手ぐしをしたら指と指の間に抜け毛がどっさり…、お風呂の排水溝に大量の抜け毛が…、なんて経験のある女子は多いはず。そこでコスモポリタン イギリス版より、ロンドンのフィリップ・キングズリー クリニックの毛髪専門家アナベル・キングズリーさんが解説する、抜け毛の原因と対策の基礎知識をご紹介。

まず、髪の毛はヘアサイクルの過程で生え変わるものなので、1日平均80本くらいの抜け毛は正常なんだそう。この目安を極端に超える量の抜け毛や、新しい毛髪が生えてきていない気がするなんて場合には注意が必要かも。そうは言っても、抜け毛の原因は多岐にわたるため、効果的な対策も様々。アナベルさんによると、抜け毛は女性に非常によくある現象で「女性の3人に1人は生涯のどこかで抜け毛やボリュームダウンに悩まされる」んだとか。まずは、抜け毛の原因について聞いてみました。

1.  遺伝か否か

抜け毛の原因を大きく分けると、遺伝的な場合と、その他の原因に起因する場合の2つに分けられるそう。遺伝が原因だと、「体質上、毛包が男性ホルモンに敏感で、しだいに毛包が縮んでいき、生え変わりサイクルの度により細く、短い毛髪になってしまう」ため、徐々に薄毛になるのが特徴なんだとか。「毛髪量が減少するわけでも、抜け毛が多いわけでもないのに、生えてくる毛髪の太さがどんどん細くなっていくんです」と、アナベルさん。

その他の原因は、環境や体内面にあることが多いよう。「過剰な抜け毛は、休止期脱毛とも言われ、栄養不足や過度のストレス、ダイエットの失敗や病気などによっても引き起こされます。また、遺伝による抜け毛が、食生活やストレスによりさらに加速することもあります」。

2. ホルモンバランスの乱れ

「ホルモンは、毛髪の生え変わりサイクルに大きく影響します。女性ホルモンのエストロゲンは正常なサイクルを保つのに有効であるのに対し、男性ホルモンのアンドロゲンはサイクルを短くしてしまいます。多嚢胞性卵巣症候群によるアンドロゲン分泌異常などが抜け毛を引き起こすことも。その影響は、遺伝的に毛包が敏感な体質かどうかで個人差があります」

3. ストレス

極度のストレスで髪の毛が抜けるというのは本当で、ストレスによりアンドロゲン値が上がると抜け毛に繋がるのだそう。「ストレスはフケなどの頭皮トラブルを引き起こすほか、食習慣や消化器官を乱す原因になり、髪の毛に悪影響となるのです」。

4. 鉄分不足・貧血

「女性の抜け毛の原因で、最も多いのが鉄不足です。鉄分は毛髪のタンパク質を生成するのに不可欠なのです」

5. 甲状腺機能低下・甲状腺機能亢進症

「甲状腺はタンパク質や細胞組織の生成を調整して、体の代謝を保つ働きをします。そのため、その甲状腺バランスの乱れは毛包に影響がでるのです。甲状腺の機能低下を放置しておくと、貧血を併発することもあり、前述の通り貧血は髪の健康によくありません」

6. ビタミンB12不足

ビタミンB12が欠乏すると、元気が出ない、疲れを感じやすいといった症状が出てくるだけでなく、髪の毛にも影響があるよう。「ビタミンB12不足は細胞に酸素を届ける働きをする赤血球の働きを阻害します。ビタミンB12は動物性タンパク質のみに含まれる成分のため、この症状はヴィーガンの人に起こりがちです」。

7. 急激な減量

アナベルさんによると、たとえそれがダイエットの成果でも、意図しない減量であっても、急激な減量をすると612週間後に抜け毛になりやすいんだそう。「毛髪は心理的には非常に重要ですが、生理的に不可欠な部位ではありません。毛髪が無くても、健康に害が出るわけではないので、栄養不足に陥ると真っ先に髪に影響が出るのです」。やはり、髪の毛のためにも無理なダイエットではなく、健康的でバランスのとれたライフスタイルを目指すのがよさそう。

8.  更年期障害・加齢

「更年期障害の前後は、体の変化が髪の毛にも影響して、一般的に抜け毛が増えます。また、更年期障害に関わらず、加齢に伴い髪の毛が細くなっていくのはごく自然なことなのです」

主な原因がわかってきたところで、続いて抜け毛対策について聞いてみました。

■ まずは問題認識から

抜け毛は一夜にして起こるものではなく、生え変わりサイクルの過程で生じるものなので、原因が発生してから3カ月も後になって抜け毛になるということもあるそう。「極端な抜け毛が3カ月以上続いている場合は、毛髪クリニックや医者の診察を受けることをお勧めします。体の不調など、何か深刻な要因があるかもしれません。体内のバランスが整うと、自然と生え始めることが殆どなので、焦らないことが大事です」。

■ 食生活の改善

1. タンパク質を増やす

「髪の毛の主な成分はタンパク質なので、タンパク質が豊富な食材を十分に取り入れることが大事です。朝食や昼食では、手のひらサイズのタンパク質(重さにすると120gほど)を目安にしましょう」

2. 複合炭水化物が不可欠

「複合炭水化物は、髪の毛が成長するのに必要なエネルギー源となります。食事と食事の間が4時間以上あいてしまう場合は、野菜や全粒粉クラッカーなどのヘルシーな複合炭水化物で間食をとることを心がけてください。毛髪細胞に送られるエネルギーは、4時間を過ぎると低下してしまうからです」。ただし、ストレスや病気が抜け毛の原因の場合は、食生活の改善だけでは対処できないことも忘れずに。

3. サプリメント補給

「体に不可欠ではない毛髪細胞が必要とする栄養素は独特ですが、ビタミンやミネラルのサプリメントから毛包への栄養を強化するのはとても効果的です。ただし、健康的な食事を抜きにして、サプリメントの最大限の効果は引き出されません」。アナベルさんお勧めの栄養素は、鉄、ビタミンC、ビタミンB12、ビタミンD3、銅、亜鉛、セレニウム、必須アミノ酸であるL-リジンやL-メチオニン。

■ 髪に優しいスタイリングで

例えばお団子ヘアはカワイイけれど、髪の毛へのストレス度は高めかも。 「髪の毛や毛包が引っ張られるようなヘアスタイルは極力避けてください」と、アナベルさん。ヘアワックスなどのスタイリング剤も髪の毛に不必要な重さを加えてしまうので、使いすぎはNGとのこと。

■ 焦らず、前向きに!

抜け毛がひどいと落ち込んでしまいがち。でも、女性にとって抜け毛がいかによくあることか気づくことが、とても重要なんだそう。恥ずかしいことでもなければ、1人で抱え込むような問題でもないので、塞ぎこみ過ぎないこと。 「抜け毛をすぐに解決する特効薬というのは無いので、健康、食生活、そして頭皮の健康や毛髪環境など、様々な面からケアしていきましょう。改善には最低でも6週間はかかるので、なかなか難しいかもしれませんが、忍耐強く、諦めずに向き合うことです」。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: シャー順子

COSMOPOLITAN UK