25日（現地時間）、1960年代から近年まで活躍し続けた名女優メアリー・タイラー・ムーアが亡くなった。80歳でこの世を去ったメアリーは、女性に対するハリウッド悪しき固定概念を打ち破り、等身大の女性像を体現したパイオニア的存在。彼女が残した名言を、写真と共に振り返る。
1月25日（現地時間）80才で息を引き取ったアメリカの名女優
笑顔を絶やさない名女優メアリー・タイラー・ムーアが最初に注目を浴びたのは、60年代のTVドラマ『Dick Van Dyke Show』で演じた主婦役。しかし、主婦と言っても当時描かれることの多かった一般的な主婦像ではなく、"元ダンサーで色気たっぷりの主婦"という個性的な役どころ。
その後さらに名を広めるきっかけになったのは、1970年代に7シーズンも続いた『Mary Tyler Moore Show』。主演をつとめたメアリーが演じたのは、当時では珍しかったテレビ局でバリバリ働く独身の30代女性。"未婚のキャリアウーマン"という役柄を演じることで、女性に対する固定概念を覆した。
「女性の生きる道を切り拓いた」女優
「エミー賞」を7度も受賞し、アカデミー賞にもノミネートされたメアリー。多くのセレブが彼女の功績を称えた。カーダシアン家のママ、クリス・ジェンナーは「銀幕のスターであり、女性にとって先駆者的存在」だと語り、他にも多くのセレブたちが「パワフルな女性にもユーモアがあることを示してくれた」や、「女性の生きる道を切り拓いてくれた」と、老若男女問わず彼女の死を惜しんだ。
元気すぎたメアリーを心配した祖父
笑顔がトレードマークだったメアリー。幼少時代には、1日中ずっと飛び跳ねているメアリーの姿を見た祖父が、「この子は将来、ステージに立つ人間になるか、刑務所に入る人間になる」と心配したんだとか（笑）。
ハリウッドのタブーを破り、等身大の女性像を表現
ハリウッドでは「女性はスカートを履くもの」と考えられていた時代に、カプリパンツを履いて『Dick Van Dyke Show』に出演したメアリー。当時についてインタビューで聞かれると、こう答えた。
「女性は掃除機をかける時に裾の長いワンピースなんて着ないわ。だからパンツを履いたの。でも放送局は、私のパンツ姿がカッコいいから世の中の女性が怒っちゃうって言ったの。それで最初は1シーンでのみパンツ着用が許されたんだけど、そのままズルズルと履き続けていたら、男性は"許してくれた"し、女性はホッとしたそうよ。『そう、本当は私たちが着ている服はそれなのよ！』ってね」
他にも、「私や友人の実生活をドラマに取り入れただけ。見た目を気にせずパンツを履いている、本物の主婦をね」と語るなど、等身大の女性像を体現した。
笑顔の裏には、多くの苦難が
33才で糖尿病を患い、アルコール依存症を告白したこともったメアリー。長年にわたり多くの病に悩まされただけでなく、3度の結婚や息子の自殺など、多くの苦難を乗り越えてきた。それでも表舞台に立つ時には笑顔を絶やさず、熱心に動物愛護に取り組んだり、若年性糖尿病の研究をサポートするなど、より良い世を願い活動を続けた。
晩年は外出を控えるように
ヒットドラマにゲスト出演することも多かったメアリー。『ザット'70sショー 』や『リップスティック・ジャングル』にも登場していたが、2011年に脳の手術を受け、糖尿病の症状で視力を失いかけていたことなどから、晩年は外出を控えていたそう。
名誉ある生涯功労賞を受賞
1980年に出演した映画『普通の人々』で「ゴールデングローブ賞」を獲得。その後も数々の賞にノミネートされたメアリーは、長年の功績が称えられ、2012年には全米映画俳優組合賞の「生涯功労賞」を受賞した。
メアリーの星に献花
テレビ放送業界への功績が称えられ、「ハリウッド・ウォーク・オブ・フェーム」で殿堂入りを果たしたメアリー。彼女の星に花を手向けるファンも。
心に刺さるメアリーの言葉
最後にメアリーが残した5つの名言をお届け。
1. 「人生楽しいことばかりだったら何かに挑戦する勇気は湧かないわ」
2. 「何かに賭けてみて、失敗するのよ。人はそうして成長するのだから。痛みは勇気を育てるの」
3. 「夢がなければ生きていけない。試練を乗り越えることで生きがいのある人生になるのだから」
4. 「時には相手のことをじっくり知るまで、相手が赤の他人であることに気づかないのよね」
5. 「私が抱えているアルコールの問題をこうしてオープンに話したことで、自身の抱える問題を見て見ぬ振りしていた人にも、気づいてもらえる機会を与えられたのではと思う。『私は見た目は問題ない。綺麗な服を着て、爽やかな人。だけど、アルコール依存症なの』って思ってくれたらいいわ」
