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五十嵐 瑛仁(TRON)

エンタメという言葉を聞いて思い浮かぶことは?という質問に、映画を真っ先にあげてくれたラブリさん。絵を描いたり、言葉を書いたり、陶芸をしたり、アートワークにも積極的なラブリさんにとって、映画を見ることはインスピレーション源のひとつともいえそう。そこでお気に入りの映画やその魅力、読者のみなさんにおすすめの作品などを、教えてもらいました! 

【ラブリPROFILE

19891127日生まれ、愛媛県出身。モデル&タレントとして幅広く活躍し、数々のメディアに出演している。最近は作詩、写真、絵などアートワークも積極的に行っている自身、初写真詩集となる『愛は愛に愛で愛を』が好評発売中!

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――映画はどういうジャンルが好きですか?

ファンタジーですね。夢を見てるいみたいな感じがすごく好きなんです。自分の中の子どもの感覚みたいなものを蘇らせてくれるものとして、大人になってからファンタジーがすごく好きになりました。10代、20代前半の頃よりも、今のほうがもっと好きですね。『ハリー・ポッター』も好きだし、『ビッグ・フィッシュ』や『チャーリーとチョコレート工場』(※どちらもティム・バートン監督によるファンタジー・コメディ映画)も好き。ティム・バートン(※ダーク・ファンタジー作品で有名な映画監督)は、自分の頭の中の夢の世界を視覚で表してくれるところがすばらしいと思います。ほかにも『かいじゅうたちのいるところ』(※モーリス・センダック原作の世界的ベストセラー絵本をスパイク・ジョーンズ監督によって実写映画化)とか、『Dr.パルナサスの鏡』(※ジョニー・デップなどが出演するファンタジー映画)とか、ああいったファンタジー系がすごく好きです。あとは『ムード・インディゴ うたかたの日々』(※フランスの恋愛映画。ボリス・ヴィアンのベストセラー小説をミシェル・ゴンドリー監督が映画化)。『アメリ』に主演していた女優さん、オドレイ・トトゥが出ているんですが、視覚にも、絵的にも美しくて、夢があって、子どもの気持ちに帰れる作品はいいですね。子どもが出てくるようなファンタジーではないんですけど、『ハー』(※her/世界でひとつの彼女』スパイク・ジョーンズ監督のSF恋愛映画)みたいな未来的な話しもすごく好きです。

――映画を観るときは、監督や俳優など、どこで選びますか?

監督ではあまり決めてないつもりですけど、グザヴィエ・ドラン(※美しき天才と言われるカナダ出身、28歳の映画監督)の作品は全部、映画館で見ています。この監督の映像がすごく好きなんです。長い物語というか、映画というより、PVみたいなものをずっと見ている感覚。PVってストーリーが5分間とかに凝縮されているじゃないですか。それがずっと続く感じで、なんだか長いPVを見ているような感じなんですよね。私が一番好きなのは『マミー』(※Mommy/マミー』第67回カンヌ国際映画祭の審査員賞受賞作)という映画で、もう5回くらい見ています。あらすじを言うと、息子がADHD(注意欠如・多動性障害)という病気のために、お母さんを苦しめてしまうんですけど、でもお母さんに対しては愛でしかなくて、お母さんも息子に対しては愛でしかないんだけど、葛藤しながらも、親子ふたりが成長していくという物語なんです。それをストーリー以上の見せ方をするというか、細かい映像の展開が映画っぽくなくて、PVっぽいんです。だから感動するシーンとかじゃなくても、なぜか涙が出ちゃう。ぜひ予告編だけでも見てほしいですね。泣ける系かどうかは人によると思うんですけど、私は初めて見たときにはすごく涙が出ました。ドランの映画って、その表現で泣けちゃうんですよ。ファンタジーって夢を見ているみたいに、ずっと目を見開いて、楽しい!って感じで見ちゃうんですけど、ドランは見せてくれる。見せ方、表現の仕方が本当にセンスよくて、本当に完璧なんです。

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五十嵐 瑛仁(TRON)

――この監督を知ったきっかけを教えてください。

3年くらい前に『私はロランス』という映画をアップリンク渋谷でやっていて、ふらっと見に行ったんですよ。見てみようかなくらいの感じで。でも見始めたときに、こんな映画見たことない!と思って。3時間くらいあったんですけど、けっこう衝撃でしたね。そこから過去の作品を見直して、『Mommy/マミー』が出て、最近話題の『たかが世界の終わり』(※69回カンヌ国際映画祭グラン・プリ受賞作)も映画館で見ました。前はアップリンクみたいな小さい映画館でしかやっていなかったのが、カンヌも受賞して、だんだんメジャー化して、ちょっとさみしさはあるんですけどね。彼はもともと俳優をやっていて(※6歳のころから子役として活躍)、最初の作品(17歳のときに書いた脚本を、19歳で監督として完成させた『マイ・マザー』)は自分が俳優として出演して、監督と編集と映像、全部やっているんですよ。もう信じられなくって! しかも私と同じ1989年生まれなんです。共感できるし、共鳴しているというか、リスペクトしています。こういう人と話をしてみたいなと思いますね。映画はフランス語なので(※ドラン監督の出身地、カナダ・ケベック州はフランス語が公用語)、どこかフランス映画みたいなはかなさもあるんですよ。がっつりフランス映画だとモヤモヤした終わりだったりしますが、この人の作品は全然そんなことないです。すごくバランスがいい感じがしますね。ドランの映画がいちばん好きです。

――読者のみなさんにおすすめの映画はありますか?

