「運動することはカラダに良い」という考えが一般常識として定着している現代。だから「今日はサボりたい」「やりたくないな」と思っても、自分のお尻を叩いてジムに通っているという人は多いのでは?

ところが! アレルギーを持つ人の場合、運動したことをきっかけに、ほてり、じんましん、多汗、むくみ、吐き気などの症状が出る「運動誘発アナフィラキシー」という病気があるんだそう。…と聞くと急に運動するのが不安になってしまうかもしれないけれど、慌てないで! <Popular Science>によると、発症の可能性があるのは10万中50人程度とのこと。つまり、とてもまれな症状だけど、知っておいた方が良い情報なのも確か。

そこで専門家による「運動誘発アナフィラキシー」の解説をコスモポリタン アメリカ版からお届け。心当たりがある人は、ぜひ専門医に相談を!


【INDEX】

  1. 原因はいまだ不明
  2. 発症要因はさまざま
  3. 「どれだけ運動すれば発症するか?」は人によって異なる
  4. コントロールが可能な病気でもある

1.原因はいまだ不明

ブリガム婦人科病院のアレルギー専門医、マリア・カステルズ医師によると「この病気への認識は高まっているものの、原因はまだはっきりと判明していない」のだそう。

運動誘発アナフィラキシーについて書かれた論文はあるものの、検査や実験を行うために症状を再発症させるのは困難とのこと。「マウスであっても人間であっても、『これが定型』と言えるような発症パターンがありません。多くの研究グループが定型と思われる症状について研究していますが、判明までにはまだ時間がかかりそうです」と、カステルズ医師。

2.発症要因はさまざま

もっとも一般的な原因は、食事と運動との組み合わせによるもの。これは食物依存性運動誘発アナフィラキシーと言われるもので、アレルギーがある人の3050%に発症の可能性があると考えられているのだそう。アナフィラキシーの支援団体「アナフィラキシー・キャンペーン」の報告書によると、「運動の前にアレルギー反応を引き起こす特定の食品(例えば甲殻類など)を食べた場合」に発症することが多いよう

また、運動前(同じ日)にアスピリンを服用した場合に発症する人もおり、つまりアスピリン+運動の組み合わせが発症原因になることも。アレルギーのある人が"引き金"となる食物を食べ、アスピリンを飲み、その後運動すると、舌が腫れる、嚥下(えんげ)困難、気絶する、倦怠感を感じるなどのさらに重度の症状が出ることもあるそう。

他にも、高レベルのエストロゲンはアレルギー反応に関与している細胞と結合するという特性があるため、生理中にのみ運動誘発アナフィラキシーを発症する女性も。 しかし「特に何の因果関係も見当たらず、ただ運動だけでアナフィラキシーが誘発される人もある一定数存在するのです」とカステルズ医師。

3.「どれだけ運動すれば発症するか?」は人によって異なる

発症率は、その人の運動習慣によって違ってくるとの意見も。「一般的に健康で定期的にカラダを動かしている人は、普段運動していない人よりも運動誘発性のアレルギー反応が出にくい傾向にあります」とカステルズ医師は説明。また運動の種類による誘発性の差はないと考えられており、ランニング、ダンス、サイクリングなどほぼすべての運動が、運動誘発アナフィラキシーの原因になりうるとのこと。

4.コントロールが可能な病気でもある

「アナフィラキシー・キャンペーン」によると、専門家はアレルギー症状の引き金になりうる食物を食べたり、薬品を服用した日には、運動しないことを推奨しているそう。逆に運動する日には、誘発要因となるものを避けることで、安心して運動することが可能になるとのこと。また予防的治療や対処に加え、発症のリスクがある人は重度の反応が出た場合にすぐに飲めるよう、治療薬を常に備えておくことも大切。

発症経験がないにも関わらず「運動は怖いから控えたほうがいい」と考える必要はないものの、アレルギーを持っている人や「もしかして…」と思う人は、専門医に相談して適切なアドバイスを受けることをお勧めします。

この翻訳は、抄訳です。

Translation: 宮田華子

COSMOPOLITAN US