現在、アメリカで深刻な問題となっている大学内でのレイプ事件の増加

そんな中、昨年11月からアメリカのMTVで放送開始となったドラマSweet/Vicious(原題)』が話題となっているそう。このドラマは、大学生であるジュールズとオフィリアの2人が、大学生活の傍らレイプを取り締まる自警団として活動する姿を追うという内容。ブラックコメディでありながら、性暴力という深刻なテーマを扱っていることで、注目を集めることに。

そこでコスモポリタン アメリカ版が、本作の主演キャストであるイライザ・ベネットテイラー・ダーデンの2人に、強く頼もしいキャラクターを演じることや、女同士の友情、性暴力やレイプというトピックをテレビで扱うことなどについて、話を聞きました。

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Sweet/Vicious (Season 1) | Official Trailer | MTV
Sweet/Vicious (Season 1) | Official Trailer | MTV thumnail
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『Sweet/Vicious(原題)』アメリカのMTVにて放送中。※日本放送は未定。

――このドラマの背景には、(アメリカにおける)キャンパス内での性暴力に対する意識の高まりが見てとれますね。そういった背景は、台本を読み、役に挑戦し、演じる上でどれくらいお2人に影響しましたか?

イライザ:撮影に入ると同時に、すごく大きな責任感を感じたわ。見る人に対して、ジュールズの人となりをしっかり正しく伝える必要があると思ったし、制作陣やプロデューサーたち、脚本チームのサポートは本当に心強かった。彼らはしっかり下調べを済ませていたし、ドラマのストーリーをより説得力のあるものにする為、私たち全員で出来る限り多くの"サバイバー(性暴力の事件を乗り越えた人たち)"から話を聞いたわ。

仕事を離れたところでも、長い付き合いになる友人何人かが勇気を出して、過去に性暴力を受けた事実を打ち明けてくれたの。私がこの仕事を引き受けたことがキッカケになったみたい。自分たちの身に起きたことなのに、警察に通報できなかった女性たちよ。向こうから打ち明けてくれるまで、知ることは無かったでしょうね。

テイラー:私とイライザは、撮影を始める前にジョン・クラカワーの『Missoula(原題)』(学生のレイプ被害発生率が高いモンタナ州ミズーラについて書かれた書籍)や、『Hunting Ground(原題)』(米国キャンパス内におけるレイプ被害者の実情を描くドキュメンタリー)も観てリサーチを重ねたの。難しかったわ。本当に紙一重な部分を演じなきゃいけなかったから。私たちはドラマの中で、性暴力について多くのことを見せ、明らかにしつつ、でも超えてはいけないラインは守って、誠実に、多くの人の支えになるような内容を語ることができていると思う。『Variety』誌には、性暴力がこれまでいかに無神経に利用されてきて、いかに多くの作品の中で"衝撃シーン"として描かれているかっていう内容の記事があったわ。『Sweet/Vicious(原題)』では、性暴力をそういう風には扱っていないの。代わりに、実状をよく知る女性たちによって、ハッキリと、リアリティをもって話が作られているのよ。

――ジュールズとオフィリアがレイプ犯たち全員に反撃をするシーンは、演じてみてどうでしたか?

イライザ:皆さんご存知の通り、暴力を解決するのは暴力ではない、ということはまずはっきりさせておきたかった。でも、自警団を演じられたのは、ちょっといい気分だったわ。カッコイイし、戦いのシーンの撮影にも取り組めたしね。もちろん私たちは、色んな人の心に重くのしかかる、実在する問題をトピックとして扱っているけれど、実際の現場は和やかな雰囲気で撮影を進めることができてるの。

――ジュールズとオフィリアの友情が、このドラマの"肝"になりますね。2人の友情を、言葉で表現すると?

イライザ:私が思うに、ジュールズは自警団としての彼女の在り方を、まだ整理がつかない自分の心の傷に対する"絆創膏"として捉えていて、オフィリアとの友情は、その傷が癒えていく上で無くてはならないものなの。話が進むにつれて、ジュールズのトラウマも掘り下げられていくし(掘り下げる必要もあるし)、オフィリアはそこでジュールズが自分の内面と向き合うために背中を押してくれる存在なのよ。ジュールズは他の人のためには行動できる人物だけど、自分自身のトラウマと向き合う時、彼女は完全に麻痺してしまう。実はその様子は、私達が繰り返し"サバイバー"たちから聞いた、レイプ犯たちとキャンパス内で何度も顔を合わせたり、関わる必要があったりした時の様子と同じなの。

親友を演じるという点では、これはとても簡単だった。テイラーと私はすぐに仲良くなったから。2人ともLAにいるし、本当に毎日会ってるの。仕事仲間で、こんなに短期間で、こんなに親しい仲になった人は初めてよ。今に至るまで、あんまり仲のいい女友達って私には居なくて、だから人間関係が上辺だけになりがちなイメージのLAで、私の"女の友情"に対する考えを変える女性たちに出会えたのは、何だか皮肉な感じがするわ(笑)。

テイラー:このドラマの「#SquadGoals(理想の仲間、を意味するハッシュタグ)」は勢いを増していくばかりね。

――このドラマのプロデューサーは1人の女性が担っていて、他にも多くの女性スタッフを巻き込んでいますよね。パイロット版の台本にもこういった部分は表れていましたか?

イライザ:パイロット版の台本を呼んだ瞬間から、これは女の人が書いたに違いないと思ってた。

テイラー:通常だと、例えば女性のアクションヒーローが登場するような、"女性が前に出る"映画やドラマを見ても、やっぱり最後は男性の助けが入るんですね。本当に、どれ見てもそうなの! でも、私たちのドラマはそうじゃないんです。

――このドラマを見る人に感じ取って欲しいことは?

テイラー:出来ることなら、みんなにこのドラマを見てもらって、「教育」こそ本当の"特効薬"だと認識してもらいたいです。私たちは、例えば顔見知りの人をレイプするような、ひどいことをする人は無条件に「悪者」扱いしますよね。でもその人物自身は、自分のしたことがどれほど悪いことなのか理解できていない、ということもありえるんです。知っていくほど興味深いことなんですが…悪いことをしてしまったにも関わらずその自覚がない男性はどうなるのか…それはシーズンの後半で明らかにされていきます。

若い女の子たちはみんないつも、「短過ぎたり、タイト過ぎる服は着ないこと」、「お酒を飲むなら、自分の面倒を見てくれる人と一緒に飲むこと」と教えられてきました。でも、誰も若い男の子を座らせて、「女の子が酔っぱらってマトモに喋れなかったり、イエスと言わない時は、何もしないこと」とは教えません。男性がレイプをしないように言って聞かせるのではなく、女性がレイプされないように気をつけなさいという捉え方なんです。個人的には、やっとみんながこのことを話題にし始めてくれたことを嬉しく思っています。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation:Mai

COSMOPOLITAN US