自分にぴったりの「運命の一本」を探す性の放浪者

ドラマ『セックス・アンド・ザ・シティ 』をネタに、笑っちゃいけないが思わず笑う【SATCセックス図鑑 】。最終回の今回は、ついに大御所登場の【サマンサ・ジョーンズ編】をお送りします。PR会社の社長を務めるサマンサは、愛情抜きで純粋にセックスを楽しむことのできる女性。「1000人斬り」を地でゆく"マンハッタンの伝説"ともいうべき存在です。

セックスに対する征服欲と探究心は貪欲そのもの。SMの小部屋を持つ弁護士、バイアグラ男、エロ消防士コスプレ、ゲイカップルとの3P、不倫、大富豪の72歳のおじいちゃん、大学生の筆おろし、あらゆる体位のエキスパート、スパイごっこ、赤ちゃんプレイ、ブランコ・セックス、生クリームプレイ、レズビアンとの関係……字面だけではどんなプレイなのかわからないものすらあったりするほど、奇想天外なバリエーションは枚挙にいとまがありません。

こうしたセックスの放浪を通じて、彼女が探しているのは「自分にぴったりの一本」です。初めて本当の恋に落ちたと思えた相手は、たとえて言うならモンキー・バナナ。快楽を全く得られない関係に悶々としながら、それを言い出せぬまましばらくデートを続けるのですが結局は破局。やっぱりサイズは大事!と気持ちを新たにしたサマンサでしたが、ほどなく町でナンパしてきたいい男のあまりの大きさ(大きいすりこ木くらいと推定)にセックスを断念するという異常事態が発生。さらにレズビアンのアーティスト、マリアとの関係を通じ、サマンサ自身「自分にぴったりの一本」はサイズではなく、「心をひとつにしてくれるもの」だと気づきます。

ど派手なファッションと貫禄の脱ぎっぷり、サマンサはSATCの真の主役pinterest
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サマンサをして「たかがセックス」と言わしめた男

そこからのサマンサは、ある意味サマンサらしからぬ「セックスと恋愛の両立」を意識した関係に突き進んでゆきます。そのひとりが、シーズン4で付き合い始めた年上のホテル王、リチャード。サマンサが自ら「愛している」と自ら告白するまでにのめりこんだ最初の男です。これまでのセックスだけの男とは一味違うリチャードは、夜のプールで裸で泳ぎながら、といったムーディーなラブシーンも演出、あのサマンサがメロメロに。ところがメロメロになるあまり、独占欲と嫉妬に狂ったサマンサは、そんな自分自身に嫌気がさして、自ら別れを切り出します。

そして現れた「運命の人」は、俳優志望の年下男スミス・ジェロット。そのセックスの楽しさに一時はハマったサマンサでしたが、彼のPRを買って出てからは一転、「商品には手を出さない」的にスミスと距離を置き始めます。それでも無邪気にサマンサを愛するスミスを遠ざけようとリチャードと再び関係を持つのですが、これはサマンサにとって全シーズンを通して唯一の、これっぽっちも気持ちよくないセックスになります。すべてを承知で許してくれたスミスに、半べそで後悔を口にする場面は屈指の名シーンです。

スミスの一途な愛情にはそりゃもう多くの女子が泣かされたと思いますが、彼の最大の功績は、サマンサをして「私たちの関係はもっと深い。たかがセックスじゃない」と言わしめたことでしょう。実のところ「運命の一本」は、セックスとは無関係であることは、セックスの放浪者、サマンサが言うからこその説得力に違いありません。

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