クラシック女優の生き方に学ぶ⑧ブリジット・バルドー Brigitte Bardot

マリリン・モンローと同時代に"セックス・シンボル"と謳われ、マリリン(M)・モンロー(M)=MMに対して、そのイニシャルをとってBB(=べべ)というニックネームがついたブリジット・バルドー。MMが「寝る時に何を着ますか?」と聞かれて「シャネルの5番」と返した話は有名だけど、BBは同じ質問に「恋人の腕」と答えていて、MMにも負けず劣らず、自由奔放に恋愛を楽しんだ恋多き女だった。代表作『素直な悪女』に象徴される小悪魔イメージや、共演俳優と必ず恋に落ちることから"全女性の天敵"と言われたことも。

さて、今の若い人たちは、ブリジット・バルドーと言ったら、動物愛護に注力しているちょっぴり過激な人というイメージが強いかもしれない。自分の名を冠した動物保護団体を設立したり、動物由来の素材を使わないランセルとのコラボバッグを発売したり。特に毛皮には容赦なく、以前、リアルファー・ブランドをプロデュースした神田うのさんに「毛皮は犯罪である」という公開状を送ったこともあった。それだけ強い信念を持って活動を継続しているだけに、彼女自身も"映画スター"につきものの華美な装飾品や贅沢品が大嫌いだった。

ブリジット・バルドーとロジェ・ヴァディムの結婚式pinterest
Getty Images
女優になる前の18歳でブリジットは映画監督のロジェ・ヴァディムと結婚。まだブルネットの髪色であどけなさが残る。

「ダイヤモンドは女の親友」と歌ったのは『紳士は金髪がお好き』のマリリン・モンローだったが、ブリジットは「私は、宝石には不感症だった。~中略~お金で買えるものにはなんの価値もありはしないのだ」とキッパリ。恋人からもらった高価なアクセサリーも別れるときに返し、有名デザイナーのオートクチュールにも全く興味がなく、エリザベス女王に拝謁する際もレンタルで済ませるくらい徹底していた。

さらに、カンヌ映画祭開催中、ニースで撮影していたブリジットは、取材依頼してきたマスコミ陣に「どうしても取材したいならニースにいらっしゃい」とコメント。それを受けてニースに集結したマスコミを、デニムとTシャツというシンプルスタイルで、段ボールから登場するというサプライズ歓迎して好感度をあげたのだとか。ドレス&ダイヤモンドで飾った女優たちがレッドカーペットを練り歩くカンヌ映画祭に比べて、何てお茶目な演出! 彼女の飾らない人柄がうかがえる。

ブリジッドバルドーpinterest
Getty Images

女に生まれたからにはドレスアップしたいと思うのは当たり前なのに、「高価な毛皮、贅沢な化粧、ロールス・ロイス、映画スターに不可欠な小道具一式……。私はそうしたシステムには入っていなかった」「私が好きなのは真実とシンプルさだけ」との言葉通り、普段はブラッシングもしない寝癖ヘアで、素足で過ごすことを愛したBB。とは言っても、BBは60年代のフランスを代表するファッションアイコン。決してオシャレに無頓着だったというわけではなく、『素直な悪女』で履いていた赤いバレエシューズ、レペットの流行も彼女発信。彼女は女優になる前はもともとバレリーナを目指していたので、その履き心地の良さをわかっていたのだろう。

そう、彼女は無理をしない着(履き)心地の良いアイテムを使って、自分自身を美しく魅せるコーディネートの達人だったのだ。無造作なおだんごヘア、豊かなバストと美しいデコルテが際立つネックラインのトップス、猫のように目尻を跳ね上げたアイライン……。今でも参考になるオシャレばかり! アクセサリーに頼るのではなく、自分流の魅せ方を知っていた人。着飾ることを良しとしない自然体のBBが究極にカッコイイ!