近年ファッション業界では、細身のモデルばかりを起用してきた悪しき風習が問題視されつつある。そんな中、パリでのファッションウィークを目前に、<クリスチャン・ディオール>や<ルイ・ヴィトン>などのハイブランドが、世界中のモデルの健康を守るために自主規制を導入すると共同声明を発表

自主規制を発表したのは、多くのハイブランドを傘下に持つコングロマリット「LVMH」と「ケリング」。ちなみに「LVMH」は<セリーヌ>や<ディオール>、<エミリオ・プッチ>、<フェンディ>、<マーク・ジェイコブス>、そして<ルイ・ヴィトン>などのブランドを持ち、「ケリング」は<グッチ>や<サン・ローラン>、<アレキサンダー・マックイーン>などのブランドを保有。

両社は具体的に、女性モデルはフランスのサイズで34、アメリカのサイズで2以上なければ起用しないことを決定。男性モデルの場合はフランスサイズの44以上。また、16歳未満のモデルを大人向け商品に起用しないことも決定。さらに16歳から18歳のモデルには必ず保護者の付き添いが必要になる上、就業時間にも制限が加えられることに。

これらの規制はファッションショーだけでなく、撮影にも適用されるとのこと。また、フランス内だけでなく、世界中どこにいてもこの規制は適用に!

2015年にフランスで可決し、今年の10月から実施される法案によると、モデルが健康であることを示す医師の診断書が必須になっている。しかし、現状では2年以内の診断書であれば良いところ、今月中に実施される「LVMH」と「ケリング」の自主規制では6ヶ月以内とされている。

また、メンタルヘルスにも特化し、仕事現場に相談できる心理学者やセラピストを常時するのだそう。とっても先進的!

LVMH」の役員の1人、アントワーヌ・アルノー氏は改革にあたり、声明を発表。

これはxの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。

「モデルが健康であることは我々にとってとても重要なことです。高級ブランドのリーダーとして、モデルの新たな基準を作る責任があると感じています」

2015年にはチャーリー・ハワードというモデルが、アメリカサイズ2だったにもかかわらず、「太すぎる」と言われたことを告白し大きな話題に。

他にもプラダやシャネルなどのファッションショーや大手ファッション雑誌の表紙に起用されていたモデルが、りんご3個と飲み物だけで1日を過ごしていたと今年自叙伝で記している。髪の毛は抜け落ち、6ヶ月間生理がこなかったそう…。また、一生子どもを作れないカラダになったモデルの友人も複数いると告白。ファッション業界が抱える深刻な問題が浮き彫りになった。

一見すると華やかでも、実は非常に過酷な環境で働いているモデルたち。彼らを守るためにも、そして真のダイバーシティに近づくためにも、ファッション業界がまた一歩、大きく前進したよう。