【悶々46】「オバさん」の地位の低さが「当然」である社会

アンチエイジングに精を出しても、年を取ればみんなオバさん

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自分からしつこく言い寄っといて、「ハメたな!魔女め!」って。

前回に引き続き、今回も『五日物語―3つの王国の3つの物語―』から。映画は中世の架空の王国を舞台に、「子供」「結婚」「若さ」を強烈に求める3人の女性の残酷なおとぎ語を描いているのですが、個人的に最も強く心に残ったのが「若さ」のお話です。

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主人公はある王国の城下の、暗くみすぼらしい家で暮らす老姉妹。重労働の下働きをする2人はいつも「いくらなんでも」というレベルのボロボロの格好、手肌髪なども荒れまくりで、人目を避けて暮らしています。ところが、姉のドーラが扉口でちょっと歌を口ずさんでいたら、それを聞きつけた好色な王が「さぞや美女に違いない」と思い込み、彼女に夜の相手を命じてくるのです。王様はドーラがOKというまで贈り物攻勢で口説き続け、ドーラは初めての経験に舞い上がり、最終的には「決して灯はつけない」という約束のもとOKしてしまいます。

確かにこの時代の夜の闇は、今よりずーっと濃いとはいうものの、いくらなんでも触ればバレますがな、と思いきや、王様はストライクゾーンのえらく広い超ド級の好色なので、ドーラがかなり年齢のいったお嬢さんとわかっても「それも一興」と夜を楽しみ――という展開には当然なりません。愚かにも寝入ったドーラの姿を朝の光の中で見た王は、まるで自分が手込めにされたかのように恐れおののき、「ハメたな!魔女め!」と毒づいてドーラを窓から(文字通り)放り出します。

結局のところは、「アンチエイジングしててキレイ(なオバさん)」

こういう「オバさん」の地位の低さを「当然」と思うがゆえに、女子たちは「アンチエイジング」に精を出します。以前に書きましたが、「大人」をすっ飛ばして老けてしまう童顔系の私にとって、「アンチエイジング」は真剣に取り組まねばならない問題だと思うのですが――なんというか、手っ取り早く一言でいうと、面倒くさいんだよな、アンチエイジング。

抱えた原稿を前に「何をどう書いたらいいのやら」と悶々としている、それでいっぱいになってしまうキャパの脳内に、洗顔前には毛穴を開くために●●●の●●●を使い、洗顔は●●●の●●●が一番売れていて、洗い終わったら●●●の美容液を●●●しながら丁寧に、化粧水と乳液は●●●で●●●すると効果的で、40代なら美容液は●●●という成分が必要で、週に1度は●●●のパックを併用し……とかなんとか、全然覚えられないので完全に伏字になっていることからもわかるように、この工程を覚えるだけの余裕がありません。

こうした工程は「新成分配合!」みたいな感じで毎年のように更新され、年齢を重ねるにつれ、化粧品会社曰く「これもやらないと大変なことに!」みたいなことが増えていく上に、必ずしも効果が出るとは限らないという、報われない修行のようなものです。仕事を終えたら風呂さえ端折りたいくらいの「やとおわた…眠い…」な状況で、ただでさえずぼらな私にできるわけがありません。

私を含めたそういう疲れた大人女子たちを、いまのところは何もしないでもツルッツルピカピカの若い女子たちは「完全なオバさん」と言うかもしれません。全面的に腹を出して言いますが、その通りなんですね、はい。でも「やとおわた……」のあとに、いろいろ頑張ったとしても、結局は「アンチエイジングしててキレイ(なオバさん)」(カッコは"言葉で言わなくても、心の中ではそう思ってる"の意味)が関の山じゃないかなあ、と思ったりもします。

映画には、城に行く直前のドーラが必死に「中世的アンチエイジング」する場面も描かれます。それは服を脱いでオッパイやお腹、背中で垂れ下がる皮膚を引っ張り本来あった場所に糊付けするという、かなり強引な所業なのですが、よく考えたら整形とかテープとかで切って張ってリフトアップみたいなことと似ていなくもありません。基本的に女子の欲望を全肯定したい私は、自分の責任においてそれを実行する人を否定しません。私が個人的に、わあああ無理無理無理と思うだけで。

「やとおわた…眠い…」に勝てない私は、できれば「アンチエイジングしてるキレイなオバさん」よりも、別の「価値」があるオバさんを目指したい。キレイでいること以外の生き方が、オバさんにも、もちろん若い女子にも、きっとあるはずだと信じて。

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