近年、認知度が高まっているLGBTQ+(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィア・クエスチョニング…)だけど、言葉は知っていてもまだまだ知らないことがたくさんある...という人も多いはず。そこで今回は、LGBTQ+の世界に触れられる、セクシャルマイノリティをテーマにした作品をピックアップ。名作を通じて、セクシャリティを知りましょ♡
『リリーのすべて』
▼STORY
1926年、デンマークに住む風景画家のアイナー・ヴェイナーと、同じく画家である妻ゲルダは幸せな日々を送っていた。ある時、ゲルダに女性モデルの代役を依頼されたアイナー。はじめは女性の格好に戸惑っていたものの、自身の内面にある女性としての存在を感じはじめ、リリーと名乗るようになる。女性として過ごす時間が増していき、アイナーは心と体の不一致に悩むことに。そんな夫の様子に戸惑いを隠せないゲルダだったが、少しずつ受け入れていき…。
世界ではじめて性別適合手術を受けたデンマーク人の画家リリー・エルベと、その妻ゲルダとの愛を描いた伝記ドラマ。理解が乏しい時代に、葛藤しながらも手術を決断したリリーの強さはもとより、それを受け入れ後押しした、ゲルダの愛情に感動せずにはいられない! 徹底的な役作りで演技に臨んだ、エディ・レッドメインにも注目。
『ブロークバック・マウンテン』
▼STORY
1963年の夏のこと。ワイオミング州のブロークバック・マウンテンで、羊番として雇われたジャックとイニス。山でともに過ごすうちに、ふたりは互いに愛情を抱くようになり、ある時一線を超えてしまう。しかし、季節が過ぎ山での仕事が終わると、再会を約束することなく別れることに。それぞれ結婚し、家庭を持ったふたりは別々の人生を歩み始めるが、4年後のある日、イニスはジャックから手紙を受け取り…。
ふたりにとって自由や愛の象徴でもあったブロークバック・マウンテン。しかし山を一歩降りると、そこに広がるのは残酷な現実。今以上に「男性像」を求められ、同性愛者にとっていかに生きにくい社会であったかを感じさせられるとともに、人を愛するとはどういうことかを体現してくれたジャックとイニスに、心がジーンとくる名作!
『キッズ・オールライト』
▼STORY
大学入学を控えたジョニとその弟レイザーは、レズビアンカップルであるふたりの母親ニックとジュールスとともに、郊外で仲良く暮らしていた。しかし年頃の子どもたちは精子を提供した、生物学上の"父親"の存在が気になり始め、自らポールを捜し出す。自由気ままな彼にやがて打ち解けていくこどもたちだったが、秘密で会っていることを母親たちに知られ、家族関係に綻びが生じ始める。
笑いあり感動ありの軽快なタッチで、レズビアンカップルの家族を描いたこちらの作品。母親たちの気持ちも、こどもたちの気持ちも分かる...でも家族だから最終的に理解し合えるよね!と、セクシャリティに関わらず多様な家族のあり方を感じられる仕上がり。
『フィリップ、きみを愛してる!』
▼STORY
交通事故をきっかけに、「自分らしく生きたい!」とゲイであることをカミングアウトしたスティーブ。ボーイフレンドと派手な生活を送るために、警官から詐欺師へと華麗な転身を遂げるもあえなく逮捕されてしまう。しかし、収監先で心優しいフィリップに一目惚れしたスティーブは、彼の気を引きたいばかりに弁護士だと嘘をつく。釈放後、ふたりの関係はどんどん発展していくものの、スティーブの詐欺行為も加速するばかりで…。
現在も懲役167年の刑で、テキサスの刑務所に収監されているIQ167の男、スティーブン・ラッセルの"実話"をもとに映画化! 愛する人への一途な想いを原動力に、犯罪と脱獄を繰り返してしまうダメダメな主人公。だけどなぜか応援したくなっちゃう...そんな不思議な魅力が満載。同性愛という枠組みを超えた、ドラマティックな恋愛ストーリーに誰もがキュンとするはず!
『ボーイズ・ドント・クライ』
▼STORY
時は1993年。20歳になるブランドンは、ゲイの従兄の忠告をよそに、男性の装いに身を包み隣町のフォールズ・シティへと出掛ける。そこで荒くれ者のジョンたちと出会い、ジョンの愛人の娘ラナと次第に恋に落ちていく。恋人、仲間に囲まれ、新たな土地で幸せな日々を送っていたのも束の間、ある事件をきっかけにブランドンの「秘密」が明るみになり、悲劇が幕を開ける…。
ただただ本当の自分でいようとしたトランスジェンダーのブランドン、しかしそこに裏切りや焦りを感じた周囲。その間に生じてしまった悲しい摩擦が涙を誘う、実話を映画化した衝撃の作品。主人公のブランドンを熱演したヒラリー・スワンクは、アカデミー主演女優賞を受賞。
『オール・アバウト・マイ・マザー』
▼STORY
スペインのマドリードに住む移植コーディネーターのマヌエラは、女手ひとつで息子のエステバンを育ててきた。17歳の誕生日を迎え父のことを尋ねる息子に、隠してきた秘密を打ち明けようとしたその矢先、エステバンが目の前で事故死を遂げる。煮え切らない思いに、亡き息子が抱いた父への気持ちを本人に伝えようと、マヌエラはかつての思い出の地、バルセロナへと旅立つ。
ゲイ男性や彼らの実情を絡めながら、母親、女性としての生き方をあらゆる角度から見つめた、巨匠ペドロ・アルモドバル監督によるヒューマンドラマ。シリアスなテーマなはずなのに、どこか陽気なラテンスピリットも混じり、なんとも言えない後味が。まさに監督らしい独特なストーリー展開や色彩、音楽についつい引き込まれてしまうはず!
