【悶々62】突っ張って生きる女子たちに、ジャスミンのワキ汗

『ブルー・ジャスミン』で最も衝撃を受けたこと。それはワキ汗。

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脇に挟んだスポイトがなんかの拍子に押された、的な。

さて、前回に続いて今回も『ブルー・ジャスミン』。NYのセレブ妻から無一文へ一気に転落したジャスミンが、「私は他の人とは違う」と信じる高すぎるプライドゆえに現実を受け入れられず、どんどんとドツボにはまってゆくというお話です。ジャスミン役のケイト・ブランシェットの演技もすごいし、セレブ文化に対する皮肉がグサグサと刺さり、もちろん笑っちゃうのだけれどもなんだか怖いような――まあそんな作品で、私が最も印象に残ったのはなんですかと問われれば、アホみたいなこと言うようですが、自分を取り繕って吹きまくるジャスミンの、セレブワンピに盛大に染みるワキ汗です。

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ワキ汗。ワキにかく汗のことで、もちろん「すごい汗っかきなので全身くまなくもちろん脇の下も」という人もいるでしょうが、私がここでいうワキ汗はそれとはまったく異なる、真冬のものすごい寒い日でも、ワキの下からふいにつつーっと流れてくる汗のこと、不安や緊張や焦りが過度に高まった時に流れてくる、あれです。

私も仕事でインタビューをしている時、ふいにこれに襲われる時があります。初めて経験した時は、実は汗だと気づきませんでした。というのも、ワキ汗にはいわゆる汗らしい、じわっ、じわっ、と出たものがたまりにたまって、あ、タラッと流れた、的な手順がまったくなく、まるでワキに挟んであったスポイトがなんかの拍子に押されてしまった、みたいな感じで、ふいに、つつーっ、と流れてくるものだからです。

自分がそうしたいわゆるワキ汗をかいていると気づいた時には、なんだか少しおセンチな気持ちになりました。インタビュー相手がどんなに難しそうな人やどんなに怖そうな人でも、編集者から「全然緊張しませんねえ」と心臓に毛が生えているかのように言われてきたし自認もしてきたのですが、身体は緊張や不安にさいなまれていて、そのことを誰もが――というか私自身が一度も「無理してない?」と気遣ってやったことがなかったからです。

『ブルー・ジャスミン』のヒロイン、ジャスミンのワキ汗を見たときに、「はっ!」と強く反応してしまったのはそのためです。

後ろ指刺されても平気と、上昇していったワキ汗の彼女

ワキ汗を巡る思い出(なんだそりゃ)には、こんなものもあります。それはある有名人女性をインタビューした時のこと。彼女は才能があるのはもちろんですが、ビジュアル的にも可愛らしく、保守的な女性であれば眉を顰めるような噂もいろいろとあった人です。先入観は持たず、でも、それなりの情報は入れておく主義の私は、別に後ろ指刺されても平気!というその上昇志向と行動力に、これはなかなかの強気女子という心構えで現場に向かいました。会ってみると彼女は文科系男子に好かれる可愛さと頭の良さがあるチャーミングな人で、でも強気が前面に出ないその声や語り口に、逆に私は「これは本物」と確信しました。

「はっ!」としたのは、インタビューがつつがなく終わった後。「じゃあ撮影を」と促されて上着を脱いだ彼女が着ていた薄いブルーのシフォンのシャツに、これまで見たこともないほどのワキ汗が染みていたのです。取材を終えた後に編集者が「マジでどうしようかと思った」と冷や汗交じりに言うほど、普通に撮れば確実に写真に写ってしまう、それくらいのすごいワキ汗でした。その当時はビックリし、ちょっと笑っちゃったりもしたのだけれど、思えばあのワキ汗は、彼女が不安や緊張や焦燥の中で思いっきり突っ張って生きていた、痛々しいほどの証だったのじゃないかと思うのです。

自分は平気。自分には価値がある。自分は他とは違う。今の時代、そういう自分を信じて、自分も気付かぬうちに突っ張って生きている女子たちがわんさかいます。私は今でもワキ汗をかきますが、かく頻度が少なくなってきたのは、そういう焦燥から解放されたのか、それとも諦めたのか、よくはわかりません。あの当時よりもずっとビッグネームになった彼女は、今でもワキ汗かいているのかなあ。

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