大胆なセックス描写が話題の「愛と性」をテーマにした映画は、敏感にその時世を反映しているもの。その芸術性が高く評価される作品もあれば、問題作として取り扱われる場合も。そんな映画史に名を刻んだ話題作をご紹介。セクシーすぎる内容なので、1人でドキドキしながら見たいかも…♡
【INDEX】
- ラスト・コーション
- アイズ・ワイド・シャット
- ナインハーフ
- 愛人/ラマン
- ドリーマーズ
- ブルーベルベッド
- フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ
ラスト・コーション(2007年)
1938年、香港。日中戦争の激化から逃れ香港にやってきた女子大生のワン・チアチー(タン・ウェイ)。学生演劇に誘われたことをきっかけに仲間と抗日運動に参加する。チアチーの任務は有閑マダム"マイ夫人"になりすまし、日本の傀儡国家・汪兆銘政権の高官イー(トニー・レオン)に取り入る"抗日スパイ"となることだった。
薄暗い室内で美しい女性たちが繰り広げるひそひそ話や、鮮やかな色を使った衣装など、どのシーンを切り取っても絵になる美しい映像にまず引き込まれる。チアチーとイーの仲が深まると共に大胆なセックスシーンが幾度も展開されるが、感情をあわらにするチアチーと、極限まで表情を出さず小刻みに震える体や頬の動きだけ愛情を表現するイーの対比が、エロティシズムをさらに掻き立てる。愛は媚薬―そんな言葉が頭をよぎる、道ならぬ愛の物語。
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アイズ・ワイド・シャット(1999年)
NYの開業医ビル(トム・クルーズ)と妻のアリス(ニコール・キッドマン)は愛娘と共に一見幸せそうに暮らしていたが、実は2人は倦怠期を迎えていた。そんなある日、2人は友人夫妻が主催したパーティに呼ばれる。そのパーティをきっかけに不思議な出来事が次々と起こりはじめる…。
一度見ただけでは意味が分からない難解映画としても有名。当時おしどり夫婦として知られていたトム・クルーズとニコール・キッドマンが大胆なセックスシーンに挑んだことで大きな話題になり、世界的に大ヒット。人が死んだり、秘密結社に行ったり、他人の性行為をみんなで見たりとビルは迷宮のような世界に入っていくのだが、アリスが最後に言い放つ、シンプルで本能的な一言で全部カタがついてしまう。奇才スタンリー・キューブリック監督の遺作となった作品。賛否両論ある作品だけど、ニコール・キットマンのヌードが美しかったことだけは、きっと誰も否定できないはず。
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ナインハーフ(1986年)
舞台はNYマンハッタン。離婚したばかりのエリザベス(キム・ベイシンガー)は、謎めいた男性ジョン(ミッキー・ローク)に出会う。素性が分からないまま付き合いはじめた2人だが、エスカレートしてくるジョンのゆがんだ欲求に、エリザベス応えられなくなる…。
9週間半に渡る日々を描いているから"ナインハーフ"―この想像を掻きたてられるタイトルもキャッチーだし、まだまだ斬新だった目隠し、氷を使った前戯、ベトつくハチミツを使ったイチャイチャシーンも話題に。きっと真似したカップルは多かったんだろうな~と、ヒットの理由を今改めて納得。ふわゆるヘアのキム・ベイシンガーはとてつもなく可愛らしく、80年代ファッションのリバイバルが来ているせいなのか、映画そのものがまったく古さを感じさせないのだからスゴイ! 整形のし過ぎで今や元の顔が分からなくなったミッキー・ロークだけど、当時はイケメンな上にセクシーな俳優の筆頭として君臨していた。「僕が食事を作り、君に食べさせ、皿を洗い、朝は服を着せ、夜は脱がせ、風呂に入れ、君の世話をする」なんてとろけそうなセリフをさらりと言っていたんだなあ…とそこだけには時代を感じるのだけど。
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愛人/ラマン(1992年)
1929年、フランス領インドシナ(現在のベトナム)が舞台。15歳のフランス人少女(ジェーン・マーチ)は、寄宿学校で暮らしている。実家には母と兄2人が暮らしているが、母が詐欺にあったことから暮らしは貧しい暮らしを余儀なくされている。そんなとき、船着き場で裕福な華僑の青年(レオン・カーウェイ)と出会い、関係を持つようになる。
