パリのジェネレーションYの生き方とは?【女性監督が描く♯2】

70回カンヌ国際映画祭、新人監督賞作品『Jeune Femme』を撮ったレオノール・セライユ監督にインタビュー

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アメリカで大ヒット映画となった映画『ワンダーウーマン』は監督に女性が起用されたことでも話題に。映画業界では、役職、金額面でも女性への性差別は根強く残っているものの、自身の強い思いを伝えるべく世界中で女性監督が活躍を続けている。

そこで今回は、3人の女性映画監督にフューチャー。これまでの生き方や作品作りへの思いを伺った。

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2人目は、2017年度カンヌ国際映画祭でカメラドール(新人監督賞)を受賞した作品『Jeune Femme』を撮った、レオノール・セライユ監督。

パリのジェネレーションYの生き方とは?【女性監督が描く♯2】

タイトルはフランス語で「若い女」。パリに住む30代前半の女性、ポーラが恋人と別れてゼロの状態から自立をするまでの姿が、ユーモアと軽快なリズム感で描かれている。

都会でもがきながらも新しいチャレンジに喜びを見出すポーラの生き方には、ジェネレーションY1980年代や1990年代生まれの世代)がもっと毎日を幸せに生きるヒントがつまっている。そこで、レオノール・セライユ監督をインタビュー。彼女が紐解くパリのジェネレーションYの生き方に迫りました!

どん底から這い上がった30代女性が、都会で「心の自由」を手に入れるまでの道のり

主人公のポーラは30代前半、仕事は特にせず、カメラマンの恋人の家で同棲中。映画の始まりは、ポーラが恋人と別れるシーンから。部屋の外にいるポーラは、怒り狂って頭をドアにぶつけ、アパルトマンの外に出て叫ぶ。病院に行った彼女は、医師にもまくしたてる。

お金もない、泊まる場所もない、経歴もない、ポーラは孤独を感じ、恋人に何度も電話をかけるが、返事をするのは留守番電話のアナウンスのみ…。

ただ、これがポーラの「自立」への道のりのはじまりでもあった。

パリの街をさまよっていたポーラは、ある日メトロでユキという名の見知らぬ女性に、昔の同級生と間違えられる。行き場のなかった彼女は、旧友の"ふり"をしてユキの家に泊まる。その後、住み込みのベビーシッターの仕事を見つけ、6歳の子どもと親友のように仲良くなるが、子どもにスナック菓子を与えたことなどが厳しい母親にばれて、クビに。やがてランジェリーショップで働くことになった彼女は、警備として働くオスマンと出会い、関係が発展する予感…。そんなとき、元恋人との間にできた子どもを妊娠していることに気付く。ポーラの目の前に現れた元恋人は復縁を迫るが、自分の力で自由と自立を確立した彼女にとって、彼への感情も以前とは変わってしまった。

そこでポーラが下した決断とは…。

困難な状態でも心にユーモアをもって、自分で世界を切り開いていくポーラ。そして自立をすることの楽しさがイキイキと伝わってくる。そんな彼女を見ていると、たとえ何が起こっても人としての"素質"さえあればやっていける!と、勇気がもらえる。

―「何も持っていないからこそ、すべてが可能」。そんなメッセージがポーラの生き方から伝わってきます。

「何が起こっても大丈夫。今より、もっと素敵な未来がある」というメッセージを伝えたかった

彼女のように"ある日すべてを失う"という状態は、他人ごとではありません。私たちはみんな、明日失業するかもしれない、愛する人を失うかもしれない、という危機と隣り合わせで生きています。

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だから、「何が起こっても大丈夫。今より、もっと素敵な未来がある」というメッセージを、ポーラを通して伝えたかった。ポーラは自分自身にたくさんの素質を持っています。そして、思い立ったら物事に飛び込んでいき、新しいことにどんどんチャレンジしていく。さらには、その過程で充実感さえ見出し、エネルギッシュに立ち上がっていきます。

―ポーラはインターネットを使いませんね。ホテルも自分の足で歩いて探す、仕事の応募も直接お店に履歴書を渡しにいく。現代では稀にみる、そういった直接的なコミュニケーションが彼女の"人としての魅力"に繋がっているように見えました。

直接交わすコミュニケーションこそが心を温かくしてくれ、エネルギーを与えてくれる。映画ではパリがもつ「温かさ」にフォーカスしました

SNSを駆使する現代では、前よりもっと人と繋がるようになった、と感じる人が多いかもしれません。でも、実際はみんな孤独になっていっている気がします。それはパリの街にも反映しています。今の時代、メトロで出会った人たちが話に花を咲かせるのは珍しく、みんなスマホをいじっているほうがよほど自然な光景になりました。

