ドラマ『ヴェロニカ・マーズ』や『ゴシップガール』、また映画『アナと雪の女王』などで知られる女優のクリステン・ベル。今やハリウッドにとって欠かせない存在の彼女だけど、一時期は仕事が思うようにいかず自暴自棄になっていたのだそう。そして、そんな時に「真の優しさが持つ力」に気づかされたのだと、<コスモポリタン アメリカ版>に語った。

「私は遺伝と(よくも悪くも)運により、小さめの体格の人間に生まれました。5フィート2インチ(約157センチ)で、水準とされる筋肉量にも達していない。それでも、私はいつも自分は強いと感じていたの。それも、とても強いのだと。オリンピックで金メダルを獲得できるくらい。それは言い過ぎかもしれないけど、表彰台に乗れるくらいね」

「高校生の頃、この『私は強い』という妄想の元になっているものが『他人への親切心』だと気づいたの。私は他人に親切をすることでエンドルフィンが上がり、精神面だけでなく体力面でも強くなったと感じていた。この関連に気づいてからは、1日の大半を他人への親切に使うことに。道ですれ違う見ず知らずの人に笑顔を振りまき、慈善活動も積極的に行った」

「その後夫と出会いました(夫は俳優のダックス・シェパード、2007年に交際スタートし2013年に結婚)。夫には私の信じていたことすべてを覆された。あれは交際を始めて間もない頃、彼に相談事をしたの。あの頃の私は、他の女優と自分自身のキャリアを比べていたわ。周りを見渡しては、『私も同じように情熱を持っているし、能力もあるのに、なぜ役がもらえないの』とばかり考えていました」

「他人と比べて自分のキャリアが劣っていることに怒りを感じたし、ひどく落ち込んだ。当時の自分は、知らぬ間に周囲と比べることによって自分の価値を測っていたのよね。その頃は私の愚痴に対して『そうよ、あなたがその役をもらうべきだったわ!』と言ってくれる友人が大好きだったの」

「だけど、同じようにダックスに話したら『君はクレイジーだ。それでは自滅してしまう。自分自身が本当に比べられるのは、昔の自分だけだ。常に他人と比べていては嫌な気分になるだけだろ』と忠告された。彼は私を甘やかすのではなく、正直に話してくれたのです」

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「はじめは彼のアドバイスを聞き入れようとしなかった。だって、私は怒りへの同調を求めていたから。でも、その時の私に本当に必要だったのは、被害者だという意識に拍車をかけるのではなく、新たな視点を受け入れる環境だったの。彼は、誰もが進んでやりたがらない『真実を話す』ということをしてくれた。彼の行動こそが『真の優しさ』だった」

「彼の行動を通して私は『親切心』と『優しさ』が違うのだと知りました。本当の優しさはチャリティーに寄付するような行動だけではない。例えば、相手を思うからこそ勇気を持って、きっと聞きたくないようなことを正直に話すこと、さらに自分自身も傷つくことを承知で話せることだと思う。それってすごく怖いわよね。でも、その優しさがちゃんと伝われば、相手が進歩できるのだから、ものすごくやりがいのあることだと思うわ」

「夫は私に多くのことを教えてくれました。その中でも『真の優しさの持つパワー』を教えてくれたことに最も感謝しているの。真の優しさを知ったおかげで、今の私はこれまでにない強さを持っているのだから。オリンピックで金メダルを獲得できるくらいね」

嫌なことがあった時、昔のクリステンのように周囲へ同調を求めたことのある人は少なくないのでは。だからこそ、愚痴を聞く側も相手に同調してしまうのかもしれない。だけど、本当に相手を思いやるのであれば、クリステンが夫にしてもらったように「真の優しさ」を持って、真実を述べることが大切なのだろう。本当の優しさに触れれば、人間は成長し、強くなるのだから。