マルグリッド・デュラスの自伝的小説を映画化した作品。一見華奢であどけない少女だが、薄暗い密会部屋では豊満で美しい体をさらし、性の快楽にふける姿は衝撃的。ジャンヌ・モローのハスキーなナレーションもセクシーさをそそる。リップグロスを塗ったような、艶やかな口紅が似合う主演のジェーン・マーチは、この作品で大注目されたものの、その後役に恵まれずに消えてしまったのは残念。
ドリーマーズ(2003年)
1968年、5月革命前夜(若者による、反体制運動)のパリ。交換留学でパリにやってきた、アメリカ人のマシュー(マイケル・ピット)。映画が好きな彼は映画館に通っているが、そこで双子の兄妹イザベル(エバ・グリーン)とテオ(ルイ・ガレル)に出会う。すぐに意気投合した3人は、双子の自宅に招かれ、そこで暮らすようになる。両親が旅行に出かけてると3人は自堕落な生活を始めるが、あまりに性に開放的な兄妹に、マシューは驚きを隠せないのだった。
「ラスト・エンペラー」で重厚かつスキのない世界を作り上げたかと思えば、「魅せられて」のような瑞々しい表現も得意とするベルナルド・ベルトルッチ監督。「ドリーマーズ」では世間知らずで頭でっかち、体は立派な大人になってしまった若者3人の大胆だけれど、どこかポップで開放的な性の世界を描いている。映画好きな3人の設定なので、60年代フランス映画へのオマージュが多いのも楽しい。堂々とした脱ぎっぷりのエヴァ・グリーンは何とこれがデビュー作なんだとか。兄役のルイ・ガレルもただものではない色気を見せてくれる。
ブルーベルベッド(1986年)
父親が入院したためボルチモアの実家に帰ってきた、大学生のジェフリー・ボーモント(カイル・マクラクラン)は、通りかかった野原で切断された片耳を見つける。知り合いのウィリアム刑事に届けたことをきっかけに、彼の娘サンディと知り合いになる。彼女によると、どうもこの事件にはクラブ歌手ドロシー(イザベラ・ロッセリーニ)が関係しているらしいということ。興味を持って彼女の部屋に侵入してクローゼットに身を潜めていると、暴力を伴う性行為が始まった…。
今年シーズン3が作られた大ヒットドラマ『ツイン・ピークス』を手掛けたことでも知られるデヴィッド・リンチ監督の出世作。不可思議な設定、暴力、殺人、そしてセックスを組み合わせ、グロテスクな性の世界が繰り広げられる。公開当初は評価されなかったものの、後にリンチの作風として認められ、全米批評家協会賞も受賞。イザベラ・ロッセリーニが豊満な体が、作品のエロティシズムの要となっている。この作品をきっかけに、イザベラとリンチ監督はしばらく交際していたんだそう。
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フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ(2015年)
ワシントンで大学に通うアナ・スティール(ダコタ・ジョンソン)は、ある日親友ケイトから大学新聞の取材に自分の代理で行ってほしいと頼まれる。相手はグレイ・エンタープライズ・ホールディングスのCEOクリスチャン・グレイ(ジェイミー・ドーナン)。緊張しながらも何とかやりとげたアンは、クリスチャンに恋心を抱く。しばらくしたある日、アンはクリスチャンにバイト先でバッタリ出会う。少しずつ近づいていく2人だったが、彼は交際を申し込むのではなく、アナにある契約を持ちかける。それはSMプレイのパートナーになるための「秘密保持契約」だった。
世界で1億冊以上売れた大ヒットSM官能小説の映画化。話題作であると共にSMシーンを含む大胆なセックス描写があるため、配役段階からざまざまな情報で盛り上がったのは記憶に新しい。どこか垢抜けない女の子が激しい性の喜びに目覚めつつも、「本当にほしいもの」を再び手に入れようとする…というストーリーラインは割とシンプル。しかしSMという映像化しづらい題材を正面から描いたことで、"興味津々"な人たちに大きく支持された模様。映画も全世界で5億7,100万ドル(856億円)の大ヒットとなった。続編も今年公開済。3作目も作られる予定なんだとか!
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