29日に幕を開けた「ニューヨーク・ファッションウィーク(NYFW)」で、とあるランジェリーブランドが"乳がんを克服した女性たち"をモデルに起用したことが話題になっている。

そのランジェリーブランドの名は「AnaOno」。実は、デザイナーでブランドを設立したデイナ・ドノフリーさんも乳がんを克服したひとり。自身の経験を活かし、乳がん患者や克服した女性のための下着と部屋着を展開している。

公式サイトによると、「一般的なブランドでは叶えられない、乳がんを経験した女性たちが心地良さを感じたり、自信が湧いてくるような下着を作っている」んだそう。

またサイトでは、多くのがん患者は「内面では自分自身をセクシーだと感じていても、それをファッションで表現することができない」環境にあることも指摘している。

今回「NYFW」では、乳がんを経験した女性を応援する「AnaOno」と、がん患者やその家族をサポートする「#Cancerland」がタッグを組み、16名の乳がん経験者を起用。モデルたちの年齢、体型、出身地などはバラバラで、唯一の共通点は「乳がんと診断された」ということ。それぞれの個性が光ったランウェイに、観客たちは拍手喝采!

anaono intimates x cancerland at new york fashion week art hearts fashion nyfw fw17
Arun Nevader//Getty Images
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Arun Nevader//Getty Images
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Arun Nevader//Getty Images

デザイナーのデイナさんは、プロのモデルではなく乳がん患者を起用したことについてこう話す。

「生きる力にあふれた女性たちをランウェイで披露できたこと、とても嬉しく思います。彼女たちが、NYFWを歩くスーパーモデル、観客、または地下鉄に乗っている女性や家の近所を歩いている女性となんら変わりないことを証明したいと思いました。乳がんと診断された人も、胸がある人もない人も、傷があっても、乳首の代わりにタトゥーがあっても、みんな同じなんです。女性たちは等しくパワフルで、セクシーな存在なのですから

華やかに前向きなメッセージを伝えながらも、同時に深刻な面も広めることを使命だと考えている「AnaOno」。

乳がんの問題に取り組む女優ミラ・ソルヴィノを迎え、乳がんのステージ4と診断された患者の半数は3年以上生存することがないという事実や、治療法の研究のために多額の資金や人材を投じる必要があると訴えた。

最近では日本でも乳がんへの理解や深まりつつあるけれど、まだまだ学ぶべきことはたくさんありそう。忘れてはいけないのは、デイナさんが言うように、人間の美しさは表面的なところだけにあるわけじゃないということ。