人気女装家のブルボンヌが語った『ムーンライト』の魅力

「真っ暗闇の中にほんのり光る月の光みたいな、そんな人生があってもいいじゃない

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第89回アカデミー賞では作品賞を含む、3部門を受賞した『ムーンライト』。また歴史的快挙となったのは、アカデミー賞の歴史の中でも、LGBTQをテーマにした作品として初の作品賞受賞した点。3月31日の全国公開に先駆け、女装家&映画ライターとして活躍し、コスモポリタンでも人気連載中のブルボンヌさんがトークショーに登場! 

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――まず作品を観た率直な感想は?

「あれ?コレくらいなのかな?」と思っちゃうところもあるくらいあっさりした表現だったわよね。2回観てみたら、すごく染みてくるっていうか…。ジェットコースターに乗っているかのようにドラマティックな展開が起こる映画ではなくて、雫のように身体の中、心の中に垂らされたものを、後で自分で反芻して人生の中に影響を与えていくような、深みのある映画だと思いましたね。

――そして、LGBTQを描いた作品として初めての作品賞受賞としても話題になりましたね。

アカデミー賞の歴史でいうとLGBTQをテーマにした作品ノミネートは、1985年の『蜘蛛女のキス』から始まり、主役や準主役の人が同性愛者やトランスジェンダーっていう映画はあったのよ。ゲイ界隈では2005年の『ブロークバック・マウンテン』でついに受賞か!って盛り上がったんだけどね。作品賞受賞に至ったのは今回が初めて。

――なにか『ムーンライト』には、特異点があったんでしょうか?

いかにも!っていう壮大な映画に比べて、15〜20年前だったらアンダーグランドでよく分からない映画としての扱いをされていたかもしれない作品よね。まさかの作品賞で世界の頂点に立ったことは本当に驚き。

ここ2年くらい言われてきた"白人だらけのオスカー問題"や"トランプ政権に対してのアンチテーゼ"などの後押しがあったからかもしれないわ。時代に乗れたというタイミングの良さもあったのかなと思います。アメリカでも興行収入はよかったようですし、派手さがないにも関わらず作品賞を受賞したということは、メッセージを受け取る受け手が成長している証なのかもしれませんね。

――主人公の父親代わりになる麻薬ディーラーのフアンを演じたマハーシャラ・アリについては?

出演シーンが24分間しかないのに、助演男優賞を獲れるのっていろんな意味でスゴいわよね! しかも、私から見ても異常なくらいいい男よ!(笑) 得体のしれない子供を育てたり、「オカマって何?」の問いかけられるシーンがあるんだけど答えがすばらしいの。本当に麻薬ディーラーなの!?ってくらいできた人の役よ。

――今回3人の俳優がシャロンという1人の役を演じていましたが、どう感じられました?

この3パートがシャロンの成長を表しているんだけど、子どもの頃に仕草をいじめられるシーンには感じるところがあったわね。この世界に自分の居場所があるのか?って閉じこもるシーンは説得力があった。

マッチョになった青年期の彼は、だいぶ顔の印象が変わったけれど、自分の心と身体に鎧を着けて社会と渡り合うことにしたんだということを表現しているわけだし、同じ人間がずっと同じではないということを伝えるためにも、この設定はよかったのかなって。

あとはシャロンの純情さ。下手なボーイズラブ作品よりも純愛でロマンティック! ラストシーンには胸キュンよ♡

最後に…

分かりやすく観客をその場で泣かせようとしている映画はそういう意図が見えてきてしまうんだけど、この作品はそういうことを一切しないで、観終わってしばらくしてから色んなことを想像させる"行間だらけ"の映画ね。

太陽の光は眩しいし明るいし色鮮やかだからみんな憧れがちだけど、真っ暗闇の中にほんのり光る月の光みたいな、そんな人生があってもいいじゃないって思わされる映画です。

【あらすじ】 

名前はシャロン、あだ名はリトル。内気な性格で、学校ではいじめっ子たちから標的にされる日々のなか、同級生のケヴィンだけが唯一の友達だった。高校生になってもそんな日々は続いていたある日の夜、月明かりが輝く浜辺で、シャロンとケヴィンは初めてお互いの心に触れる…しかし、ある裏切りに遭い2人は別々の道へと進む。そして、大人になり再会した2人。静かに語り合うなか、どんなに時が流れても忘れられずにいた想いが募る…

3月31日(金)より、TOHOシネマズシャンテ他にて全国公開

監督・脚本:バリー・ジェンキンス エグゼクティブプロデューサー:ブラッド・ピット

キャスト:トレバンテ・ローズ、アッシュトン・サンダース、アレックス・ヒバート、マハーシャラ・アリ、ナオミ・ハリス、アンドレ・ホーランド 

配給・宣伝お問合せ:ファントム・フィルム TEL:03-6276-4035 

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