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女性にありがちな間違った知識

筋トレを始める前のお客様と話していると、「トレーニングするとムキムキになるから嫌だ」とか「(筋肉をつけたいのに)トレーニングしてもなかなかつかない」といった声を聞きますが、これはよくある"間違った"筋肉あるあるの知識。は筋肉そのものに男女差はほぼありません。筋肉の大きさと筋繊維の種類は違いますが、形や構造はほぼ一緒。さらに言えば「しなやかな筋肉」とか「ムキムキの筋肉」も存在しない。

男女ともに、ボディビルダーのように鍛えられた身体と、適度に筋トレしている程度の人の見た目の差は、単純に脂肪量と筋肉量と見せ方の問題なだけ。男性の方が女性にくらべて背も高く、身体も大きいのでそれだけ筋肉が多いので強さも変わってくるだけのこと。なので、女性が筋トレで鍛えられる筋量は男性とあまり変わらないのです。

例えば運動していない男女をくらべた時、男性の方が重いものを持てるとしたら、それは筋肉量の問題で性別が原因ではありません。逆に言えば、同じ筋量の男女であれば同じ重さが持てるというわけ。さらに筋肉作りに欠かせない「たんぱく質の代謝」に関しても男女差はほぼなし。むしろ人生単位(寿命)で考えれば、同じ筋量の男女だと女性の方が高かったという結果もあるくらい。筋肉は筋肉、ただそれだけ! 男女の差はあくまでもスタート地点が違うだけなのです。

大きな違いは「ホルモン」の違い

筋肉ができる過程で欠かせないホルモンに、テストステロンという男性ホルモンがあります。これは当然男性の方が分泌量が多く、その差はなんと15倍。テストステロンが多ければ筋肉がつきやすいのは紛れもない事実です。でも女性の場合は、テストステロンに代わる因子があることがわかっていて、IGF-1(インスリン様成長因子)という成長因子と、成長ホルモンがテストステロンの役割をしてくれている部分があります(muscle with longer fibers generates the greater forceと呼ばれる作用)。

IGF-1は男性と同じだけ分泌され、成長ホルモンはうまくトレーニングすれば男性より多く分泌された結果も出ていて、女性の筋肉ストレングス(強さ)、筋肉量の増加には男性ホルモン以外の要素はとても重要な役割を果たしています。

消えないイメージの正体

働きかけるホルモンや持って生まれた筋肉量が違うだけで、筋繊維の構造は同じ。テストステロンの役割をしてくれる別のファクターもある。つまり理論上は、「女性の方が男性ホルモンが少ないから筋肉をつけるポテンシャルは小さい」ということはないのです。ただ女性ホルモンや筋繊維の種類など女性と男性には差もあります。でもそれはトレーニングのやり方に関わってくるだけ。男女とも同じトレーニングではいけないのは明確ですが、ポテンシャルは同じだけあるのです。

これだけの事実がそろってるのに、なぜ「女性の方が筋肉がつきにくい」というイメージが世間からなかなか消えないのか? どうやらその答えは単純に「女性自身が女性は弱いものと思い込んでいるだけ」という説(!)が有力なのですが……それはまた別の記事で。

まとめ:

・筋肉そのものに男女差はない

・見た目の違いは脂肪と筋肉の量の違い

・女性は男性ホルモンが少なくてもそれに代わる因子がある