ポーラが最も大切にしていたことは、直接的なコミュニケーション。話をしているうちに活性化する想像力、ユーモア、そして会話の相手との間に創られていく特別な世界…。この映画の中では、そういった人との繋がりを描きたかったんです。

それこそが心を温かくしてくれて、エネルギーを与えてくれるものだから。だから、都会での多くのステキな出会いを祈って、映画ではパリがもつ"温かさ"にフォーカスしました。

パリのジェネレーションYの生き方とは?【女性監督が描く♯2】

―今のパリのジェネレーションYについて日々感じることはありますか?

どれだけ大変でも都会での挑戦を選ぶ、そんな勇気があるのがY世代だと思います

今の20代、30代にとって、パリで生活することはとても大変なこと。1つの仕事では生活していけず、ベビーシッターや販売員、ウエイトレスなど仕事をかけもちしている人も多くいます。それでも両親の家にいるより都会での挑戦を選ぶ、そんな勇気があるのがY世代だと思います。私の祖母もこの映画を観たあと、「今の世代の若い人たちは以前より大変な時代を生きている。でも、もっと自分自身に勝ち抜く術や素質をもっている」と言っていました。

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私自身、18歳でパリに来た頃、知り合いがいない、お金がない、など困難に直面しました。それに学費を自分で払っていたので、朝の授業を受けたくても、なくなくスキップして、学費を稼ぐためにバイトに行かないといけなかった。だから、本当に勉強したいのに、きちんと勉強することができませんでした。いつも寝不足で疲れていて、不平等だと思っていたし、正直、お金持ちの家庭に育った子たちが簡単に毎月アパートの支払いをしているのを見ると、フラストレーションすら感じていました。

そして、そういった都会での生活は自分を見失いやすいもの。今回の作品では、自分がしてきたこの経験を、自分とは違う性格の主人公を通して振り返りたかったという想いもあります。

それで、ポーラを旅人のように天真爛漫で、子どものようにエネルギッシュ、そして動物のように自分の居心地のいい場所を探す性質にしました。困難な時にも喜びを見出し、希望をもってチャンスをつかむ現代のシンボル的存在にしたかったんです。

―この映画では中絶という要素も含まれています。一方、監督は撮影中に妊娠をしていたそうですが…。

私にとって妊娠をしていたことが、制作へのエネルギーもたらしてくれました。もしお腹に子どもがいなかったら、まったく違った映画になっていたはず。それくらい、新しい命を創造しているときに、作品を創作することはとても大切だった。映画もお腹の中の命も、どちらも私の子どもなので。それに映画製作を通して、お腹の中の子どもにポジティブなエネルギーを与え、私なりのやり方でサポートしたかったんです。

一方で映画の中では中絶の要素も含んでいます。キャリアや勉強など女性が人生を築くうえで、中絶という選択はフランスでも珍しいことではありません。実は私自身も、子どもをおろした経験があります。本当に辛かったけど、その頃は学業を優先するべきだった。その一方で、子どもを生む選択をする女性もいます。映画を通して、なぜ生むのか、生まなかいかということも思考してもらえばと思います。

―女性が自立するまでの道が描かれているこの映画は、ある意味フェミニズム的メッセージも含んでいますか?

主人公がゼロから自立していく過程で得る"心の自由"は、ある意味フェミニズムともいえる

厳しい時代だからこそ、女性がもっともっと強くなっていると感じます。

一方で、カップルや夫婦の関係では、パートナーは愛で包んでくれる存在だけれど、相手がいることで自分が弱く感じてしまって、持っている力が発揮できないこともある。

無理に男性と同じようになろうという意味ではなく、ポーラがゼロから自立していく過程で得る"心の自由"は、ある意味フェミニズムともいえると思います。


FOMOSNSなどのチェックを怠ることで取り残される不安)に陥る人が多いY世代では、孤独を感じやすいもの。でも、直接いろいろな人と話して関係を築くなかで感じるたくさんの感情、湧き出るアイデア、再発見する自分のアイデンテティ―…それこそが、女性が心から自立して、美しく輝くカギになるのかもしれません。

Jeune Femme

日本未公開

揺れ動く、思春期の「アイデンティティー」を撮る【女性監督が描く #1】
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