毎年12月に『TIME』誌が発表する、その年最も影響を与えた人物「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の顔)」に、トランプ次期大統領が選ばれたことが全米で話題になっている。これまでも"良くも悪くも1年に影響を与えた人物、グループ、アイディアや物"を取り上げてきた、「今年の顔」。トランプ氏本人は「光栄です」とご満悦

instagramView full post on Instagram

興味深いのは、表紙のキャッチ部分。なんと、「アメリカ合衆国の大統領」ではなく、「アメリカ"分裂"衆国(Divided States of America)の大統領」と書かれているのだ! これに関してトランプ氏は「私が分裂させたんじゃない」と反論。

読者調査では、インドのモディ首相が最も票を獲得していたものの、落選。他に今年の最終候補に残ったのは、ヒラリー・クリントン氏、ビヨンセ、ロシアのプーチン大統領、マーク・ザッカーバーグ氏、アメリカの女子体操シモーネ・バイルズ選手など。

この顔ぶれの中で選ばれたトランプ氏。先の選挙での番狂わせな勝利はアメリカ国外にも大きな衝撃を与えただけに"想定外"というほどではないかも…。ところが、彼のこれまでの問題発言などから「不適切な人選」だと声を上げる人も少なくないようで。

そんな世論の声に、TIME』誌の編集長はこう発言。

「トランプ氏以上に影響を与えた人物がいるとは言い難い」

とはいえ、彼の影響が「良いものか、はたまた悪いものなのか」に関しては、意見が割れてしかるべきとも考えているみたい。

「(意見が割れていることに関しては)それこそが、彼が直面している困難だと思います。選挙期間中、国は目に見えるほど分裂してしまいました。これまでに経験した選挙とは比べものにならないほどの分裂です」

「一般的に、『今年の顔』に選ばれることは名誉なことだと考えられがちです。もちろん素晴らしい影響のみ与えた人物が選ばれた年もありました。しかし、大抵はそうではありません。トランプ氏の多くの発言に反対している人が大勢いることは承知の上です。彼が大統領就任後はどのように人生が変わるのか不安に思い、恐れている人もいます。しかし、そのように考えている人(トランプの『今年の顔』に反対している人)に、『ではトランプ氏以上に何か影響を与えた人物、驚きを与えた人物が2016年にいますか?』と聞いてみたいです

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Donald Trump: Person Of The Year 2016 | POY 2016 | TIME
Donald Trump: Person Of The Year 2016 | POY 2016 | TIME thumnail
Watch onWatch on YouTube

1927年から始まった「今年の顔」。過去に選ばれたのは、こんな顔ぶれ。これを見ると、確かに編集長の意見は一理あるかも…。

昨年はメルケル首相、2007年にはプーチン大統領、遡れば1963年には「私には夢がある」のスピーチで知られる英雄のキング牧師、1952年にはエリザベス女王、そして1938年にはヒトラーの姿が。"影響力の大きさ"という意味では、筋の通った人選であることが分かる。

また、アメリカの大統領となると必ずと言っていいほど選ばれる傾向にあるよう。オバマ大統領は2008年と2012年に、ジョージ・W・ブッシュ元大統領は2000年と2004年に、クリントン元大統領は1992年と1998年に表紙を飾っている。

面白いのは2006年の「今年の顔」が「You(あなた)」だったこと。ウィキペディアやYoutubeFacebookなど、「SNSやネット上に情報を提供した人」という意味だったそうで。他にも、1982年に「コンピューター」が選ばれたり、1988年は「危険にさらされた地球」が選ばれたことも。世相を表している上に、アイロニック! まだまだネット上での論議は続きそうだけど、来年の「今年の顔」が今から楽しみ。