かつてバージンだったアナタにも、いま現在バージンのアナタにも観てほしい! ひと味違う珠玉の「ロスト・バージン映画」8本を、コスモ編集部が厳選紹介。笑えて、泣けて、考えさせられる。そんな映画をお探しなら…♡

第1弾では、自分の欲望に正直に生きる処女の生き様を覗くべく、『ニンフォマニアック』と『ミニーゲッツの秘密』をピックアップ。傷つきながらも、自身の欲望をつぶさに見つめて前へ前へと進んでいく彼女たちの姿勢には、意外と学ぶことが多いかも…!? →そのほかの「ロスト・バージン映画図鑑」はこちら。

NO セックス NO ライフを地でいくオンナ/ 『ニンフォマニアック vol.1,2』

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■ STORY

うらびれた街角にぼろぼろの姿で倒れこむ女、ジョー。そこを偶然、通りかかった初老の男、セリグマンは、なんともワケありげなこの女を自宅で一時的に保護することにする。怪我が回復しはじめたジョーは「一体、何があったんだ?」と訊ねるセリグマンに、ことの経緯を語り始める…。

■ヤリたいときに、ヤリたい男とヤる自由

「三度の飯よりセックス」と言わんばかりに、セックスとオーガズムに取り憑かれた女・ジョー。はじめてオーガズムを感じたのは12歳で、「10代の最重要課題は、処女を捨てることだった。驚異の早熟ぶりをみせるジョーは、初体験にもかかわらずセックスにとっても主体的! 

彼女は処女を捨てるため、当時気になっていた男・ジェロームの家に自ら出向き、「わたしの処女を奪ってって言ったら迷惑かしら?」と自分から(ココ重要!)誘惑。ジェロームの快諾を得て、晴れて処女を卒業したのだった…。

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実は初体験のずっと前から、ひとりエッチで性の快楽に溺れていたジョーは、ロスト・バージンを皮切りにさまざまな相手と肉体関係を持っていく。「多い時には、一夜で7〜8人と関係を持つこともあった」と告白するジョー。それだけの大人数、どうやってさばいていたの!? …と、彼女のスケジュール管理能力には脱帽せずにいられないのだが、この映画の本質とはもちろんここではない…(笑)

■「セックスは、自分がしたいときに、したい相手とする」

全編を通して、ジョーが及んだ数々のセックスから浮かび上がってくるのは、ひとつの揺るがないルール。それは「セックスは自分がしたいときに、したい相手とする」ということ。

映画にはこんなシーンがある。部屋の窓から見える道路脇に、アフリカ系男性らを見かけたジョー。彼らと3Pをしたくてたまらなくなったジョーは、通訳者をわざわざ雇い、「あなたたちと3Pしたいのですが、いかがですか?」と、言葉の通じぬ男性らに交渉を持ちかけたのだ。初体験しかり、前述の3Pしかり。ジョーの性生活にとって、「主体的にヤる」ということはひとつの重要なテーマとなっている。

そして「したいときに、したい相手とセックスする」というは、裏を返せば「自分がしたくない相手とは絶対にセックスしない」ということ。はた目からみると、見境なくヤりまくっているようにみえるジョーだが、実のところは、ヤる相手は取捨選択し「イヤな相手とは何があってもしない」という鉄の意志をもつ女。2部構成の本作だが、是非ともジョーの勇姿をvol.2の最後の瞬間まで見届けて!

愛を求めて、彷徨い続けた少女が手に入れたもの/ 『ミニー・ゲッツの秘密』

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■ STORY

舞台は1970年代のサンフランシスコ。漫画家になることを夢見る15歳の少女、ミニー・ゲッツはセックスがしたくてしたくてたまらないお年頃。「ヤれるチャンスを逃したくなかった」と語るミニーは、母親の恋人であるモンローと初体験を済ませ、秘密の関係を続ける。

容姿にコンプレックスを抱えていたミニーは、モンローに欲情されることで「彼は私を必要としてくれる!」と、男に欲情される悦びを感じはじめて…。かつて10代だったすべての女性に贈る、少女の成長物語。

ちなみにモンローを演じるアレクサンダー・スカルスガルドは、『ニンフォマニアック』でセリグマンを演じたステラン・スカルスガルドの実の息子でもある。

■誰にも愛されない人生に意味なんてあるの?

最初は興味本位でモンローとの初体験に及んだミニーだったが、カラダの関係を続けるうちに彼への恋心や執着心のような感情が芽生える。ミニーは煮え切らないモンローとの関係に苦しみ「誰にも愛されない人生に意味なんてあるの?」とセンチメンタルな自問を繰り返すように…。彼女は、性愛の煩わしさに直面していた。

映画冒頭では「ついに今日ロスト・バージンしちゃったぜ!これで私も立派な大人ー!ウェーイ!」と大喜びしていたミニーだったのだが、初体験を済ませたら済ませたらで、次々に湧き上がる新たな苦しみや欲望に悩まされる。「モンローに愛されたい、心を開いてほしい…」。性欲も承認欲求もない交ぜの欲望がミニーの中に渦巻く。

それでもミニーは、決して自分の欲望を諦めず、傷つくことを恐れない。3P、娼婦ごっこ、ドラッグに溺れたセックスなどなど…「えっ、ミニー大丈夫なのそれ!?」とこちらが心配になるほど、危ない橋をどんどん渡っていく。

■身を削って手に入れた教訓は"ホンモノ"

愛を求め、性の衝動に翻弄され、サンフランシスコの街を彷徨い続けたミニー。全編を通して、誰かに愛されることを痛いほどに欲してきたミニーは、ある事をきっかけに"大きな翼"を手に入れる。それは自分を愛してくれる新しい男(あるいはレッドブル)ではない。カラダを張った大冒険(とはいっても数日の出来事なのだが…)の末に、自分のチカラで手に入れたその"大きな翼"によって、彼女は"本当の意味で大人になる"のだった…。


「欲望に正直に生きるということ」

『ニンフォマニアック』のジョーと、『ミニー・ゲッツの秘密』のミニー。10代から自分の性欲に自覚的だった2人は、自分の欲望に向き合い、恐ろしいほどに正直に生きている。心身ともにボロッボロに傷ついたとしても自力で立ちあがる逞しさや、欲しいものを求め続ける貪欲さなど、彼女たちから学ぶことは少なくない。