女子がつい言ってしまう「やっぱり女子ってこうなんだよね」

先日『ユダヤ人を救った動物園』のPRで来日したジェシカ・チャスティンさんにインタビューしたのですが、原稿からさえ「素敵女子のいい匂い」が漂いそうなその魅力の詳細はこちらの記事に譲るとして、私が一番印象に残ったのは「"女の敵は女"なんて、世間による刷り込みでしかない」という言葉です。確かにそうかもしれないなあと思ました、私。

例えば私の知人の、こんな話を最近聞きました。彼女は会社員で、所属する部署はメンバーのほとんどが女子です。以前は別にさほどの問題もなく回っていたのですが、仕事上のあることがきっかけに歯車が狂いだし、なんだか妙にギクシャクしている。彼女は、仲良くやっていると思われた部下の一方からもう一方への不満を聞かされ、その一方で彼女自身も上司へのモヤモヤを抱えている――彼女はいいました。「女子ってやっぱこうなんだよね」。これ彼女に限らず、私を含めた女子がつい言ってしまうセリフです。

いやでもね。「AとBが仲が悪い」「ABに嫉妬している」みたいな状況は、どこにでもほんとに掃いて捨てるほどありますが、ABが男同士もしくは男女だったりすると、個人と個人の関係で「ただ仲が悪い」「ただ嫉妬してる」以上の意味も以下の意味もありません。「アツミさんが、同僚の**くんを"使えねえくせに偉そうに"って言ってた」「まあアツミさん口悪いけど、確かにあいつ使えないもんね~」で終わりますね。ところがこれが女子同士になると。「アツミさんが同僚の**ちゃんのこと"使えねえくせに偉そうに"って言ってた」「え~それ嫉妬してるんじゃないの」「女の争いって怖い~」みたいになってしまいます。

この場合の可能性として、アツミさんは「どちらにも頭に来てるだけ」かもしれませんし「どちらにも嫉妬してる」のかもしれません。ところがなぜか相手が女子の場合だけ、そこにある感情のネッチョリ感とかドス黒感のみが抽出され、「女子だから」的にまとめられがち。これぞ刷り込みです。そしてその刷り込みは、「私、なんか嫌われているのかも」と感じた人の中で、「やっぱり女だから」的な偏見を補強してゆきます。

他の女子に嫉妬して落ち込んだ時、シャロン・ストーンがしていること

でもね。私は、もう史上最強に自信満々に断言したい。現在の日本社会に於いて「ABに嫉妬」パターンの「ネッチョリどす黒いランキング」を作れば、1位を競り合うのは、「Aが男でBが女の場合」と「ABも権力持ってる男の場合」です。以前、まだ社会経験の浅い20代の女子に「男の嫉妬は女の比じゃない」と何の気なしに言ったら、「え?そうですか?」とポカーンとされたことがあるのですが、私は言いたい。君は男の嫉妬ドス黒ドラマ『半沢直樹』を見とらんのか。そしてそれがリアルだという証拠に、トップの人たちがライバルの追い落としに夢中になるあまり、倒産の危機に直面しているあの大企業、TOSIB●を知らんのか。

もちろん私は「アツミさんは清らかな仏様みたいな人だから、嫉妬なんてしません!」と言いたいわけではありません。あの人の華やかな活躍が妬ましい、なんでこんなゴージャスな暮らしを、いいやね美女はちやほやされて……という具合に、アツミさんもしょっちゅう僻み妬み嫉みをしているでしょう。そんな時に、私(ワタシなのか!)は『デブラ・ウィンガーを探して』の、シャロン・ストーンの、この言葉を思い出します。

「普通落ち込んじゃうでしょ。相手が自分より力があるって感じた時。(中略)私はジュリアン・ムーアにはなれない(泣)って。でもその後は割り切っちゃうの。私は私、彼女は彼女の良さなのよ。それでいい。きっとこうしたほうが自分にとっていい刺激になる。(中略)あえて自分から向かって行って、しっかり受け止めること、そして理解すること。それが自分の力を引き出してくれる。(中略)どうしてもダメな時はベッドから出ない。1日中ね(笑)」

ということで1年間頑張った女子たち、安らかな寝正月をお過ごしくださいませ。

デブラ・ウィンガーを探して

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