キャリアの分かれ道に立った時、思い切った決断をするかどうか誰でも悩むはず。まして、そのまんまで十分成功したキャリアを築いているセレブならなおのこと慎重になるはず…。
ヴィヴィアン・リー
銀幕の美女、ヴィヴィアン・リーは、裕福な法律家の夫も娘もおり、イギリスでは女優としての名声を獲得していたにもかかわらず、すべてを捨てて妻のいる恋人ローレンス・オリヴィエを追ってハリウッドに渡った。当時は一大スキャンダルと思われていたが、その後『風と共に去りぬ』(1931)でスカーレット・オハラを演じることで、名実ともに世界一のスターの座にのし上がる。
『哀愁』(1940)『美女ありき』(1941)などの出演作で名声を手にするも、私生活は穏やかでも順風満帆でもなかったよう。元夫のオリヴィエによれば、アメリカに渡った理由が単に無謀で衝動的な性格のせいだけではなく、演技を愛しているのに見た目しか問題にされない自分のあり方に悩んだ結果だったのだとか。
53歳で病死する直前まで、愛する人と役者人生を追いかけた彼女の一途さ、すごい。
JKローリング
1995年、J.K.ローリングは愛する母親を亡くし、夫とも離別し、一人娘を抱えていた。そんな中、実妹を頼って故郷から離れたスコットランドのエディンバラで生活保護に頼って暮らすというまずしいシングルマザーだった。聡明な女性なのに、なぜか全てが上手くいかない。
教職の免許を取るために勉強する傍ら、心の中にあったのは若い頃に電車の中でふっと頭の中に浮かんだのが魔法学校に通う少年の物語だったという。
どん底暮らしの中で、そのまま教員の免許を取って教師になれば、安定した生活が待っていたはず…が、彼女は勉強の傍ら、時間がある時に義弟が買い取ったコーヒー店で、魔法使いの少年の物語を書き続ける事を選んだ彼女。12の出版社から却下され、最終的に出版社ブルームズベリーの編集者の8歳の娘が絶賛したことで『ハリー・ポッターと賢者の石』の出版が決定! その後の大成功はご存知の通り。
ケイト・ベッキンセール
一時はハリウッドでも名の知れた「イギリスの美人女優」という立ち位置だったケイト。オックスフォード大学で知り合った俳優のマイケル・シーンと長年パートナー関係を結び、一人娘をもうけるなど、キャリアも私生活も全てが順風満帆に見えた。
それが変わったのが2003年に映画『アンダーワールド』に出演してから。2001年にすでに『パール・ハーバー』でハリウッド映画の大作に出演してはいたものの、これが本格的主演第1作となる。『アンダーワールド』は続編が次々制作される大成功を収める。
しかし、ケイトはここで思い切った選択に出る。共演者にパートナーのマイケルがいたにもかかわらず彼と破局し、既婚者だった監督レン・ワイズマンと交際を開始、翌年結婚。それ以降はそれまでの美人女優的立ち位置だけでなく、アクションスターとしてビッグスクリーンに登場するようになり、注目度も急上昇。
パートナーも路線もガラリと変えるという大胆な決断は周りをびっくりさせたけれども、スケールの大きい仕事が回ってくるようになった、という意味では成功と言えるかも。
ブラッド・ピット
イケメンハリウッドスターの地位も確立し、「アメリカの恋人」ジェニファー・アニストンと結婚、まさに2人は世界中の憧れのカップルだった…はず。それだけに、ブラピがアンジーと不倫を始めた時にはみんな内心「それでいいの?」と思ったはず。
その後、ブランジェリーナは子供達を引き連れて世界中で話題になり、今までのハンサムな王子様的立ち位置から子供を連れて回るお父ちゃんにシフトし、私服も一気にもっさり。周りの予想通り、アンジーとブラピの関係についてはありとあらゆる憶測がメディアを飛び交っていたけど、結果的には2016年には関係が破綻し離婚を申請。
が、俳優としてのキャリアを見ると2005年以降大きな賞のノミネートや受賞が一気に増えている。もともと映画が大好きな彼はプロデューサーとしても活躍の場がぐんと広がり、『ディパーテッド』(2006年)『キックアス』(2010年)などヒット作の製作に関わり、『それでも夜は明ける』ではゴールデングローブ賞作品賞、アカデミー賞作品賞をはじめ、各賞受賞。更に製作総指揮を務めた『ムーンライト』(2016年)がアカデミー賞作品賞を受賞するという快挙を達成。色々あった2人だけど、ブラピはある意味同じように映画が好きなアンジーに刺激を受ける部分が大きかったのかも。
シャーリーズ・セロン
シャーリーズの女優人生が変わったのは、文句なしに『モンスター』(2003年)で連続殺人犯アイリーン・ウォーノスを演じた時。それまで、ハリウッド一の美貌を誇っていたシャーリーズがまさかの怪演。体重を13kg増やし、毎回2時間メイクに時間をかけ、醜い娼婦の姿に変身したシャーリーズに、映画を見た人なら誰でも度肝を抜かれたはず。
結果的にはこれが「ただの美人女優ではない」事を証明する結果になり、アカデミー賞主演女優賞を受賞。またプロデューサーとしてもTVや映画の製作に関わるように。
マイリー・サイラス
『シークレット・アイドル・ハンナ・モンタナ』の可愛い優等生アイドルのイメージが長年つきまとっていたマイリー。もっと大人っぽい路線に変更したい、と願うのは当然としても、2013年のMTVアワードのあまりに突飛なパフォーマンスには周囲も唖然。
今は落ち着いて、大人っぽいカントリーガール風のスタイルにスイッチしたけど、結果的には一時期の個性的なファッションや音楽性のおかげで、過去の『ハンナ・モンタナ』イメージを完全に払拭できたと言えるかも。
ゼイン
2015年、ガールバンドのリトル・ミックスのペリー・エドワーズとの婚約を解消し、人気の絶頂でなぜかワン・ダイレクションから脱退、「普通の男になります」宣言をして、ファンをヤキモキさせたゼイン。1Dの中ではハリーと並んで人気があり、そのままでも十分成功していたのになぜ…と思っていたら翌週あっさりソロデビュー・事務所移籍を発表。
しかも、同年にはItガールのジジ・ハディッドと交際開始。2016年に発表されたシングル『ピロウトーク』のPVで恋人ジジと共演して世界中の注目を集め、アルバム『マインド・オブ・マイン』でのソロデビューも順調と、今の所滑り出しは良好。今となっては、やっぱり1Dとは方向性が違ってしまっていたのかも、という感想。