【悶々95】圧倒的な権力に、セックスを強いられる「侍女」たち

ゴールデングローブ賞で話題のドラマは、まるでハリウッドの寓話。

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女子たちのゴールデングローブ賞で、話題をさらった『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』

年末年始は皆さん何をしてお過ごしでしたか。私は見るべき映画&ドラマを片っ端から見る!そして食べたいものを食べる!という2週間を過ごし、まんまと太もも内側あたりがムチッとしてしまった気がします。気のせいだといいけど、そういう時ってたいていが気のせいではありません。最近はストリーミングのおかげで、TSUAYAにすら行かずに済んでしまうので、健康的に運動不足的に非常に良くないとは思うのですが、ほら年末年始ってホントに寒かったじゃないですかあ。外に出るのも億劫だし。

もちろんそれだけじゃありません。ストリーミングはCMがない上に一気見できるし、何しろ面白すぎ。特に映画並みの制作費が投入されたオリジナル作品は、手抜きとか安っぽさとかまったくないし、「お茶の間コード」がないので、「子供が酒を飲む場面はマズかろう」とか「タバコは教育的にいかがなものか」みたいな、偽善的なウソや手ぬるい表現もない。「原作もの」であれば、一番面白いところ/大切なところが端折られた!みたいなことが起こりにくいんですね。

なんでこんな話してるかっていうと、今回はこの間のゴールデングローブ賞のテレビドラマ部門で作品賞含め8部門を総ナメにしたHuluのドラマ『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』の話をしたいから。物語が描くのは、戦争を経て成立した近未来のアメリカらしきキリスト教原理主義の「ギレアデ共和国」。出生率が下がったその国では、生殖能力のある健康な女性は「侍女」として権力者に仕えることを強制されているのです……!

「誰かの苦しみ」なんて知ったこっちゃない、オメラスの人々

主人公はギレアテが成立する寸前にカナダに逃げようとして失敗した若い母親オブフレッド。娘と夫と引き離され養成所に閉じ込められた彼女は、「侍女」としての教育を叩き込まれます。ここを仕切っているのはそうした体制に完全に順応した年配の女性たちで、逃亡を図ればボコボコに。さらに配属された権力者のもとでは、「女は家庭に入るべき」という考えの、でも子供を産めない妻が彼女を虐げます。お決まりの赤い服を着せられ体制に監視された「侍女」は、財産も自由も完全に奪われたまま、日々セックスを強いられ――って、マジで絶対無理。

つまり描かれているのは、権力を持った男たちに「モノ」のようにセックスを強いられる女たち、そういうシステムを当然のものとして受け入れ、さらに支えることさえしている「まるでハリウッド」な女たちなんですね。この原作をこのタイミングで映画化したHuluってすごいわと思うのですが、単なる時代の偶然ではなく、もしかしたら「白すぎる男すぎるオスカー」あたりからそういう空気はあったのかもしれません。昨年の1月には、国連UNウィメンの親善大使、エマ・ワトソンが、女性権利擁護のキャンペーンとして、この本100冊をパリの街のあちこちにメッセージカードとともに隠す(もちろん誰かに見つけてもらうために!)というイベントもやっています。

私はこの作品を本で読んだのですが、正直に言えば結末まで追い続けるのはかなりキツい作品です。ドラマ作品をすでに見た海外の知人も同じことを言っていました。でも、それでもこれがアメリカで話題になり評価されるのには、きっとそこに通じる真実をみなが感じているからでしょう。そうした時代も、アメリカでは終わっていくのかもしれない――そんな風に感じたのは今年のゴールデングローブ賞の――例えば監督賞の発表の際、「候補者はこちら、すべて"男性"の方々です」とここぞとばかりに男性優位をぶった切ったプレゼンター、ナタリー・ポートマンの本気の表情――を見たからでしょうか。

ふと私は、『オメラスから歩み去る人々』という短篇小説を思い出します。「オメラス」は非現実的なまでに美しく幸せな町。でもその一角、窓のない地下の小部屋に閉じ込められ、惨めな生活を送っている一人の子供がいます。実はオメラスのすべての幸福は、この子供の悲惨な日々の犠牲のもとに成り立っているんです。つまりこの子供を救えば、住人たちの幸福はすべて崩壊してしまう。「醜い真実は見ないで済ませたい」「他人の苦しみなんて知ったこっちゃない」。人々はそんな風に思って、繁栄と平和を享受し続けるのか?というお話です。

ともあれ、日本でも今年配信されることが決定した『侍女の物語』。たくさんの人が見て、何か感じてくれるといいんだけどな~。

『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』

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