世界中に数えきれないほどある名作文学。「いつか読みたい!」と思っていても、「時間が掛かる」「難解すぎる」「登場人物が覚えられない」など、なかなかハードルは高いもの。そこで映画化された世界名作文学をご紹介! 映画だったら気軽な気持ちで名作文学の世界に入っていけるはず。エンタメとして楽しめる上に文学の知識も増えるのだから、一挙両得!?
風と共に去りぬ(1939)
1861年(南北戦争直前)のアメリカ・ジョージア州タラ。大農場主の令嬢スカ―レッド・オハラ(ヴィヴィアン・リー)の生涯を描いた大河ロマン。スカーレットは上流階級の青年アシュレー・ウィルクス(レスリー・ハワード)に恋をしていたが、彼にはすでに婚約者が。気性の激しい彼女はその状況に耐えられず、癇癪を起す。その様子を見ていた船乗りのレッド・バトラー(クラーク・ゲーブル)は彼女に興味を持つようになる。そしてある日、南北戦争の勃発が伝えられ、スカーレットも戦争の渦に巻き込まれていく。
1936年に出版されたマーガレット・ミッチェル作の同名長編小説を映画化。戦前に作られたとは思えぬ圧倒的な映像美に今見ても驚き! テーマ曲「タラのテーマ」も、壮大な物語を一瞬で彷彿させ「聞いただけで、タラの夕日が目に浮かぶ」と言われるほど名曲…と非の打ちどころがなさすぎる作品だけど、お高く難しい作品ではないのでご安心を! 奴隷制度の現実を白人の視点から描かれている点についてはいまだ批判はあるものの、映画は世界的に大ヒット。映画史上に輝きつづける永遠の名作。
ジェーン・エア(2011)
孤児院で育ったジェーン・エア(ミア・ワシコウスカ)。教師の資格を得て、貴族の館ソーンフィールド邸で家庭教師として雇われる。主人ロチェスター(マイケル・ファスベンダー)と心を通わせるようになるが、ロチェスターにはジェーンが知らない秘密があった。
19世紀に活躍したイギリスの小説家3姉妹「ブロンデ姉妹」の長女シャーロット・ブロンデの長編小説を原作に、何度も映像化されている作品。「身分違いの恋」を描いた恋愛物語だけど、注目したいのはジェーンが自分の力で生き、考え、愛を選択しようとする姿。女性が自分の意志で人生を決められなかった時代、強く生きてゆく彼女の姿に勇気をもらえるはず。主演を務めたミアの透明感が、ジェーンの持つ「毅然とした佇まい」を際立たせているのも見どころ!
華麗なるギャッビー(2013)
NY郊外に建つ1軒の大豪邸。その隣の住む小説家志望のニック(
1925年に出版された、
レ・ミゼラブル(2012)
1815年10月、フランス。1本のパンを盗んだため19年間刑務所に服役したジャン・バルジャン(ヒュー・ジャックマン)は仮出所する。そこで盗みを働くが、司教の温情に触れ、真人間になることを決意する。正体を隠しつつ懸命に働いたジャンは、8年後、工場を経営し、市長にもなっていた。自身の工場で働く女工フォンテーヌ(アン・ハサウェイ)の娘を養育することを約束する。しかしある事件をきっかけに正体がばれ、逮捕されてしまう。
原作はフランスの文豪・ヴィクトル・ユゴーの同名小説。1985年にイギリス・ロンドンの上演が開始された舞台(ミュージカル)版が世界中に広がり、本映画はこの舞台版を映像化したもの。クライマックスで歌われる『歓喜の歌』は一度聞いたら耳を離れない! 何度見ても泣ける作品。
から騒ぎ(1993)
舞台はシチリア島メッシーナ。戦争から帰還したドン・ペドロ(デンゼル・ワシントン)一行を民衆たちは喜びで迎える。その晩、宴の席でペドロの部下であるクローディオ(ロバート・ショーン・レナード)とヒーロー(ケイト・ベッキンセイル)の婚約が決まるが、兄の信頼を得ているクローディオを妬むペドロの異母弟ドン・ジョン(キアヌ・リーブス)は2人の結婚を邪魔しようとする。
ウィリアム・シェイクスピアの同名戯曲の映画化。美しいイタリアの風景をバックに、若い2人の恋路をめぐる物語。シェイクスピアの戯曲の中でも人気の高い喜劇作品の1つ。『スピード』(1994)公開前の、美しさ絶頂期のキアヌが悪役として出演しているのも見もの!
オリバー・ツイスト(2005)
1800年代のイギリス。やせっぽっちの孤児のオリバー・ツイスト(バーニー・クラーク)は救貧院で暮らしているが、夕食の粥を「おかわり」をしたことから奉公にだされてしまう。その後奉公先の葬儀屋を逃げ出してロンドンに出たオリバーは、窃盗団に入れられてしまう。しかし悪に染まることなく、人びとの優しさに触れながらまっすぐに、そしてたくましく生きてゆく。
イギリス人が「国民的作家」と呼ぶチャールズ・ディケンズの長編小説が原作。これまでに何度も映像化されているものの、巨匠ロマン・ポランスキー監督が手掛けた本作が「もっとも原作を忠実に再現している」と言われているんだそう。ドラマチックな展開で何度も窮地に陥りながらも、愛情あふれる人たちの助けで切り抜けていく少年オリバー。そんなハラハラ・ドキドキ・ホロリが全部詰め込まれた感動作! 年齢を問わずに楽しめる作品。
ベニスに死す(1971)
1911年、ドイツ人の老作曲家グスタフ・フォン・アッシェンバッハ(ダーク・ボガード)は静養のためイタリア・ベニスを訪れるが、同じホテルに宿泊していたポーランド人家族の息子である少年タジオ(ビョルン・アンドレセン)の美しさに心を奪われてしまう。地位も名誉もある自分が少年への想いを抑えきれない―そんな自分に当惑するグスタフ。そんなある日、ベニスにコレラがまん延しはじめる。
ドイツの文豪トーマス・マンの中編小説をイタリアの巨匠ルキノ・ヴィスコンティ監督が映画化。年老いた作曲家(原作では"小説家")が少年への恋心から破滅へと向かう過程をマーラーの交響曲第5番「アダージェット」の調べと共に幻想的に描かれる、耽美的な作品。注目したいのは少年タッジオを演じたビョルン・アンドレセンの神秘的な美しさ! ヴィスコンティ監督は作品の要となるタッジオ役のキャスティングに時間を掛け、その様子は「タッジオを求めて」というドキュメンタリー作品になったほど。日本でも人気は爆発し、一時日本のCMに出演していたことも。