映画の中の「出会い方」に着目したこの連載。
男女の"出会い"にはいろんなパターンがある。「ワンナイトのつもりだったけど」「旅先の電車で偶然、仲良くなって」…。いつ何時、アナタに訪れるかもしれない素敵な出会いにそなえて、まずは映画を観ておこう。
第1回目となる今回は映画の中の「すれ違い」がテーマ。この人いいな♡ と思える人に出会っているにも関わらず、「好き」の一言がどうしても言えず、思いをくすぶらせまくった男女がその後、どうなっていくのか…。見事なほどのすれ違い方は、反面教師にしたいところ。
映画FILE.1 出会った瞬間からお互い惹かれ合うが…
『ワン・デイ 23年のラブストーリー』のエマとデクスターの場合
この作品の男女のすれ違いはなんと23年! 真面目で優等生タイプのエマと自由奔放で恋多き男デクスターが大学卒業の際に初めて言葉を交わし意気投合。互いにひかれ合いながらも友人でいることを選び、親友として毎年7月15日を一緒に過ごすと決める。その後、作家を志すもなかなかうまくいかないエマ。一方、デクスターはTVの人気者となり、たくさんの女性と恋を重ねていく。旅行や恋愛相談など友人としての関係を続けながらも、秘かにデクスターを思い続けていたエマ。しかし、あるときデクスターから別の女性と結婚することを告げられ……。
友達として微妙な関係を維持しながら、2人がそれぞれどんな「7月15日」を迎えるのかが描かれるが、23年という時間はあまりに長く、なんとも切ない。エマとデクスターの恋愛模様を通して、大切な人に想いを伝えるのは「今しかない」と思わせる切なくも美しいラブストーリー。
やがて訪れる衝撃的な展開。この人に惹かれていると自覚したら、思いは伝えるべき!と思わせる。
主演はアン・ハサウェイとジム・スタージェス。アンは年代を追うごとにどんどん洗練されて素敵になっていく。
映画FILE.2 近くて遠い幼馴染の恋
『あと1センチの恋』のロージーとアレックスの場合
「P.S.アイラヴユー」の原作者セシリア・アハーンの小説「愛は虹の向こうに」をもとに、幼なじみの男女の12年間のすれ違いの恋を描くラブストーリー。
幼い頃からあまりにも近すぎて、「好き」と言えずにいる関係をクローズアップ。イギリスの小さな町で6歳の頃から一緒に過ごしてきたロージーとアレックスは、友だち以上、恋人未満の関係をずっと続けていた。一緒に故郷を離れてアメリカの大学に進学することを約束していたが、ロージーが同級生との軽はずみな関係で妊娠し、地元に残ることになり、アレックスは単身アメリカへ。互いへの気持ちを素直に伝えられないまま別々の人生を歩むことになったふたりは、近づいたり離れたりを繰り返していく。
最初のすれ違いから、こんなに長く遠回りにすることになるとは。すぐ目の前にいるのに、そばにいるのに、その1センチの距離が遠くて歯がゆい。タイミングと選択は、人生を左右することを実感。今好きな人が、まさに1センチの距離にいる人にぜひ観てほしい作品。
高校時代からまるで少女漫画のような、見事なすれ違いっぷり。
ヒロインを演じるリリー・コリンズの可憐さも大きな見どころ。
映画FILE.3 出会ったときの悪印象を引きずって…
『風と共に去りぬ』のスカーレットとレットの場合
ベストセラーになったマーガレット・ミッチェル原作小説を映画化した古典中の古典、『風と共に去りぬ』は、南北戦争下のアメリカ南部を舞台に男女のすれ違いを描く壮大なラブストーリー。
大農場主の娘スカーレットは、アシュレーを愛しているが、アシュレーは彼の従妹メラニーと結婚してしまう。勝気なスカーレットはあてつけで、メラニーの兄と結婚するが戦争で戦死、今度は妹のフィアンセを横どりして結婚するが彼も亡くなってしまう。そんな中スカーレットは、激しい戦火の中で自分の命を救ってくれたレットという男に熱烈に求愛される。レットの強引とも言える愛に押され結婚したが、彼女はアシュレーへの思いが断ちきれず、ふたりの結婚は破綻してしまう…。
相手がひたすら愛してくれるときには、その愛に気がつかず、その人が去ろうとするときやっとその愛の大きさに初めて気がつくが、もう遅い。ずっとすれ違ったままでいるふたりがせつない。スカーレットとレットは出会ったときの印象からよくなかったが、一度勇気を出して素直になればここまでこじれなかったかも?
ヴィヴィアン・リー演じるヒロイン、スカーレット・オハラは、南部の上流階級の娘。気位が高く、たくましく、気性の激しい女性。レットはその男版みたいな性格なので似たもの同士の恋愛は難しいのかも。
アシュレーは優しい男だけど、絶対にスカーレットを選ばない。そのアシュレーへの思いにとらわれてしまったスカーレットの女心がせつない。
3作品を通してわかるのは、「恋はタイミング次第」ということと、「素直になることの大切さ」。
どんなに出会いが最悪でも、近すぎる位置にいる人にも、好きだと思ったら素直に気持ちを伝えること。タイミングを逃すと、『あと1センチの恋』のように12年、果てには『ワン・デイ 23年のラブストーリー』のように23年もすれ違ってしまい、ほかの女性に彼をさらわれてしまうかも…!?
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