記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がCosmopolitanに還元されることがあります。記事中に記載の価格は、記事公開当時の価格です。
20代中盤~30代のエディターたちが、大人になった今だからこそ読み応えがある作品を厳選。
「ちびしかくちゃん」(さくらももこ/集英社)
国民的漫画『ちびまる子ちゃん』のさくらももこさん自身が手がける、セルフパロディ漫画。「本家より何かと角が立つ…」という謳い文句の通り、なんとも世知辛い展開に見ているこっちの胸がグリグリえぐられていくような感覚。お馴染みのメンバーがこの世界ではどうにも尖がっていて、正直かなりゲスいです。例えばまる子ちゃんの親友たまちゃんは「だまちゃん」として登場するんですが、10分の遅刻で「許してほしけりゃ3年は私の子分として働きな!」なんてブチ切れちゃうクセ者だったり、父のピロシはとことん無責任だったり(あれ? 本家もそうでした?)。子どもたちが間違って手に取らないことを祈りつつ、大人たちはしか子を応援するのみ! (エディター ERINA)
「娚の一生」(西炯子/小学館)
社会に出てからひたすら仕事に邁進し、大人になって経験した恋といえば苦い不倫だけ。気づけば30歳をとうに過ぎて、仕事面ではそれなりに成長したけど、「女としての自分」を育てることは二の次にしてきてしまった気がする。ああ、なんか一回、全部手放して遠くに行きたーい! …ってなことをボヤく女性は、私の周りを含め、世の中に結構ゴロゴロいたりします。
本作の主人公つぐみも、まさにそんな経緯で「人生の休憩モード」に突入した30代半ば女子。仕事を在宅勤務に切り替え、亡くなった田舎の祖母の家で暮らし始めたつぐみは、そこでかつて祖母の教え子だったという51歳の大学教授・海江田と出会い、奇妙な共同生活を通じて次第に彼と心を通わせていく…というストーリーなのですが、この海江田というキャラクターがとにかくズルい! 51歳にしてはええ感じすぎる枯れ具合、メガネ(←ここ重要)、関西弁の飄々とした語り口。大人ならではの冷静さで魅せつつも、時に本気でつぐみを叱り飛ばし、でもここぞという時にはギュっと抱きしめるツンデレぶり!
人生経験を積んだ分、大抵のことは器用にできるけど、いざ恋愛のこととなると(トラウマゆえに)極端に自己評価が低くなる…そんなアンバランスさを抱えた大人女子の凝り固まった心をほぐすには、お風呂上りのビューネくんよりも、枯れオヤジの優しい抱擁のほうが効果的なのかもしれません。(エディター/ライター YUKARI)
「金瓶梅」(竹崎真実/ぶんか社)
中国の明の時代に書かれた長編小説「金瓶梅」を原作にした漫画。セックストイあり、同性愛あり、アブノーマルセックスあり…と、その激しい性描写や乱れた倫理観から禁書・淫書として扱われることもあったとか。メインストーリーとしては中国版「大奥」といったところで、6人の夫人たちが心理戦と陰謀を駆使して、あの手この手で旦那様の寵愛を取り合うのですが、その手口が毎回なんとも刺激的。
竹崎真実さんが手がけているこの作品は現在も連載中(37巻好評発売中!)なので、日本中のファンたちと一緒に最新刊で一喜一憂できるというオツな作品。「大人のための官能メルヘン」とも謳われ、レディコミらしく性描写もかなり多いですが、何より注目してほしいのは「女たちの強さ」。夫人たちは旦那様の知らないところで策略に策略を重ねているのですが、当の旦那様はたいていその裏に気づくことなく、なんとも単純でノンキ。女性たちに振りまわされ、「しっかりしてくれよ!」と思うこともしばしば(笑)。
第5夫人の金蓮がおおよそ主人公なのですが、残酷なことをしつつも筋が通っていて、どこか人間味のある彼女の性格のおかげか、ドロドロ展開のはずが毎回スカッとします。そんなワケで私の中では、マーベル作品に並ぶヒーロー(ヒロイン?)物語。少年漫画を好んで読む人にも薦められる一作です。(エディター ERINA)
「独身OLのすべて」(まずりん/講談社)
