育ててくれた人、すべてに感謝したくなる!【よしひろまさみちの私的エンタメ】

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先週末から公開された『20センチュリー・ウーマン』。サブカル好きな人だったらもうチェック済みかな~。じつはこの映画の公開前夜に新宿ピカデリーで『20~』とマイク・ミルズ監督の前作『人生はビギナーズ』(Netflixでも配信中)の特別連続上映がありまして~。その上映前に映画コメンテーターのLiLiCo姐さんにお話を聞くというイベントをいたしたんですな。イベントがあったから、ではなく、そもそも問題でこの映画、あたしは大好きなんだけど、思い出せば出すほど自分の親に対する思いと重ねちゃう映画なのね~、と実感するばかり。みんなにもそれを味わって欲しいのでご紹介!

左:息子ジェイミー(ルーカス・ジェイド・ズマン)の教育方針に悩むシングルマザーのドロシア(アネット・ベニング) 右:同居人のアビー(グレタ・ガーウィグ)と、ジェイミーの幼なじみジェニー(エル・ファニング)

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この作品はマイク・ミルズ監督のお母さんのお話(ストーリーの詳細はググってね)。といっても、お母さんそのものの伝記ってわけではなくて、実体験や実話をベースに、70年代を生きるシングルマザーと思春期の少年の関係を描いているの。これにはいくつかワケがありまして。ひとつ、監督のママはもうお亡くなりに……。監督のママって戦前生まれの女性だったんだけど、劇中のドロシアと同様、自立心が強くてショートヘア、パンツルックで仕事に行く、って感じだったんだそうで。でも、日本でもそうだけど、戦前生まれの人って「自分語り? なにそれ、かっこわる!」っていう価値観なのね。だから、生前もそんなに自分のことを話さなかったんだそう。監督の思い出の中にいるママと、プラスある程度の脚色が必要だったってわけ。ふたつ、これは前作『人生はビギナーズ』につながることだけど、映画の中ではシングルマザー、実際はパパがいた、ってこと。『人生は~』はパパの話なんだけど、ママが亡くなってからパパが息子(マイク・ミルズ自身を投影した役で、ユアン・マクレガーが演じてます)に「ゲイでした」とカミングアウトして、第二の人生を謳歌するってお話。実際のところ、ママはパパがゲイだってことに気づいてたんだって(監督談)。でも、監督を含め子どもは3人。よき家庭を育んでいたからヨシとしていたんでしょう(そこも含めてママ、最先端)。ということで、今作の設定自体を父不在の家庭に。

でねー。ここからが全くあたしとかぶるのよ。主人公の家には赤の他人だけどドロシアが信頼している同居人がいるのね。思春期の息子をどう扱って良いのやらわからないドロシアは、彼女と息子の幼なじみの女子に手ほどきを託すの。これこれ! これ、まるであたし! うちも共働きで両親ほぼ不在だったから、同じ境遇の従姉(通称:おねえ)と一緒に祖母に育てられていたの。じつの姉弟じゃないんだけど、いとこ同士という微妙な関係性だからこそ成り立つ義姉弟関係。だもんで、この息子ちゃんがされる手ほどきの数々や、お母さんの動揺っぷりとか。おねえとあたしの関係がモロ完全再現されちゃってて……あたしが動揺するわい!

おねえを彷彿とさせるパンクな写真家のアビー(右)

しかもですよ。物語の終盤でジミー・カーター元大統領の名演説が引用されているんだけど、これが染みるのなんの。いまどきの親御さんは、子どもに対して「あなたの好きな道を歩みなさい」っていうのが多いじゃない? この演説の内容は、そういった「道を選ぶ自由」を得たからには人道、道徳、社会的役割など、道義的な分別をわきまえた上でないと、必ず分断が起き、自由の名のもとに破綻が訪れるってことを説いていたの。劇中の息子ちゃんも自由を謳歌しようとするんだけど、その瞬間にこの演説引用。いや~、マイク・ミルズ、さすがだわさ。タイミングといい、引用のうまさといい、文句ナッシング。

は……ごめん。あたし語りばかりじゃんか!(監督のママを見習え!)というようにですね、この映画ってどんな人でも、自分が育った環境を思い出させてくれる作品なのですよ。ちなみに日本でもアメリカでもなく、スウェーデン育ちのLiLiCo姐さんも、自分と母親の関係を思い出したっていうし、こりゃ全世代網羅してる映画だわ、と確信した次第。なので、父の日を前にママの話ってどうよって感じではあるけど、自分を育ててくれた人々全てに感謝するつもりで観て。っていうか、自然と感謝したくなるわよ!

左:母の存在に感謝するはず! 右:連続上映イベントでLiLiCo姐さんと

20センチュリー・ウーマン

監督:マイク・ミルズ/出演:アネット・ベニング、グレタ・ガーウィグ、エル・ファニング、ルーカス・ジェイド・ズマン ほか/配給:ロングライド/公開:現在、丸ノ内ピカデリーほか全国ロードショー中

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