人気トーク番組『エレンの部屋』に出演予定だったゴスペル歌手で牧師のキム・バレルによる、LGBTQ+に対する差別発言が波紋を呼んでいる。

キム・バレルと聞いてピンと来ない人は多いかもしれないけど、彼女は過去にゴスペル系のアワードを受賞したり、スティーヴィー・ワンダーやマライア・キャリーなど多くの一流アーティストとコラボしたり、かつてNASAでアポロ11号の飛行実験を成功に導いた3人の黒人女性を描いた映画『Hidden Figures(原題)』のサントラにも参加したりと、ソウルやゴスペル界では知らぬ人はいない重鎮的存在。

そんな、少なからず影響力のある彼女が差別発言をしている動画が出回ったことで、大炎上。『エレンの部屋』への出演見送りだけでなく、自身のラジオ番組を下ろされるまでに。

事の発端は彼女が礼拝する様子がFacebook Liveで配信されたことだった。そこでキムが熱心に語ったのが、他でもないLGBTQ+の人々に対する差別発言。しかもその内容は、「今日は罪の話をしにきたわ。ホモセクシャルな人は、自由になれるよう神に祈りを捧げよ!」、「2017年、ホモは死ぬ」、「ゲイやレズは変態」など、酷いものばかり。ところがこれらの発言が批判されると、キムは動画で釈明(動画後半部。現在は削除されている)。

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「神に告げられたことを言っただけ。言い訳も謝罪もしない。それにあの動画が全てではないし、ゲイやレズビアンの個人をターゲットにしたワケでもない」と話した

このような対応をするキムに対し、『エレンの部屋』への出演を抗議する人が殺到。番組に自身の名前を冠した司会のエレン・デジェネレスといえば、約20年前に自身のセクシャリティをカミングアウトするなど、そのLGBTQ+コミュニティへの貢献が認められ、大統領自由勲章を授与されたばかり。そんな彼女がこの騒動を見て見ぬふりなどするはずもなく、キムの出演キャンセルをエレン自らが報告した。

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「多くの質問が寄せられているけど、キム・バレルがショーに出演することはないわ」と明言。

また、Hidden Figures』でプロデューサーとサントラを担当し、キムとコラボもした歌手のファレル・ウィリアムスもInstagramでコメントを発表。名指しをせずに、平等さを訴えた彼の対応は多くの人から賞賛された。

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「私はヘイトスピーチを許しません。この世界には偏見を持つ余裕などありません。すべての人を仲間だと思い、皆に愛を与える世界になることが私の1番の望みです」とInstagramに投稿し、大人な対応を見せたファレル。

そして、ファレルのコメントに賛同したセレブたちが、彼の投稿をリポストしながら次々にコメント。『Hidden Figures』に出演している女優で歌手のジャネール・モネイもリポストした1人。

「あえてこのようにコメントしなければならないなんて。はっきりと言います。私はLGBTQコミュニティに対するヘイトを一切許しません。我々は皆『人間』という1つのコミュニティに属しているのです。宗教によって他人に愛を与えられなくなるのであれば、考え直して」

また、共演者のオクタヴィア・スペンサーもファレルの意見をサポート

「共感よ。みんな同じ神の子供なの。ヘイトや偏狭な考えでは何も解決できないわ」

さらに、ファレルはキムとデュエットを収録するはずだった『エレンの部屋』に1人で参加し、別の歌を披露。そこでも柔らかい口調でこのように差別について話した

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「彼女は素晴らしいアーティストです。私は他の皆さんを愛しているのと同様に、彼女のことも愛しています。みんなそれぞれ違うということに慣れ、ここは1つの大きな美しくカラフルな世界だと理解しなければなりません。受け入れる気持ちと共感する気持ちがなければ世界は壊れてしまいます」

「ヘイトスピーチを聞いて、自分に関係のないことだと思ったら、言葉を言い換えればいいんです。『黒人』『白人』『ゲイ』『トランスジェンダー』と言い換えるだけで、気持ちを理解できるはずです」

また、エレン自身もカミングアウトした時に差別されたため、常日頃から「他人に優しく」と心がけているそう。「差別や偏見を受けたからこそ、他人への思いやりが増したし、共感できるようになった。人と違うことを理由に傷ついてほしくない」と話した。

昨年はショッキングなニュースも多く、今年こそはハッピーな世の中になることを願っていたセレブが多かった。そんな中、年始早々このような問題が発生し、落ち込んでいた中でのファレルの温かい発言が賞賛を浴びることとなったようだ。