アメリカのポップカルチャーでは、「HPV(ヒトパピローマウイルス)」がよく出てきます。人気コメディアンのエイミー・シューマーはしょっちゅうHPVをネタにしていたり、テレビ番組「Girls」の中でも主人公がHPVテストを受ける場面があったり。

HPVは実はそれほど身近なウイルスで、性交渉の経験がある人の80%が人生で一度は感染していると言われています。感染しても、そのうち90%は知らない間に自分の免疫で排除しています。残りの10%で、HPVを免疫で排除できず保持している場合、細胞に異常が出てくることがあり、それも免疫で治癒できず進行した場合、0.5%が子宮頸がんになると言われています

HPVは、セックスで挿入しなくても、性器が触れ合ったり口や手を介したりしも感染するので、コンドームでは予防できないのも特徴。HPVには100以上の型がありますが、そのうち最もリスクが高い2種類(16型と18型)に関しては、ワクチンで予防できます。

子宮頸がんは、がんの中でも唯一予防できるがんと言われています。HPVワクチンと定期検診を活用していれば、死に至るほど手遅れになることは少ないからです。しかし、OECDの統計によると、20~69歳までの女性で、子宮頸がん検診を受けている日本人は4割程度アメリカの8割と比べても、半数にとどまっています。

乳がんの組織からも高リスク型のHPVが見つかっており、ワクチンは子宮頸がんだけでなく、乳がんにも有効なのではないか? と言われています。また、アナルセックスからHPVに感染し肛門がんへ進行することもあるので、最近アメリカの医療業界では、アナルセックスをしている男女やゲイの男性たちに、肛門の定期検診を推奨しています。

私自身、2014年に中リスク型のHPVによる「軽度異形成(正常な細胞が正常では見られない状態になること)」が認められました。それが進行し、昨年「AGC判定」に格上げされてしまったため、円錐切除術を受けてきました。HPVは子宮の入り口の扁平上皮と、その奥の腺上皮の両方に感染するのですが、AGC判定とは腺上皮の細胞に異常が見られたことを意味します。

目視で異常が確認できる扁平上皮と違い、腺上皮は奥の方にあり検査も難しいため、放置しておくと危険です。検査結果より実際は進行している可能性もあるので、異形成が認められる部分を切り取ってHPVを除去しましょう、また切り取った部分の生体検査をして状況を把握しましょう、というものです。

手術はなんと日帰りで、かなりの早期だったため切ったのは子宮の入り口部分だけ。今後妊娠も可能です。

「自分は大丈夫かな」と、もやもやするよりは、検査に行ってはっきりわかったほうが大幅に気は楽になります。もし異常が認められたとしても、早期であれば子宮を残して今後の妊娠を可能にする手立てもあります。会社員の人は毎年会社から健康診断のお知らせをもらうと思いますが、フリーで仕事をしている人や主婦など、定期検診の存在を忘れがちな人はぜひ、今年受けてみてください。

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