自分だけの宝探しができる、ロンドンの隠れた宝石街

博物館や美術館を見て回るのも楽しいのですが、やはり自分で身に着けることを想像しながらのジュエリーショップ巡りは楽しいもの。

ロンドンでのショッピングといえば、世界でも屈指のトップブランドショップや高級宝飾店が軒を連ねる「ボンドストリート」がよく知られています

ハイクラスなショップの路面店が並ぶ通りでは、ジュエリーもカルティエやティファニーなどの有名店で最高級の品々を目にすることができますし、華やかなディスプレイを眺めているだけでもワクワクします。

ロンドンの高級宝飾店が並ぶボンド・ストリートpinterest
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ロンドンの高級宝飾店が並ぶボンド・ストリート

とはいえ、ハイブランドの路面店は敷居が高く、入りにくく感じるのも無理はありません。それに、なかなか手が出ない高額な商品が多いのも事実です。

もちろん、品物を眺めるだけなら「ハロッズ」や「セルフリッジ」といった有名な大型デパートも路面店よりは気軽に覗けます。が、お値段は同様に高嶺の花になりがちです。

そこで、ガイドブックにはあまり載らない、隠れた宝石街をご紹介します。

ジュエリービジネスの心臓部「Hatton Garden(ハットンガーデン)」

ロンドン中心部を東西に走る、地下鉄セントラルラインの「Chancery Lane(チャンスリー・レーン)」という駅があります。かの「大英博物館」があるHolborn駅の近くです。そこから歩いて数分の「Hatton Garden(ハットンガーデン)」という名の通りがあり、その一角がロンドンのジュエリービジネスの中心地です。

といっても、ここはボンドストリートのようなきらびやかな街並みではありません。集まっているのは宝石の卸商、ジュエリー制作や修理の工房など、まさにジュエリービジネスを支える心臓部のようなお店たちの街なのです。

ロンドンの隠れた宝石街 ハットン・ガーデンpinterest
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ロンドンの隠れた宝石街 ハットン・ガーデン

東京にも御徒町という、日本でも有数の宝石商の卸街があります。宝石の卸商や鑑別会社、ジュエリーデザインの学校などが集まっているのですが、ハットンガーデンも同じ。

歴史はさすがロンドンだけあり、日本の宝石街よりもかなり古く、すでに中世からロンドンの宝飾産業の中心地になっていたといいます。実はあの高級時計ROLEX社も1900年代のはじめにここで誕生しました(※その後スイスに移る)。

観光客でも気軽に、卸値で

卸商というと業界向けのイメージがあります。卸商から直に買い物ができればお得なのは間違いないとはいえ、一般客は嫌がられるのでは? と気になるかもしれませんが、ハットンガーデンはそこまで厳しいわけではありません。

ショーウィンドウには「70OFF」など、値引きを目立たせるディスプレイが目立ちます。特に注意がなければ、大きなショーウィンドウを設けて品物をアピールしているお店ならまず入店を断られる心配はありません。観光客が集中するショッピング街よりも、かなりお得にジュエリーを選ぶことができます。

英国の宝飾卸街のショーウインドウpinterest
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英国の宝飾卸街のショーウインドウ

ジュエリーの価格の基準というものは、一般の人には分かりにくいものです。目立つのは有名店の驚くような値段のものが多く、感覚が掴めないと思いますが、このハットンガーデンの店を見て回れば、ジュエリーの相場というものを少し感じ取れるかもしれません。

アンティークの掘り出し物が見つかる?

宝石の買取店もあるので、古物としてのジュエリーを販売しているお店もあります。新品にはないアンティークの掘り出し物を探す楽しみもあります。

ブランド品ではないジュエリーは格が落ちるのでは…? という心配もあるかもしれませんが、それは全くの無用です。ハットンガーデンは前述のようにデザイナーの工房も多いので、たくさんの職人がここで腕を磨き、デザインを学んでゆくのです。決して高級店に引けを取るものではありません。

ブランドネームだけではない個性や伝統を感じさせるジュエリーが眠っているかもしれない、宝石の街。宝探しのように、あなただけのジュエリーを探しに行ってはいかがでしょう?