日本でも話題の健康食材、ココナッツオイル。飲み物に入れたり、トーストに塗ったりと、使い道は様々だけど、最近その健康効果に疑問の声が上がっているようだとコスモポリタン アメリカ版がレポートしています。

このたびアメリカ心臓協会(AHA)が発表した報告によると、ココナッツオイルは期待しているほどヘルシーとは言えないかも。AHAは、ココナッツオイルのように飽和脂肪酸を多く含む食品を、多価不飽和脂肪酸や一価不飽和脂肪酸を含む食品に換えることが、心筋梗塞などの心疾患を抑制するために有効だと承認したのだとか。

ココナッツオイルには飽和脂肪酸が豊富なのはよく知られたことだけど、今回AHAは明確にココナッツオイルを(長らく栄養学者たちに嫌われてきた)バターやラードと同じカテゴリーに分類したそう。これによって、ココナッツオイルに対する批判が噴出、ファンを失うかという勢いに。

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ココナッツオイルはヘルシーじゃない。これまでもヘルシーだったことはない。

ココナッツオイルに含まれる飽和脂肪の問題って?

飽和脂肪酸に関するデータが出現したのは1960年代。飽和脂肪酸が心臓疾患の危険因子となるLDLコレステロールの値を上昇させることが明らかになったとき。その頃からAHAはココナッツオイルやパーム核油などの飽和脂肪酸を最小限に抑えるよう警告し始めたのだとか。

ところが、2016年に医学雑誌BMJが発表した研究は、AHAによるこの報告書に疑問を提出。AHAの推奨するとおりに動物性脂肪やマーガリン、ショートニングなどに含まれる飽和脂肪酸をコーンオイルやコーンオイルで作った多価不飽和マーガリンに換えてみたものの、心臓病やその他の要因による死のリスクを減らすことはできなかったのだとか。

とはいえ、「多くの心臓専門医は飽和脂肪酸が心臓疾患の可能性を高めるものだということに同意しています」と話すのは、心臓専門クリニック「Manhattan Cardiology」の心臓専門医であるジョージ・ウェルチ医師。また、LDLコレステロールの抑制に役立つ他の油脂の方が相対的にヘルシーであるという点については議論の余地はなさそう。

一体、ココナッツオイルには健康効果があるの?

ほとんどの食物油脂が、肝臓でエネルギーや脂肪に加工される長鎖脂肪酸と呼ばれる分子で出来ているのに対し、ココナッツオイルは中鎖脂肪酸を含んでいるとのこと。「中鎖脂肪酸は肝臓で処理する必要がないので、より素早くエネルギーに変換されます」と述べるのは、栄養コンサルタント「Alissa Rumsey Nutrition and Wellness」のオーナーで登録栄養士のアリッサ・ラムジーさん。つまり、中鎖脂肪酸は減量中の人には持ってこいというわけ。

また、2015年に書かれたブラジルの研究者らによる報告書でも、それまでに行われた研究結果を再検討した結果、ココナッツオイルは他の油に比べて減量により有効だと指摘。

しかし、ココナッツオイルに含まれる脂肪のうちの15%が中鎖脂肪酸であるに過ぎないため、さらなる研究が必要だ、というのがラムジーさんの意見。「減量に役立つというには不十分な気がします」。

ココナッツオイルは、本当にバターと同じくらい体に悪いの?

正確に言えば(少なくとも数字の上だけで言えば)、ココナッツオイルの方がわずかに体に悪いそう。AHAの最近の報告によれば、ココナッツオイル(82%)はバター(63%)よりも多くの飽和脂肪酸を含むのだそう。同じ意味で言うと、もっともヘルシーな油脂はサフラワーオイル、次がキャノーラオイル、ひまわり油、コーン油、オリーブ油で、これらは飽和脂肪酸がもっとも少なく、ココナッツオイルに比べて一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸を多く含むのだとか。

心臓は悪くないから、こういうことは気にしなくていい?

ウェルチ医師によると、残念ながらそうはいかないそう。アメリカ合衆国農務省(USDA)によると、平均的なアメリカ人は、総カロリーの11%を飽和脂肪酸で摂っているのだとか。ところが、USDAは健康を保つために飽和脂肪酸の摂取を10%に抑えることを推奨。(すでにLDLコレステロールの問題がある人は心疾患のリスクが高まるため、より注意して、56%に抑えるべきです、とウェルチ医師)

でも、自分の総摂取カロリーの1%分がどれだけの食品に相当するかなんて、分かる人はいないもの。だから、飽和脂肪酸を多く含む食品は最小限に抑えておくのが賢明ということに。「あなたがバランスのとれた食生活(植物を主体として、緑野菜や葉物、脂肪分の少ないタンパク質からなる食事)を送っているなら、飽和脂肪酸の摂取量は少ないはずです」とウェルチ医師。

じゃあ、ココナッツオイルを体に塗るのは?AHAが問題にしているのはココナッツオイルの摂取。食物摂取は慎重にすべきだけど、顔や体、髪の毛につける分には問題なし。しかも、ココナッツオイルの使い道はたくさんあるのだとか! 

まとめ

「ひとつの食べ物で不健康になることはないように、ひとつの食べ物で健康になることはありません」とラムジーさん。飽和脂肪酸を含む食品も、不飽和脂肪酸を含むナッツ、種子、他の油脂や様々な食べ物と一緒に摂ること。覚えておきたいのは、ココナッツオイルにせよ、バターやラードにせよ、適量取り入れること。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation:mayuko akimoto

COSMOPOLITAN US