女性、独身。この条件に当てはまるすべての女性に読んで欲しい、爆笑必至のウェブ発のマンガです。登場するメインのキャラクターは、ギャグセンス抜群のノブ子、恋愛の事を気にしつつ腐女子一直線のマユ子、毒を吐きつつも女の子らしい面もあるタマ子。女子のあざとさを感じたときに「ありえないw」「ズルい…」などと思ってしまう"女の毒"の部分を思いっきり表に出してしまう3人の痛快さと、ゆるいイラストのバランスがとにかく最高! 私が最初に読んだのはウェブに公開され話題になった約6年前、アラサー目前の29歳。「なんでこんなにリアルに心を代弁できるの!?www」とマンガを肴に、同世代女子でお酒を飲んだこともよく覚えています。こういうの"あるある"と笑いつつ、女心の勉強にもなるはず。(エディター AYA)
「ピース・オブ・ケイク」(ジョージ朝倉/祥伝社)
「好きになるって何だっけ…?」状態に陥った時に読み返すのが、ジョージ朝倉さんの「ピース オブ ケイク」です。この漫画と出会ったのは20代前半の頃。それまでは比較的爽やか路線のラブストーリーを読むことが多かったため、この作品の"恋愛のリアルな痛み"に衝撃を受けたことをよく覚えています。そこそこモテたから、なんとな~く付き合って、なんとな~くセックスして。そんな恋愛ばかりを繰り返してきた24歳の志乃が初めて本気で好きになったのは、恋人と同棲中のアパートの隣人、京志郎だった――。
ハナから負け試合の"遅れてきた初恋"に戸惑いながらも、志乃が京志郎にぶつけていく「全力の片思い」は、切なくて愛しくて苦しくて、でもどこか可笑しい展開に共感の連続。やがて恋が愛へと昇華するラストを読み終える頃には、誰かに「好きだー!」と叫びたくなる…そんな1作です。駆け引きとか、相手に求める条件とか、「もういい歳だから…」とか。大人になると、考え過ぎるがゆえに恋を遠ざけてしまいがち。余計なこと全部抜きにして、がむしゃらに誰かを好きになる"あの感覚"をもう一度思い出したい――そう思った時には、この作品をぜひ。(エディター/ライター YUKARI)
「阿・吽」(おかざき真里/小学館)
日本史を勉強していた頃を思い出してみてください。ダメです、最初の3文字で次ページに行こうとしてはいけません。仏教の宗派と開祖をまとめて覚えたところに、最澄と空海という名前があったはず。両方とも密教を伝えた人で、どっちがどっちの宗派だか分からなくなる受験生の敵(え、わたしだけ?)。まあ、「最澄は天台宗! 空海は真言宗!」と呪文のように覚えて答案に書ければ終わりなわけです。そのまさに、あなたの人生で呪文として終わろうとしている、ふたりの生涯を綴っているのがこの作品。
エリート僧街道を突き進んでいたのに、堕落した僧侶たちに失望して山にこもってしまう最澄。高級官僚を目指して猛勉強していたのに、物足りなくなって仏門に入った空海。生まれも育ちも全く違うふたりが同じ遣唐使の船に乗ることになり、人生が交差していきます。第1巻に最澄が仏典を引用しながら「生きることは苦だ」という場面があります。嫉妬、欲望など人間の黒い部分がまざまざと描かれ、そこから救われるにはどうしたらいいのか、ふたりが奮闘していく様子は、ちょっと年齢を重ねて、つらいこと、後ろ暗いことを経験してきた大人にこそ響くはず。
また、この作品の見所に加えたいのが「文字」。仏教のお話なので、お経を唱えるシーンがたくさんでてくるわけですが、そこで文字が立ち上ってくると言いますか、ものすごい迫力で目の前に現れる描き方。言葉がもつ力を肌で感じられる表現にシビれます。さあ、ふたりの名前は呪文で終わらせたらもったいないです!(エディター MOEKO)
「うきわ」(野村宗弘/小学館)
"中山さんの奥さん"が毎日帰りを待っているのは、愛人を車修理110番という名前で電話帳に登録し、こそこそ不倫をしている旦那……ではなく、隣に住む二葉さん。ふたりの共通点は、お互いに"浮気されている側"ということ。それぞれの理由でパートナーの不貞を見て見ぬふりをして日常生活を送っていくうちに、ベランダ越しに少しずつ何かが芽生え揺れ動いていく――。
「友達以上、不倫未満」な関係は、続けるべき、やめるべき? これは果たして純愛? それとも"浮気"? 不倫騒動が取沙汰される昨今、「一線は越えてないです」という言葉を聞いても疑惑の目で見られがちですが、実際にこんな恋愛もあるのかなぁと思わされる一作。テーマだけ聞くと重たそうですが、急ぎすぎない展開とキャラクターたちが話す広島弁のおかげか、ゆるゆるっと話は進んでいきます。切ないけれど、なんだか頷いてしまう…そんな不思議な感覚に陥る作品です。(エディター ERINA)
※記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がCOSMOPOLITANに還元されることがあります。