フランスで生活していると、携帯電話が普及している現在でも、カフェ、電車の中、公園で読書をしている人をよく見かけます。『星の王子さま』『悲しみよこんにちは』など愛され続けるフランス文学もいいけれど、最近の書店で人気の本が知りたい! ということで、フランス各地に店舗がある、書籍を扱うお店「fnac(フナック)」のトップ20入りをしている4冊をご紹介。

Chanson Douce(優しい歌レイラ・スリマニ

chanson douce
@Fnac2016

ジャンル/小説

必読度★★★★☆

今年の、フランスの文学賞「ゴンクール賞」に輝いた作品。2児の母のミリアムは専業主婦として家にいるのが嫌で、仕事を再開した。夫は良くは思わないものの、夫婦は子どもたちの世話をしてくれる人を探しはじめる。そこで、ベビーシッターとしてルイーズを雇うことに。子どもの世話だけではなく掃除も料理もこなしてくれる彼女のことをミリアムも満足し、家族にとって必要不可欠な存在になったけれどそんなルイーズはある日、子どもを殺害した。衝撃的な展開と、今でも存在する階級について巧みに描かれたストーリー。

プティ・ペイ(Petit paysガエル・ファイユ

petit pays
@Fnac2016

ジャンル/小説

必読度★★★★★

1990年代前半、10歳のガブリエルはアフリカにあるブルンジ共和国に、フランス人の父親、ルワンダ人の母、妹と暮らしていた。母は子どもたちを安全なフランスで育てたく、父はアフリカに残りたいという事情から、やがて2人は別居する。そんななか民族紛争が起こり、ガブリエルの子ども時代は、変化しようとしていた。状況は大虐殺に発展するなか、フランスに移住したガブリエルはもう普通の子どもではなく、戦争の残虐さを通して大人びていく。ラッパーでもある著者のテンポの良い文体が感じられる1冊。

スュール・レ・シュマン・ノワール(Sur les chemins noirs)シルヴァン・テッソン

sur les chemin noir
@Fnac2016

ジャンル/ノンフィクション

必読度★★★★★

地理学者で作家のシルヴァン・テッソン本人の、自国フランスでの旅が描かれている本。ある日、8メートルの高い場所から転落し大きな事故にあった彼は、動けなくなり、病院のベッドで寝ていた。病室で窓の外の木を眺めているうちに、歩いてフランス一周の旅をしよう、と思いつく。テッソンは、テクノロジーや都会とは無縁の誰も行かないような村や、草が茂っているような道のりを歩いた。海外の遠い街のことは知っていても、自分の国の小さな村のことを知らないのを、おかしく感じたテッソン。自国フランスを旅することで、新しい気付きもたくさんあった。事故がきっかけで始まったこの旅は、自分を見つめなおすいい機会にもなり。フランスの村の旅へ思いを馳せながら、自分自身の心の中でも旅ができる1冊。

タ・ドゥジューム・ヴィ・コモンス・カン・テュ・コンプロン・ク・テュ・ノナ・クユヌ(Ta Deuxième Vie Commence Quand Tu Comprends Que Tu N'en As Qu'uneラファエル・ジョルダーノ

Ta Deuxieme Vie Commence Quand Tu Comprends Que Tu N en As Qu'une
@Fnac2016

ジャンル/自己啓発書

必読度★★★★☆

自己啓発書と物語が混ざりあったユニークな本。モチベーションの低下、何が人生で大切か分からなくなり、豊かな感情や幸せを感じるのが難しいそんな、慣れや習慣によって生じる心の問題が主題。38歳のカミーユは、結婚して子どももいて、幸せに必要な全ての条件が揃っているように見える。けれど、彼女はなぜか幸せな気持ちを感じることができない。カミーユはただ、前向きに頑張って成長したいだけ。この問題を改善する専門家のクロードが、彼のメゾッドでカミーユをこの状況から救うことに! クロードはカミーユに、自分の人生の良いところと悪いところ、現実的に叶えられそうな今の望み、などをリストアップさせる。カミーユがキャリアやパートナーとの関係を分析していくことを通して、読者もどんどん自己分析ができていくのが、この本のおもしろいところ。多くの人が抱える気持ちを持つカミーユに共感できるからこそ、自分自身も前向きになることができる。


まだ日本語訳が発売されていないのが残念…。翻訳がされた場合には、是非読んでみてください!