この前、久しぶりに『最強のふたり』(※体が不自由な富豪と介護人になった貧困層の若者の交流をコミカルに描いたフランス映画)を見たんですよ、あれはテンション上がりますよね。何度見ても、やっぱりいいなって思う。見ていて本当に楽しくなる、いい映画。あれこそまさに「いい映画」って感じですね。あとは私自身が、付き合っている彼とうまくいかなくなったときとかに見直すのは、『エターナル・サンシャイン』(2004年公開のアメリカ映画。ミシェル・ゴンドリー監督)という映画。あれは見たほうがいいです、絶対に! うまくいかないときとかに見ると、彼のことを改めて大切にしようって思い直せる映画なので、半年に一回くらいは見ていますね(笑)。定期的に見るのでDVDも持っています。失うことの悲しさだったり、記憶の大切さだったり、日常は当たり前じゃないことを気がつかせてくれるんです。ジム・キャリーが演じる主人公が彼女にふられて、彼女の記憶をなくすために記憶除去手術を受けにクリニックにいくという展開なんですけど、映像もけっこうおもしろくて、普通の映画とはちょっと違うんですよ。ファンタジーっぽさも若干あるんですね。悲しいことでも記憶はなくしちゃダメなんだなと思うし、失うことがどれだけさみしいことかがよくわかる映画です。

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五十嵐 瑛仁(TRON)

――ラブリさんにとって映画って、どういうものですか?

視覚の栄養みたいな感じですかね。読書は文字を読みながら、頭の中でふくらませる感じですけど、映画は読書しているときの想像を視覚化してくれている、そんな感覚で見ていますね。感覚としては読書するのと同じで、それに映像がついたバージョンというか。ひとつひとつの言葉も忘れたくないから、ひっかかった台詞はメモしたり、じーっと見入っている感じはしますね。映画はできれば、ひとりで見たいタイプです。映画館にもひとりで行きたい。もし誰かと一緒に行くなら、同じ感覚で話せる人と行きたいですね。

――では最後にラブリさんにとって、エンタメとは?

映画、音楽、本はもちろん、私にとっては趣味というか、作ることもエンタメ。陶芸も、絵を描くことも、言葉を書くことも全部、自分にとって楽しいことはすべてエンタメなんです。だから言葉を書くことや絵を描くことを仕事にしちゃいけないと思っていて。それが自然に仕事になるのがいちばんいいと思うんですけど、仕事として依頼を受けると、いついつまでにやらなきゃとかになるので、あふれてこないと思うんですよ。言葉を書く、絵を描くとかって、内なる何かで、自分から出てくるものなので、人にやらされることではないんですよね。仕事じゃなくて、あくまでもエンタメだから、自然と作ったもの、という感じは大切にしています。どちらも自分を循環させるプロセスみたいなものなんですよ。絵を描くというのも、自分の内側の部分をリセットするというか、クリーニングするみたいな感覚だし、言葉を書くのも、心の中の整理みたいなもので、ひとつひとつを片づけていく感じ。ごちゃごちゃしたものを言葉にして、しまっておく作業だから、たまってきたら、そろそろ言葉を書かなきゃっていう感じになるんですよ。自分の中をクリアにするためにやっていること、それが楽しいんですね。それこそが私にとってのエンタメなんです。

モデル、タレントとして活躍するだけでなく、芸術をこよなく愛する文化人でもあるラブリさんにとって、自分で何かを作って楽しむことも、見て、聞いて、読んで楽しませてくれるものも、すべてがエンタメ。今回、紹介してくれた映画は、ストーリーだけでなく、映像美も楽しめるものばかりで、みずからアートを手掛けるラブリさんならではのラインナップ。この夏、まとまったお休みがとれたら、ラブリさんのおすすめの作品をぜひ見てみて!

撮影/五十嵐 瑛仁(TRON) ヘア&メイク/福岡玲衣(ADDICT_CASE)  スタイリスト/山王丸久美子 モデル /ラブリ(PYRAMID) 取材・文/江口暁子

ドレス800,000円・イヤリング80,000円・ブレスレット52,000円・ブーツ¥158,000(すべてジョルジオ アルマーニ/ジョルジオ アルマーニ ジャパン株式会社) バングル/スタイリスト私物 全て税抜価格


Information

「何かを作ることは全てエンタメ」と語るラブリさんが、モナコ出身アーティスト、Brigitte Giraudiが2006年にスタートしたパリ発ブランド「MISS BIBI」とコラボ! 『愛の庭』をテーマに、スペシャルジュエリーを手掛けました。ラブリさん自身がコンセプトを作り、スケッチからデザインしたアイテムはビームス ウィメン 渋谷にて8月上旬にリリース予定。繊細なモチーフジュエリーを是非チェックして!

問い合わせ先:BEAMS

Tel. 03-3470-9393