ってもらいました。
1. カミングアウトは一夜にして成らず
ある日、レインボーカラーの雷に打たれて、家族や友人に突然カミングアウト! なんてケースはほとんどないのが現実。「自分が好きになる相手の性が男性だけでないと気付いたのが中学生。そこからカミングアウトするまでは長い長いプロセスだった」と自身のカミングアウト経験を振り返るのは、ジアンナ・コリアーピッツさん。ジェンダーアイデンティティやセクシュアリティは、"スペクトラム(連続体)"であると形容されることがあるように、今日の自分の立ち位置が、時を経て変わっていくということも。
2. カミングアウトは一度で終わらない!
LGBTQへの理解を深める活動に取り組む若者へ<GLAAD>から贈られる「Rising Star grant」を受賞したジュン・パークさんは、カミングアウトを取り巻く誤解について、こう解説。
「 大々的なカミングアウトを一度したらそれで終わりだと勘違いする人が多いですね。実際は、行く先々で何度もカミングアウトする感じなんです。大学で新しい友達が出来たとき、インターンシップで知り合った同僚とランチをしているとき、気になる人が現れたとき。何度も繰り返してカミングアウトしていると、少しずつ簡単にできるようになってきますよ」
3. カミングアウトは心の準備ができてから
「カミングアウトを考えているティーンのみんなに伝えたいのは"自分のペースでいい"ということ。周囲には、若いうちにカミングアウトする子もいるかもしれない。その子たちはそれで楽になるかもしれないけど、焦らないで。カミングアウトは、自分の心の準備ができてからするように」とジアンナさん。
4. カミングアウトで解決する問題も?
カミングアウトによって、それまで抱えていた問題がすべて片付くわけではないにしても、「これでオープンに生きられる」という大きな安堵感に包まれることはあるよう。「GLAAD Rising Star grant」受賞者のC.マンドラーさんによれば「高校時代はひどい鬱だった。カミングアウトしてからは、毎朝起きる度に自分が何者なのか、自分には何ができるかということに100%の自信を持てるようになった! …とまではいかないけど、前よりはずっとずっといい気分」とのこと。
5. 自分の身の安全が1番
「自分の話を聞いてもらうのは大事だけど、あなたの身の安全の確保は何よりも大事。カミングアウトするのが危険だと感じるなら、状況が好転するまで何年か待ってみてもいいはず」と、リア・ジュリエットさんはアドバイス。
6. LGBTQコミュニティーが心の支えに
カミングアウトによって自分の立場が危うくなったり、家続や友人から必要なサポートを受けられないと感じた場合、LGBTQコミュニティーやLGBTQサポート団体に助けを求めるのも1つの方法なのだそう。
「苛立ちはよくわかります。ツラくてしんどいこともあるし、ダメージの大きな負のスパイラルにはまって、抜け出すのが大変だったりもする。でも、他人にどんなレッテルを貼られるかより、LGBTQコニュミティーに自分が属しているということが、高校生の自分には大きな救いだった」と、ロワン・ヘップス・キーニーさん。
7. 自分で自分を支える方法も模索する
海外では有色人種がカミングアウトをする際、より多くの壁が立ちはだかることもある、と打ち明けたジュンさん。でも大事なのは、自分の経験を活かしつつ、似たような状況にいる人への理解を深めること。
「有色人種のLGBTQ学生の場合、カミングアウトには厄介で気が遠くなるような仕打ちが待ち受けているものなんです。誰もそんな事実は教えてくれなかったので、かなり苦労しました。そんな自分にとって、LGBTQのための活動が、自分のトラウマや自分を取り巻く環境に立ち向かう手段でした」
8. ひとつのセクシュアリティに固執しなくてもOK
自分が選んだLGBTQの分類は、一生変えられないというわけではないそう。ロワンさんが高校時代にカミングアウトしたとき、一番悩んだのは、自分がどのセクシュアリティを名乗ればいいか選ぶことだったのだとか。「自分はバイセクシャルなのか、レズビアンなのか。また男性に恋をすることもあるのか。レズビアンだとカミングアウトした後に、男性が好きになったらどうしよう? 周囲は許してくれないかな? なんてことを、ずいぶん長い間悩みました」。でもそれについて、辿り着いたのは"自分が好きなようにすれば良し!"という答え。
「今では友達も"だって私たちはLGBTQなんだから"と、ひとつのアイデンティティに囚われたりしていません。でも高校生のころは、自分が属するコミュニティーがたまらなく欲しかった。きっと、自分に相応しいセクシュアリティが何かを見極めたかったのだと思います」
9. 周囲のLGBTQをインスパイアすることも
ティーンのときにカミングアウトしたC.マンドラーさんは「高校の後輩から、"私もLGBTQなんです。学校では今日まで誰にも言ったことが無かったけど…。こんな近くに自分以外にLGBTQの人がいるなんて思ってなかった"と打ち明けられた」そう。もちろん、嬉しくてすぐに「仲良くしようね!」という流れになったんだとか。
今は堂々と自身のことを語る彼らも、かつては深く思い悩んでいた1人。そんな彼らの言葉が、あなたにとってベストなカミングアウトを考える時のヒントになりますように。
※この翻訳は、抄訳です。
Translation: シャー順子