「千と千尋の神隠し」を超え、日本映画として世界興行収入第1位となった『君の名は。』が、4月からスウェーデンでも公開され高い評価を得ているって知ってた?
そんな、北欧に新旋風を巻き起こしている同映画の吹き替え版で、主人公の瀧を演じて一躍注目を浴びているのがYOHIOさん。彼はヴィジュアル系バンド「DISREIGN」のボーカリストとしても活躍中で、ミュージシャン、俳優、声優、そしてCEO…と、マルチにこなす22歳。今回「コスモポリタン」では独占取材を敢行し、日本語も堪能な彼に映画の魅力やスウェーデンと日本の文化の違い、外国語をマスターするための方法などを語ってもらいました!
映画『君の名は』について
―ストックホルムでのプレミア上映で、初めて全編通して観たってことだったけど、どうだった?
(自分の演技が)想像以上に良くてホッとしたよ(笑)。長編映画は初めてでちょっと緊張してたからね。スウェーデン語版のトレイラーを見た日本人のファンが感想を教えてくれたりしたんだけど、すごく好反応で嬉しかった!
―お気に入りのシーンはある?
終盤で、瀧が山にひとりで立っているシーンが一番良かったかな。
―本業はミュージシャンだけど、声優として瀧を演じるのは難しかった?
瀧の役をやるって決まった時に、「本当に俺に出来るのかな…」って思ったんだよね。大役だったから緊張もしたし…。でも勇気を出してスタジオに入ったら「やるか!」って気持ちになれて。それから後はただひたすら集中してたよ(笑)。 年齢が近いというのもあって、難しい役だけどそんなに遠くない存在だったのも良かったのかな。日本語版の『君の名は。』を見ていたから瀧の気持ちも理解できたし、俺も田舎育ちだから三葉の気持ちにも共感できたんだ。
―ミュージシャンとして活動している時と、演技に携わっている時の違いは?
ステージに立っている時も、それはそれで何かを演じているんだ。自分の中の理想の自分が前に出てきて、ステージに立っているという感じ。一方で俳優や声優をする時は、与えられた役を演じているという意味では違うかな。
日本とスウェーデン、その違いについて
―弱冠14歳でビジュアル系バンドを始めて、2012年頃には日本でも活動してたYOHIOさん。来日のキッカケは?
2012年以前から日本に遊びに行くことは何度かあったんだけど、「Seremedy」というバンドで活動していた時にソロでのメジャーデビューが決まったんだ。それからプロモーションなどで、日本のテレビ番組にも出るようになったんだよ。ずっと日本でビジュアル系バンドをやりたいという気持ちがあったから、叶った時はもちろんすごく嬉しかった! その後また、スウェーデンに戻ってきたんだ。
―ズバリ日本の魅力って何?
ビジュアル系バンドを育てた国というのもあるけど、小さい頃から日本の文化の面白さに惹かれて、関連する本を読んでたんだ。やっぱり日本には、他のどのアジアの国とも違った独特の風土があって、そこが魅力的だと思ってるよ。アジアの中の日本という感じではなくて、"日本は日本"って感じ…分かるかな? 独特に発展した文化は不思議なことが多くて、だからこそもっと知りたいと思うんだ。日本に行くとしょっちゅう、「これは何だろう」とか「知りたいな」って気持ちがあふれて楽しいんだ!
―スウェーデンの魅力も教えて!
寒くて、人があまりいなくて、自然が美しい…かな? スウェーデンにも良いところはたくさんあるんだけど、自分にはあまり合ってないと思ってるから…(笑)。静かで、たいていの人が優しいところも魅力だね。文化に関して言えば、日本とスウェーデンは対極にあるようなものだけど…。
―日本とスウェーデンでの音楽活動ってどんな違いがあるの?
文化の違いも当然あるけど、スウェーデンは小さな国だから音楽業界も小さくて。 一年活動するとやれること全部やっちゃった感じになる。 最近はスウェーデンとフィンランドでもビジュアル系バンドが増えてきて嬉しいけど、ちゃんとしたシーンを作るのには時間がかかるだろうね。
日本にはビジュアル系バンドのシーンがちゃんとあって、たくさんのファンベースもあって 、色んなチャンスがある。でもスウェーデンには俺しかいないから。皆が俺のことを知っててくれてそれは嬉しいんだけど、寂しくも感じる。1人でこのジャンルをやってて、ビジュアル系雑誌も無い、番組も無い、イベントもフェスも無い。俺はいつも否定してるんだけど、スウェーデンではどうしてもビジュアル系バンドのアーティストではなくて、ポップスターとして扱われちゃうんだ。それならいっそ、ロックスターって言われたいんだけどな…。俺はジャスティン・ビーバーではないからね(笑)。
―ビジュアル系バンドに対するスウェーデン人の反応は?
皆に変だと思われてきたし、言われてきたよ(笑)。でも、そういう反応を気にする必要はないってずっと思ってやってきたんだ。実はビジュアル系バンドって、メタルの要素を含んでいたり、ポップスに寄せた曲作りもできたり、様々なジャンルの音楽の融合なんだ。だから好き。スタイルにしても音楽的にも、やりたいことを実現できる柔軟性があるんだよ。
グローバルに活動するための秘訣
―国境を越えて活動しているYOHIOさんに、コスモポリタンの今月の特集「グローバル」に関する質問を。語学堪能で、このインタビューも日本語で進めさせてもらっているけど、日本語を勉強をするようになったキッカケは?
子どもの頃から日本が好きで、ずっとアニメを観てたんだ。最初は字幕で観ていたんだけど、日本語の響きの美しさに魅了されて、「知りたいな、話せるようになりたいな」って思うようになって勉強を始めたよ。当時は10歳くらいだったかな!
―アニメに限らず、日本の映像作品で好きなものは?
『素直になれなくて』というドラマかな。Twitterで知り合って、ネット上でしか話したことない人々が、実際に会って本当に友達になるっていうストーリーなんだ。ロマンスの要素もあって面白いから、何度も観たよ!
―これから外国語を勉強しようと思ってる人たちにアドバイスを!
まずは、その言語を話す友人をつくること! 毎日いっぱい話して、ドラマでも本でも良いから、毎日その言語に触れること。それと、SNSでも学びたい言語で投稿しているアカウントをフォローするのもオススメだよ! 自分でもブログで発信するのも良いかもね。やっぱり毎日触れていないと、レベルが落ちちゃうと思う。
―これからまた日本で活動するとしたら、チャレンジしたい事はある?
日本でも声優としてお声がかかるといいんだけど…。俳優もやってみたい! 『君の名は。』は、携わっていて本当に楽しい作品だったよ。
―この記事で初めてYOHIOさんを知った人もいると思うので、一番お気に入りの曲を教えてもらえるかな?
ソロだったら「REVOLUTION」かな。バンド「DISREIGN」だったら、一番最近のリリースで3rdシングルの「WITHIN THE VOID」。日本でも購入できるはずだよ。
[youtube ]https://www.youtube.com/watch?v=3uKSVOfpjuk&feature=youtu.be[/youtube]ビジュアル系バンドのボーカル、と聞くとハードなイメージだけど、実際に話してみると、穏やかなのに凛とした強さを持っているという素敵なギャップを披露してくれたYOHIOさん。日本に対する溢れんばかりの情熱を糧に、グローバルな活躍に乞うご期待です!
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