ボルドーやトスカーナの赤ワイン、モーゼル渓谷の高級白ワイン、シャンペン、スコットランドのシングルモルトウィスキー、ハンガリーの貴腐ワイン、アイリッシュウィスキー…最高級のものが手頃な価格で楽しめるのがヨーロッパ旅行の醍醐味。
が!欧州旅行で忘れてはいけない飲み物があります。それが「ビール」。欧州人に最も愛され、しばしば食事と共に発展してきたビールこそ、その地域性を表している飲み物なのです。
そこで今回読者の皆様をヨーロッパ縦断ビールの旅にご案内。仲のいい友達と一緒に、または彼と一緒に、ビールと名物料理を楽しみましょう。
アイルランドの名物ビール:ギネス
ギネスの歴史は古く、1759年に創業者アーサー・ギネスがすでに使われなくなっていたセント・ジェームズ・ゲート醸造所を年間45ポンドで9000年間借り受ける契約を交わし、ドライスタウト(ギネス)の生産を開始。1769年にはすでに輸出を開始している(主にイングランド)。
材料は、水、大麦麦芽、ホップ、醸造用。大麦の一部を蒸して挽き割りとしてローストし、黒ビール独自の味と色味を出しています。
栄養価が高く「かつては妊婦に飲ませると良い」と言われたギネスだけど、実は意外とヘルシーで、オレンジジュースや普通のビールよりもずっと低カロリーなのが嬉しい。ダブリンに来たらギネスの醸造所ツアーは絶対に訪れて。
【ギネスと一緒に食べたい食事】
ビーフ&ギネスシチュー、チップスと呼ばれるフライドポテトが最高。
【東京でギネスが楽しめる場所】
東京で20年以上愛されているのが、アイリッシュパブチェーンのダブリナーズ。ギネスはもちろん、ビーフ&ギネスシチューやフィッシュアンドチップス、パブの定番ムール貝、アイリッシュウィスキーのジェイムソンも楽しめます。
スコットランドの名物ビール:デュカースIPA(インディアンペールエール)
名物ビール:ヴァイツェン(フランツィスカーナー)
ビールを愛するバイエルン地方の人たち。特にこの地方に来たらヴァイツェン(白ビール)がおすすめ。代表銘柄はエルディンガーやフランツィスカーナー。バナナを思わせるようなフルーティーな風味と、爽やかな飲み口。こちらの写真は人気のフランツィスカーナー。
【一緒に食べたい食事】
各種肉料理はもちろん、ソーセージや肉料理、ザワークラウト。ポムスと呼ばれる細いフライドポテトとシュニッツェル。現地で飲むなら南部独特のパン、プレッツェルと茹でた白ソーセージ、または手打ちパスタのシュペッツレがピッタリ。
【東京でヴァイツェン(白ビール)が楽しめる場所】
フランツィスカーナーが飲めるのが、六本木にあるフランツィスカーナーバー&グリル。都内に店舗が数件あるようです。また、新宿や渋谷に店舗を構えるツムビアホフでは、ミュンヘンの名所、ホフブロイハウスのミュンヘナーが味わえるんだとか。
名物ビール:ピルスナーウルケル
さっぱりとした黄金色のホップの効いたコクがありながらさっぱりした味わいは、日本人にはホッとする味。各種個性的なビールに飽きた時に嬉しい。
【一緒に食べたい食事】
サワードウブレッド(黒パン)にチェコ名物のグーラッシュやソーセージがピッタリ。
【東京でピルスナーウルケルが楽しめる場所】
本郷にあるテイルズエールハウスではなんと本国から樽でピルスナーウルケルを輸入。貴重な生ビールが楽しめるんだとか。
名物ビール:1664(セーズ・スワソン・キャトル)
近年はブランシェ(白)も人気の1664。夏は戸外のカフェで冷たく冷えたセーズを飲む人々の姿が。
【一緒に食べたい食事】
ストラスブールにいるなら、肉とソーセージとザワークラウトを煮込んだシュークルートや、薄いピザのような生地にサワークリームとベーコンを載せて焼いた香ばしいタルトフランベがオススメ。もしくは、フランス人の大好物スティックフリット(ステーキ&フレンチフライ)をお供に。
【東京で1664が楽しめる場所】
本郷のブラッスリー・ジョンティなら1664にぴったりのタルトフランベやシュークルートも提供しています。
▼ベルギー
ビールの旅の最終目的地は、やっぱりベルギー。美しいアルザスからルクセンブルグ経由でドライブすれば2時間ほどでベルギーに到着。ビール好きならベルギーは聖地と言っても大げさではないはず。国内に120以上の醸造所、1000種類以上の銘柄が存在するベルギー。ベルギーのビール醸造は、かつて安全な飲料水が手に入りにくかったため、安全な飲料の確保として発達したのがきっかけ。ラガー、エールの他、自然発酵のランビックの3種類があるのが特徴。製法も修道院で作られるビールのスタイルを踏襲したトラピスト(シメイ、オルヴァルなど)、アビイビール(レフが代表)、ホワイトビール(ヒューガルデン)、ラガー(ステラアルトワなど)、レッドビール(デュシャス・ド・ブルゴーニュ)、ランビック(ベルビュークリーク)など、多種多様。
名物ビール その1:トラピストビール
中でもぜひ飲んでおきたいのはトラピストビール。日本でもおなじみのシメイなどトラピストビールはグラスに入れて供されるのが普通。アルコール度数が高いので飲みすぎないように。
【一緒に食べたい食事】
山盛りのムール貝にフレンチフライ、牡蠣、チーズプレート、生ハムやイベリコハムにライ麦パンやピクルスを添えたもの、パテなど、個性的なベルギービールにはしっかりした味のものがよく合うようです。
【東京でベルギービールが楽しめる場所】
ベルギービールといえば、渋谷の隠れ家的バー、ベルゴ。何と100種類ものベルギービールを揃えているそう。ベルギービールだけでなく、世界各国のレアなビールも味わえ、牛肉のビール煮込みやムール貝など、ヨーロッパのおなじみの食べ物も揃っているのも嬉しい!