映画の中の「出会い方」に着目したこの連載。

男女の"出会い"にはいろんなパターンがある。「ワンナイトのつもりだったけど」「旅先 の電車で偶然、仲良くなって」...。いつ何時、アナタに訪れるかもしれない素敵な出会いにそなえて、まずは映画を観ておこう。第3回目となる今回は映画の中の「一目惚れ」がテーマ。

映画FILE.7 惚れやすい男の最高で最低の500日

『(500)日のサマー』のトムとサマーの場合

惚れっぽくって絶望的にロマンチックな性格の男と、現実的で恋に恋する幻想なんてひとかけらも持っていない女。まるで正反対のふたりの男女が繰り広げる、ちょっぴりほろ苦くてユニークなボーイ・ミーツ・ガールの物語。

グリーティングカードのライターとして働いているトムは運命的な恋を期待する青年。そんな彼はある日、アシスタントとして同じ会社で働くことになったサマーに一目惚れする。出会いから4日目、トムが偶然サマーと同じエレベーターに乗り合わせたとき、彼が聴いていたザ・スミスの音楽について会話が弾み、以後ふたりの交流が始まるが…。

トム目線で描かれる本作。「運命の恋」を信じるトムと「真実の愛」なんてあるわけないと考えているサマー。そのふたりの溝が埋まりそうで、埋まらない苦々しさをリアルに描写している。すれ違うたび、お互い素直になれず、どんどんこじらせていく2人。奇跡や運命に期待していたトムが「運命なんてない。恋は偶然だ」と呟くシーンが印象的。トムにとってサマーは運命の人ではなかったのかもしれないが、サマーと出会い、恋に傷つきながらも、失恋を糧に自分の道を切り開いていくことができた。そう、愛は自分でつかんでいくものだ、とこの作品は教えてくれる。

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ジョセフ・ゴードン=レヴィットがちょっと情けないトムを、キュートなサマーにはズーイ・デシャネル。トムをメロメロのズタズタにするサマーは「文化系男子を虜にする女子」の象徴!

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トム目線で語られていくが、2回目以降の鑑賞はサマー目線で観ると味わい深い。

映画FILE.8 自分自身を高めていく恋

『キャロル』のテレーズとキャロルの場合

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1952年の、ニューヨークのデパート。売り子として働く19歳のテレーズは、買い物にやってきた美しい年上の人妻キャロルに一瞬で心を奪われる。それぞれボーイフレンド、そして夫と子どもがいる身でありながら、恋に落ちていく…。

テレーズの一目惚れからはじまったふたりの恋は、愛した人がただ女性だったというだけ。運命に引き寄せられるように何度も会い、会うほどに思いは募っていく。やがて、別居中の夫に娘を連れて行かれ、孤独なキャロルは、車での小旅行にテレーズを誘う。テレーズはキャロルへの想いが予想もしなかった感情に変わっていることに気づきながら、一緒に出発する…。

女性同士の恋愛が公になっていない時代。お互いの中に探していたもの、望んでいたものを見つけたから惹かれあったのだろう。映画『キャロル』は、男女問わず魅力的な人と知り合って、刺激を受け合い、自分自身を高めていく、そんな濃密な関係の喜びを教えてくれる。

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アカデミー賞の常連で『ブルー・ジャスミン』でついにアカデミー主演女優賞を射止めた大女優ケイト・ブランシェットが、美しくも孤独なキャロルを熱演。このキャロルには同性も惚れる!

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テレーズを演じるのは、『ドラゴン・タトゥーの女』で、いきなりアカデミー主演女優賞にノミネートされた若手女優ルーニー・マーラ。彼女もまたミステリアスな雰囲気がたまりません。

映画FILE.9 強烈な一目惚れから始まった恋の行方は…

『パンチドランク・ラブ』のバリーとリナの場合

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こちらは「強烈な一目惚れ」がテーマ。

ロサンゼルスのサン・フェルナンド・バレー。バリー・イーガンは、倉庫街でトイレの詰まりを取るための吸盤棒をホテル向けに販売している。突然キレたり泣き出したりと、精神に問題を抱える彼の最近の関心事は、食品会社のマイレージ特典を利用して無料で飛行機に乗ること。そんなバリーがある朝早く出社すると、隣の修理屋へ車を預けにきたという女性リナと出会う。実は彼女はバリーの姉の同僚で、バリーの写真を見て一目惚れしてしまい、車の修理を口実に様子を見に来たのだった。やがてふたりは親密になっていくのだが…。

たくさんの姉がいて口うるさく言われながら育ったため精神面で問題を抱えるバリーが、初めて自分を好きになってくれる(しかも彼女の一目惚れ!)女性と出会い、彼女の優しさに見守られて不器用ながらも愛を成就させていく。「僕の人生には愛があるから、僕をこのうえなく強くしている」というバリーのセリフにジーン。こんなふうに思わせてくれる人と出会えたらなんて幸せだろう。

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エミリー・ワトソン演じるリナは、優しく、ゆったりとバリーを包む。

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アダム・サンドラーが、切れやすい男バリーを好演。最初は女子ウケが難しいタイプながら、ある瞬間からかっこよく見えるから不思議!?

一目惚れから始まる恋は結婚に至る確率大!?

今回紹介した映画のように学校や通学電車の中、街角、会社で"一目惚れ"の経験がある人もいるのでは? ある調査によると、一目惚れから結婚に至る人は70%という高い確率になるそう。なんとも運命的だけど、相手のことを何も知らないまま恋に突入してしまうので、注意も必要。相手に対する幻想を抱きがちなので、相手と向き合い、関係をしっかり築いていきたいもの。

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