トランスジェンダーの若者たちを守る目的で、公立学校で使用するトイレやロッカールームを本人の意向によって選べるような体制にするよう通達をしたオバマ前大統領。しかし、トランプ大統領が22日(現地時間)「トランスジェンダーではない人々の権利が害されるおそれがある」ことや、「Title IX(タイトルナイン)」という法律をに基づいているなどとし、通達を撤回。
そのため、トランスジェンダーの学生が使用するトイレやロッカールームを選べるかは、州や学区の判断に委ねられることになり、大統領は一切関与しないことになった。この決断に多くのセレブがショックを受け、元オリンピック選手でケンダル・ジェンナーとカイリーのパパであるケイトリン・ジェンナーが、トランプ大統領に宛てたメッセージを投稿。
ケイトリンは、ケンダルとカイリーを含む6人の子供がいる元陸上選手で金メダリスト。2015年に改名し、『Vanity Fair』の表紙を飾ったことで大きな話題に! それからはトランスジェンダー女性として、性的マイノリティのために積極的に活動中。
そんな彼女が、トランプ大統領による通達撤回後、LGBTQコミュニティと大統領に向けてメッセージを発信。
「アメリカにいるトランスジェンダーの子供たちへメッセージがあります。みんな勝ったのよ。今はそんな風に思えないかもしれないけど。でも、勝ったのよ。しかも、もうすぐ私たちは超党派の支持を得て、完全な自由を手に入れることになるわ。『(NPO法人)National Center for Transgender Equality』を訪れて、ワシントンに私たちの想いを伝えましょう」
またトランプ大統領へもメッセージ。
「トランプ大統領へ。共和党同士、話をしましょう。これは大失策よ。でもまだ修復できるわ。LGBTQコミュニティを守ると約束しましたよね? 電話をください」
ケイトリンは、先月も共和党に向けてメッセージを送っていた。
「共和党は、LGBTQが直面している問題を理解していないようです。私が助けになりますよ!」
「トランプ氏が、LGBTQコミュニティを守ると約束した」なんてにわかには信じられない人が多いと思うけれど、実は昨年の大統領選中、ケイトリンはトランプ氏に「トランプタワーの中では使いたいトイレを使用して良い」と言われ、女性用のトイレに入る動画を撮影していたんだそう。そして、トランスジェンダーの人々が、自認している性に合わせてトイレを使用することに反対していたテッド・クルズに、こんなメッセージも。
「ドナルド、本当にありがとう。それとテッド、誰も性的被害に遭わなかったわ」
Youtubeのスターで、以前トランスジェンダーであることからドバイへの入国を拒否されたジジ・ゴージャスも<People>にコメント。
「せっかくオバマが進めてきたことをトランプ氏が後戻りさせてしまって、大ショック。やっとここまで来たのに…。トランスジェンダーの子どもたちは、ようやく愛やサポートを受けはじめていたの。学校でも快く迎え入れてもらえてるって実感することが必要だったのに…。ふりだしまで戻ってしまって悲しいわ」
大統領就任式で国歌斉唱したジャッキー・エヴァンコは、トランスジェンダーの姉を持っていることもあり、Twitterでトランプ大統領へ平等を訴えた。
「光栄にも、私に就任式で歌う権利をくださいました。ぜひ私と姉に、あなたとトランスジェンダーの権利について話をする機会をください」
また妹がトランスジェンダーだった女優パトリシア・アークエットもこのようにコメント。
「私は人生の半分をトランスジェンダーの妹とトイレをシェアして過ごしました。トイレットペーパーがなくなること以外、何も恐れることはないわ。私を信じて」
他にもケイティ・ペリーやエレン・デジェネレスなど、このトランプ氏の決断に対し多くのセレブがコメントしている。
今回トランプ氏は、「心の性に合ったトイレ使用を禁止する」とは言っていないけれど、各施設や地域に委ねられるということは彼らの権利を保障するものではなく、ジジ・ゴージャスの言うように「ふりだしに戻った」感が否めない…。
LGBTQコミュニティについて、公に話し合いがされるようになったのはごく最近のこと。こんな時こそ、セレブのように声を上げてまずは理解を求めることが大切なはず。