その明るいキャラクターから、アメリカで大人気のモデル、クリッシー・テイゲン2010年に『スポーツ・イラストレイテッド』のスイムウェア特集に抜擢されてからは度々同誌にモデルとして登場し、人気番組『リップシングバトル』の司会を務めながら、昨年は料理本を出版したというマルチな才能も彼女の魅力。

私生活では、歌手のジョン・レジェンドと結婚。不妊治療の末、昨年4月に体外受精により女の子ルナちゃんを出産! 喋るのが大好きで爆弾発言も厭わないクリッシーと、そんな妻を優しい眼差しと大きな器で見守るジョンという理想の夫婦に憧れる女性も少なくないんだとか。

よく笑い、友だちも多くて、心優しい旦那さんと暮らすクリッシーは、傍から見れば幸せそのもの。ところが、<グラマー誌>のエッセイで、実は産後うつにかかっていることを告白。その苦しみや、産後うつが誰にでも起こりうることだと語ったんだそう。

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「世界一幸せ」のはずが…

「私は、世界一幸せな女だと思われているかもしれないわ。知り合って10年以上経つ、最高な夫ジョンがいる。彼は私の成功も失敗も、最もどん底だった時期も知っているの。彼は見た目の通り、思いやりを持ち、寛大で愛にあふれている人。(中略)私は昨年の4月に、女の子ルナを出産した。ルナは完璧よ。ルナはジョンや私にそっくりでもあるけど、ルナ自身の個性も光ってる。本当にルナを愛してるの

「すべてが手に入って、幸せなはずだった。でも、去年はほとんど不幸せだったわ。12月にやっと産後うつだと判明したのんだけど、私はその診断を受け入れらなくて、話すことを拒んだの。だって私が話をすると、なんでも大げさなニュースになるから…ね。体外受精で子どもの性別を選んだときだってそう。だから産後うつを認めると、どんな風に書かれるのか想像ができた。だけど、これは私の人生の大きな一部であり、多くの女性も経験すること。だから、話さないわけにもいかないって思い直したの」

「妊娠期間は本当に素晴らしいもので、エネルギーでいっぱいだった。もちろん出産の時だって、生まれた瞬間にルナを胸の上に乗せたわ。心の底から幸せだった」

「ストレスは環境が原因」だと思い込んだことも…

「マイホームを建設中だったから、ルナを出産した後しばらくは賃貸で暮らして、その後にホテルに移ったの。当時感じていたストレスや悲しみ、そして孤独感はすべて環境のせいだと決めつけていたわ。『家ができれば、きっと良くなる』って信じてたの」

恵まれた職場復帰を叶えるも、不安定に…

8月に『リップシンクバトル』で仕事復帰したの。番組のスタッフはすごく良くしてくれた。楽屋にはルナの部屋を作ってくれたし、壁には巨大な家族写真まで飾ってくれたの。撮影中は音を小さくしてくれたし、空調もルナに合わせてくれた。ドアのノックでさえも小さくしてくれた上に、搾乳のための休憩まで考えてくれた。最高な仕事復帰だったの。それでも私は、ベッドから出ることができなった。腰はズキズキするし、肩や手首も痛かった。食欲もなくなったし、(食べることが大好きな)私が2日間も食べずに過ごしたこともある。それに、すごく短気になっちゃったのよ。仕事のことで何か聞かれても、すぐに怒って泣いていたわ」

そして、外出すらままならなくなって…

「どうして幸せじゃないのか、検討もつかなかった。仕事がない日は、一歩も外に出なかったわ。部屋のカーテンはすべて閉じたまま。2階のベッドにさえ移動ができなかったから、ソファでずっと寝てた。ジョンが4日つづけて一緒にソファで寝てくれたこともあったの。シャワーさえ浴びなかったし、突然泣き出すことも多かった。外にいても、とにかく小さく丸まって存在感を消していたわ」

カラダにも不調が…

その頃から、骨にひどい痛みが出るようになったの。腰痛がひどかったから病院へ。手首はリウマチの疑いがあって、専門の医者に診てもらったわ。常に吐き気があったから、胃腸専門の医者にも行った。そしてクリスマス前に、家庭医に健康診断をしてもらったの。疲れきったた私にジョンが付き添ってくれたわ。そこで色々と症状を聞かれ、"産後うつ"であることが判明したの」

「産後鬱」の診断後

診断された時、これから良くなるんだと思うと嬉しかった。ジョンも同じ気持ちだった。抗うつ剤を飲み始めると、少し良くなった。それから友人や家族、仕事仲間に産後うつだと説明したの。でも"産後うつ"という言葉は今でも好きじゃないの。"うつ"って言葉が、なんだかみんなを怖がらせる気がして…。だから"うつ"という言葉を使わずに伝えてきたんだけど、はっきりと言うことでタブーをなくせるのかもしれない…って今は思ってるわ」

多くの人をガッカリさせたことの方が、肉体的苦痛よりも辛かった。謝るべきことではないのだけど、謝りたかった。だから『リップシンクバトル』のプロデューサーには手紙を書いたの。彼女なら理解してくれると思ったから。彼女は私の様子がおかしかったことに気づいていたそうで、『いつでも助けになる』と言ってくれた。料理本の第2弾は延期しなくてはならなかったけど、エディターは理解してくれた。私は本当にラッキーだわ」

「私はわがまま」だと思ってしまった

「これまで同じ症状を告白してくれた知り合いがいなかったし、当時私の考えていた"産後うつ"って、子どもを嫌いになったり虐待することだったの。それに、まさか自分がなるはずなんてないって思っていたわ。母やジョン、それにベビーシッターがいて、みんなが支えてくれているのに、それでも私は産後うつになったの。こんな風にサポートしてくれる人がいるのに産後うつにかかるなんて、わがままだと思い込んじゃったのよ。だからずっと告白できなかった」

「誰にでもなる可能性はあるし、恥ずかしがらないでほしい。あなたは1人じゃない」

家族の支え

「ジョンは、ここ9ヶ月間ずっと完璧にサポートしてくれているわ。彼にだってツラい時はあるはずなのに、私には一切その姿を見せないの。私が落ち込んでいても責めたりしないのよ。それに私たちふたりとも、産後うつになった今でも、家族を増やしたいという気持ちに変わりはないわ。やっとみんなに話せてよかったわ!」

クリッシーの告白に世の反応は…?

クリッシーのSNSには、「タブーだと思われている産後うつのことを正直に話してくれてありがとう」や、「私も産後うつになったから、エッセイを読んですごく気が楽になった」などと、インタビューを読んだ世のお母さんたちから感謝のメッセージが続々と届いているみたい!

先進的なイメージのあるアメリカでも、メンタルヘルスを話題にすることは未だにタブーだと思われがちで、産後うつもそのひとつ。けれど、とある日本の統計によれば約10人に1人はなると言われているし、決して珍しいことではないみたい。産後うつと言っても、クリッシーのようなタイプもいれば、子どもに虐待をしてしまったり、その苦しみから自殺にまで追い込まれてしまう人もいるんだとか…。

産後うつは特別なことではなく、本当に誰にでも起こりうることであり、治療が可能なことを訴えたクリッシー。彼女の勇気ある告白に、救われたママも少なくないはず。そんなクリッシーは、いまだにカラダはまだ痛むし、数週間引きこもってしまうこともあるそうだけど、今後はセラピストのもとに通い快復を目指していくみたい。