『ミルク』
▼STORY
舞台は1970年代のニューヨーク。同性愛者が市民権を得ていなかったこの時代に、20歳年下のスコットと出会い恋に落ちたミルクは、社会の不平等を改革すべく、自らゲイであることを公表。公職に就くことで、同性愛者ひいては様々なマイノリティの権利獲得のために立ち上がる。彼の活動は少しずつ実を結びはじめていたが、同時に強い反発を引き起こし…。
実話を描いたこちらの映画。ハーヴェイ・ミルクは、70年代のアメリカで同性愛者として初めて公職に就き、「自由」や「権利」のために戦ったまさに英雄。今以上にLGBTQ+に対する風当たりが強かった当時、勇気を出して行動を起こし功績を残した彼の存在は、今尚多くの人々にとっての希望に。こういった歴史があって今があること、そして平等とは何かを考えさせられる味わい深い作品!
『キャロル』
▼STORY
1952年、クリスマス間近のマンハッタン。写真家を目指しながらデパートのおもちゃ売り場で働くテレーズは、キャロルという人妻に目を奪われる。その視線に気が付いたキャロルは、故意に手袋を忘れる。テレーズがそれを自宅に送り届けたことから関係が縮まり、やがて会うことに。しかし離婚訴訟の真っ最中で、娘の親権を巡り夫と泥沼の争いを繰り広げていたキャロルは、心を癒すかのように、テレーズを小旅行に誘う。この旅がきっかけで、運命が変わっていくとも知らずに。
同性愛に対する偏見や差別が色濃い中で、自分たちの心に正直に生きた、ふたりの女性の美しき物語。様々なことが複雑に絡み合う状況下で、普遍性を感じさせる愛に引き込まれること間違いなし! キャロル演じるケイト・ブランシェット、テレーズを演じたルーニー・マーラともに、ゴールデン・グローブ賞の主演女優賞にWノミネート。レトロファッションも、とっても素敵♡
『RENT』
▼STORY
1989年のニューヨーク・イーストヴィレッジ。荒廃したロフトに住む元ロックミュージシャンのロジャーとルームメイトの映像作家を目指すマークは、家賃=レントを滞納してしまうほど貧しい生活を送っている。そんなロフトでは、ダンサーのミミや大学講師でハッカーのコリンズ、ドラァグクイーンのエンジェル、パフォーマーのモーリーンと彼女でエリート弁護士のジョアンらが、同じく悩みを乗り越え日々を懸命に生きている。
HIVやドラッグ、そして同性愛などをテーマに、1980年代終わりの若者たちの生き様を描いた伝説的ミュージカルの映画版。一見重く思えるこれらのテーマも、活気に溢れた歌や踊りによって前向きになれるところが、この作品ならでは。様々な困難に直面しながらも、生きることに喜びを見出す彼らの姿に、きっとパワーをもらえるはず!
『わたしはロランス』
▼STORY
カナダのモントリオールで国語教師を務めるロランスは、恋人のフレッドと何不自由のない生活を送っていた。しかし、30歳の誕生日を機にふたりの関係が一変する。ロランスが、女性になりたいと打ち明けたからだ。戸惑うフレッドはロランスを激しく非難するも、やがて一番の理解者としてともに生きていくことを決意する。周囲の反対や心の葛藤を乗り越え、歩み続けるふたりの行く先とは?
新鋭グザヴィエ・ドラン監督が、若干23歳にして手掛けた長篇3作目。ロランスがカミングアウトすることで、お互いの人生が大きく変わることになるのだけれど、それこそが必然と言えるふたりの絆に心を動かされる作品。美しい映像と音楽にも魅了されるファン続出!
『 L の世界』
▼STORY
レズビアンたちが集まり、近況を交し合うLAのカフェ「プラネット」。そこに飛び込んできたのは、作家になる夢を叶えるため、恋人の住むここLAに移り住んできたジェニーだった。魅力たっぷりのレズビアン女性たちと出会い行動をともにするうちに、今までとは異なる人生観を抱きはじめる。そして、ジェニー自身のセクシャリティも変化しはじめるのだった。
レズビアンやバイセクシャル女性の人生を描き、世界中で大人気となったテレビドラマ。2004年よりシーズン1からシーズン6まで放送。10人の脚本家の内9人が実際にレズビアンで、そのコミュニティの実話を元にしたというリアルなストーリー展開や愛らしいキャラクターたちが、当事者はもとより多くの女性たちを虜に。レズビアンの世界が垣間見える、まさにバイブル的名作は要チェック!