オークションハウスって誰でも入ることができるの?

前回はアンティークマーケットをご紹介しましたが、ロンドンのセカンドハンドといえば、やはり「オークションハウス」です。

ただ、私たちがオークションという言葉から思い浮かべるのは、ニュースを賑わす数千万や億単位の絵画やジュエリーを売り買いする場所というイメージではないでしょうか。

きっと招待状が必要で、ドレスアップも必要で、とても普通の観光客なんか入れないんじゃ…なんてイメージがあるかもしれませんが、実は全くそんなことはありません。

日本円でも数万円程度で買える

ロンドンでは、古物のやり取りが盛んなだけあり、そのジャンルもさまざまです。取引される品物の価格帯も幅広く、日本円でも数万円で落札できるような価格の品物が集められているオークションも存在します。そして、世界的にも有名な「Sotheby's(サザビーズ)」や「Christie's(クリスティーズ)」などのオークションでも、基本的には誰でも中に入ることができるのです。

オークション会社の公式サイトには、オークションの日程が掲載されています。ほぼ毎月、切れ目なくセールが開催されているので興味のあるジャンルを探してみると良いでしょう。

サイトの中にある「Exhibition Times」という単語を探して下さい。載っている日程は「Preview」、日本では「下見会」と呼ばれる日程のこと。開催地はロンドン以外もあるので、気を付けてチェックしてみてくださいね。

下見会では、セールにかかる品物すべてが展示され、自由に見学することができます。絵画やインテリアはもちろん、東洋の工芸品、高級ブランドのジュエリーも、好きなように見ることができてしまいます。ジュエリーはよほどの高額商品でなければ、ショーケースから取り出してもらい、身に着けて見ることもできます。

ロンドンの有名オークション会社 サザビーズpinterest
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ロンドンの有名オークション会社 サザビーズ

会場の出入り口にはスタッフやガードマンが立っていますが、「下見会を見学したい」と言えばまず止められることはありません(セールの内容によっては、身分証の提示を求められることもあります)。あまりラフすぎる格好は避けた方が良いかもしれませんが、スマートカジュアル程度のスタイルなら十分でしょう。

受付では、セール品の写真と落札予想価格が掲載されたカタログが販売されています(会社によっては公式サイトで写真と落札予想価格を見ることも)。過去のカタログについてもバックナンバーも購入可能です。写真がとても美しく、美術館の画集と同じくらい楽しめますので、おすすめですよ。

気軽に、お茶を楽しむような気持で

下見会で十分に品物を見極めたら、いよいよセールの当日です。ニュースになるような高額品のセールは指定席制ですが、多くの通常のセールは下見会と同じく、誰でも入場できます。入札希望者は登録が必要になりますが、当日登録も可能ですし登録料もかかりません。ただし、落札価格に手数料がかかります。

映画やドラマでは、オークションが始まるとオークショニア(檀上でハンマーを持っている人)が品物を見せつつ長い説明をしますが、実際はそこまで長くはかかりません。落札者もカタログと下見会で十分に品物を見てから入札するので、想像よりもかなりスピーディーに行われます。

入札希望者は入札者番号の書かれた番号札を渡されますので、入札したい品物の番になったら札を掲げます。といっても、仰々しく上に挙げる人はそんなにおらず、そっと膝の上で指先を立てるだけで入札意志を示す参加者もいます。オークショニアが金額を釣り上げて行く中で、「これ以上の金額は出せない」と思ったら札を下ろします。最後まで札を挙げていた人に落札が決まり、ハンマーの音が響くという訳です。

美術館や博物館も充実しているロンドンですが、実はオークションハウスもそれらと同じくらい貴重な美術品や工芸品、ジュエリーを見ることのできる穴場です。しかも会社や建物にも歴史があるので、壁に何気なくかかっている絵がミレーだった!なんて経験もできます。

最も有名な「Sotheby's」の本店は、ロンドンのニューボンドストリートにあります。ここにはティールームも併設されているので、観光客もたくさん出入りしていますから、初心者でも気軽に入ることができるでしょう。お茶を楽しむついでに、オークションの世界を覗いてみるのもいいですね。

サザビーズのティールームpinterest
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サザビーズのティールーム