有名俳優15人が語る「役者として生きること」のリアル
これがプロの世界…
スクリーン上では煌びやかに見える「役者」の仕事。でも現実は、精神的にも肉体的にも生半可な姿勢では生き抜けない世界。
今回コスモポリタン アメリカ版では、俳優・女優15人が"役者"という職業について語ったコメントを集めました。夢を掴み取って来た彼らはそれぞれに熱い思いがあり、まるでリアルな『ラ・ラ・ランド』の世界のお話のよう…。
※この翻訳は、抄訳です。
Translation: 名和友梨香
ライアン・ゴズリング
「みんな家族や家や友達を手離して、叶う可能性がほぼゼロに等しいその夢を追ってひた走っているんです。オーディションに辿り着けるだけでも奇跡です。そんなオーディションの機会をようやく手に入れ、会場に到着し、室内に入ると、自分そっくりな人が大勢いるんです。ああ、(目立とうとして)カウボーイハットを被って来たヤツは自分だけじゃなかったのか…って。そして待合室では、別室から聞こえて来るオーディション中の人の声を聞いて、頭の中でそいつらとは違う演じ方をすることばかり考えるんです」
(2014年、映画『Seduced and Abandoned』のインタビューより)
メリル・ストリープ
「人や、周囲で起きていることに興味がなければ、良い役者にはなれないと思います。興味があれば、もっと深く掘り下げて知りたいと思えるじゃないですか。少なくとも私にとって、この仕事へのやる気をいつも駆り立ててくれたものは、他者への好奇心でした。どうしてあの人はこんなことをしたんだろう? 一体何でこんなことになってしまったんだろう?って考えるんです」
(2010年、テキサス大学でのスピーチにて)
ニコール・キッドマン
「俳優として、常にオープンで自発的であり、熱心な姿勢を持つように努めています。仕事そのものに加えて人間関係の大変さもあるので、なおさら情熱が求められますね。と同時に、柔軟さや、必要な時にはしっかりと自分の意見を主張できる力も必要です。どうしても役柄は毎回違ってきますし、順応性が肝になってきます」
(2017年、英国アカデミー賞でのインタビューより)
マハーシャラ・アリ
「振り返ると、(役によって)一定のイメージが出来上がって、それがこの仕事における運の始まりなのかもなって思います。誰かが『君にはこんな役が向いてるよ!』って言ってくれるようになったりとかね。でも時に、周囲の自分に対する視点がすごく狭まってしまうこともあって、それは辛いですね。そうなると、周りにいかに違う視点で見てもらうかという戦いになったり、また、これまでにやったことのないことにいかに挑戦していくかという、自分自身の恐怖心との戦いになったりするんです」
(2016年、<The Hollywood Reporter>の座談会にて)
マイケル・ファスベンダー
「僕の心構えはいつも同じです。1億5000万ドル(約160億円)の映画でも、150万ドル(約1億6000万円)の映画でも、与えられた宿題は同等にたくさんあるし、現場に入るまでに十分に準備していかなきゃいけないと思っています。また、常に自分のアイディアを持って現場に挑みたいし、きちんと準備することで、その分いろいろ冒険したり、楽しんだりできる自分でありたいとも思っています」
(2016年、『Backstage TV』にて)
アンセル・エルゴート
「名声に左右されていては、良い役者にはなれないと思います。そうなると(演技に)リアリティがなくなってしまうし、もっと高みを目指したいとも思えなくなってしまうので。多くの俳優さんたちを見ていても、売れる前は素晴らしい演技をしていたのに、一旦ビッグになるとその輝きがなくなってしまう人って多いんです」
(2014年、<Buzzfeed>のインタビューより)
ヒラリー・ダフ
「この業界は本当に移り変わりが激しいから、とにかく自分にできることを一生懸命やりつつも、結局すべて意味のないことなんだって分かっていなきゃいけないと思います。もちろん与えられた機会には感謝し、一生懸命取り組みますが、それだけが人生じゃないので。この業界はなかなかキツイものがありますよ」
(2015年、<Between the Lines>のインタビューより)
ヴィオラ・デイヴィス
「私は演じるキャラクターのプロフィールを書くようにしています。分かる範囲でできるだけ詳細に。彼女の思い出は? 兄弟は? 抱えている秘密は? 好きな色は? それを先にできるだけ解読していくんです」
(2017年、英国アカデミー賞でのインタビューより)
トム・ハンクス
「役者としてやることはすべて、自分を新たな境地へといざないます。誰かに恋をするにしても、何かに大爆笑するにしても、すべての感情が新しい。僕が映画の中でやってきたことはすべて、実際の自分の生活とは異なる、別次元の感情をリアルなものにすることが求められてきたように感じます」
(2016年、『Backstage TV』にて)
マット・デイモン
「俳優になったからといって自分が変わるわけではありません(周りからは絶えず『変わったね』という声が聞こえてきますが)。ある朝起きて、この世は何一つ変わっていないんだと頭の中で再認識する時があるんです。大事なものは何も変わらなくて、ただ自分と世の中との関係が変わっただけだって…それってすごく不思議な感覚なんですよね。だって、自分から見た世界はすごく変わってしまったのに、世の中そのものは一切変わっていないのだから。それに慣れるのに少々時間がかかりますね」
(2013年、『ABC News Australia』にて)
アンドリュー・ガーフィールド
「1年間イエズス会の神父になる勉強をしたと思ったら、その翌年は警察官になる勉強をしたり、ロッキングチェア職人になる勉強をしたりできるのはすごく楽しいです。僕はあらゆる物事について何でも知りたい性分なんですけど、普通の仕事だったらそんなこと不可能ですからね」
(2016年、<The Hollywood Reporter>のインタビューより)
ゾーイ・サルダナ
「役者として、プロジェクトが始まる時に、自分自身でコントロールできるものが何もないという経験はよくあります。自分の最善を尽くして、必死にリサーチをしたとしても、ディレクターが編集スタッフと9カ月間編集室にこもって、出て来た時には撮ったものがまるっきり違う作品になっていたり。そう考えると、役者というのはプロジェクトの中で最も力のない存在だとも言えます」
(2016年、『Backstage TV』にて)
ジェニファー・ローレンス
「失礼だと思わないで聞いて欲しいんですけど、演技はバカげています…みんなに『あんなことよく正気でできるわね』って言われると、確かに、なぜ私はこんなことでうぬぼれてたのかしら?って思うんですよね。役者は誰かの人生を救っているわけではないし。医者は人の命を助けて、消防士は燃えさかる炎の中に飛び込んでいく。でも私は映画を作っているだけで、バカみたいだなって」
(2013年、<Vanity Fair>のインタビューより)