風邪を引いてしまったとき以外に、日頃「免疫力」について気にすることは少ないのでは? でも実は、月経不順、便秘、疲れやすさなどの体調不良から、シミやしわのない肌を作ることまで「免疫力」がキーワードなのだとか。正しい知識を身に着けて、身体の中にある「免疫力」を活性化させることで、健康的な美しさを手に入れましょ♡

今回お話を伺った、今津嘉宏先生

健康美を手に入れるために!忘れちゃいけないのは「免疫力」

芝大門いまづクリニック院長。内科、外科、消化器内科、漢方産婦人科など幅広く診療する。慶應義塾大学病院、恩賜財団東京都済生会中央病院、麻布ミューズクリニックなどでの勤務を経て、港区に芝大門いまづクリニックを開業。著書に『風邪予防、虚弱体質改善から始める 最強の免疫力』(ワニブックス)、『仕事に効く漢方診断』(星海社)など。

―そもそも、「免疫力」とは?

免疫とは、"外敵から身体を守る力"です。人が生きていくために、生まれつき身につけている自然の力。つまり風邪ウイルスや、怪我をして傷口から侵入するバイ菌などから身体を守る力を意味します。

また、"体の中で起こる敵から自分を守る力"も意味します。例えば、がん細胞をやっつけたり、病気を治す力のことです。

まず、以下の項目でみなさんの免疫をチェックしてみてください。どれかひとつでも当てはまるようなら、あなたの免疫力は低下しているかもしれません

【免疫チェック】

  • 風邪を引きやすい
  • ストレスに弱い
  • 体が冷えている
  • 便通が下痢だ、あるいは、便秘だ
  • 寝付きが悪い、あるいは、途中で目が覚める、あるいは、朝起きたときに疲れが残っている
  • 朝食を抜くことが多い
  • 月経前症候群がひどい
  • 月経が順調に来ない

免疫力が低下するとどうなる? 低下の原因は?

―その免疫力が低下すると、どんな症状が起きるのでしょう?

免疫力は携帯電話の充電に似ている。電池が切れると、体調を崩し寝込んでしまうことも

免疫力は、携帯電話の充電に似ています。充電が十分あれば、電池切れを心配することなく携帯電話を使えるように、風邪やガンを心配して毎日を生活する必要はありません。

しかし、徐々に電池が減ってくると携帯電話をいつまで使えるか心配になるように、風邪をひいたり、ガンなどの病気になることが心配になってきます。そして、携帯電話の電池が切れるように、免疫力が低下すると病気になり、寝込んでしまうことがあります。

その電池が切れて、免疫力が低下したときに起こる症状は様々です。例えば、お腹が減ってイライラする人、元気が無くなる人、やる気がなくなる人など。また、免疫は肉体的な負担や精神的な負担を和らげるように働くので、免疫力がないと疲れやすく、病気がちになったり、月経が不順になったり、精神を病んでしまうなどの症状が起こります。健康で元気な毎日を過ごすためにも、免疫力を上げておく必要があります。

―病気にならないように守ってくれる免疫力。20代、30代の女性の日常生活で、そんな免疫力を低下させてしまう原因は?

働き盛りの20代、30代は、人生の中で肉体的にも精神的にも最も活動的な時期です。病気のことなど忘れてしまっているかもしれません。しかし、ちょっとした生活習慣が免疫力を低下させている危険性があります。

衣食住に分けて考えてみましょう。

①「衣」

ファッションは、自分を表現するために大切な要素です。しかし、衣服は、あなた自身の体を守る防御服。機能性や防御性に劣っていては、知らないうちに免疫力を低下させているかもしれません。例えば、身体をギュッと締めつける服は、常に神経を刺激し交感神経を興奮させてしまいます。すると肉体的にも精神的にも休まることがなく、知らないうちにエネルギーを消耗させてしまい、免疫力を低下させてしまいます。

②「食」

三大栄養素であるタンパク質、脂質、炭水化物は、健康な人ではそれぞれ20%、30%、50%の割合でとることが大切です。最近はやりの炭水化物を抜いたダイエットをすると、この健康のための黄金比が崩れ、体のバランスを崩す原因となります。知らないうちに体の中で栄養のバランスを崩すことで、肉体的にも精神的にもバランスを崩してしまい、免疫力を低下させてしまいます。

③「住」

質の良い睡眠がとれる部屋をコーディネートすることが大切です。特に女性は、良い睡眠をとることで肌や髪の艶が良くなるホルモンが分泌されるので、睡眠の質にこだわる必要があります。このホルモンが分泌されるのは、「物音がしても、死んだように寝ている」と言われる、深い眠りの状態のノンレム睡眠の時だけ。そのためには、睡眠時は部屋の中を真っ暗にして脳に刺激を与えない様にする必要があります。部屋の窓には、必ず100%遮光ができるようなカーテンを付けることをお勧めします。睡眠の質が悪いと知らないうちに脳の働きを悪化させて、肉体的にも精神的にも能力を低下させ、免疫力も低下してしまいます。

美肌やダイエットにも。免疫力を活性化させるポイント

―免疫力を高めることでおこる、美容効果を教えてください。

シミやしわのできにくい肌を作ってくれる。若返りの秘訣は免疫力にあり

免疫力は、小さなキズを治すときにも力を発揮しますので、傷痕が残りにくくなり、キレイな肌を保ってくれます。そして、細胞の新陳代謝にも関係しますので、シミやしわのできにくい肌を作るなど、肌の若返りの秘訣は、免疫力にあるわけです。

また、つねに免疫力を活性化しながらダイエットをすることで、誰が見てもキレイに痩せるダイエットが出来るようになります。では、免疫力を活性化しながら痩せるとは、どうすればいいのか、ですが、あなたが選んだダイエット法で、便通が毎日良いとしたら、それはキレイに痩せることができる方法だと考えていいでしょう。便通で腸内環境がわかります。毎日、バナナのような便が出て腸内環境が整っているとき、免疫力も活性化されていると考えて良いでしょう。

―免疫力を高めるための生活習慣を教えてください。

免疫力を上げるには「体温」を高く保つこと。そのためには「筋肉」を動かすことが大切

免疫力を活性化するために重要なのが「体温」です。女性は2週間ごとに体温が変化します。そして、人の体は体温の変化によって体調が変化します。正常な体温は「36.5℃±1℃」と言われており、35.5℃以下になると体は機能が低下します。37.5℃以上になると脳の機能が低下します。つまり、人には適温がありますが、その差はほんの僅かだということです。この体温をできる限り高く保つことが、免疫力を活性化するポイントです。体温を高く保つためには、熱を発生する必要があるのですが、一番簡単な方法は、筋肉を動かすことです。そのためには深呼吸をすることが一番簡単です。体の中で一番大きな筋肉である横隔膜を動かせば、簡単に体温を上げることができます。そこで、オススメの深呼吸方法がこちら。

【免疫力を活性化! 仕事をしながらできる深呼吸】

ゆっくりと鼻から空気を胸一杯に吸い込んでください。そして、十分に空気を吸い込んだら、数秒息を止めます。そして、今度はゆっくりと口から空気を吐き出していきます。これを34回を1セットとして、1日に34セット繰り返すことで、横隔膜を自然と動かして体温を上げることが出来るようになります。

今津先生が回答! 注意したいよくある生活習慣&症状Q&A

Q 寝る前には必ずスマホをチェックしています。

A スマートフォンの光は睡眠のスイッチをオフにする。就寝時と起床時で、うまく活用を!

「目の奥にある脳に睡眠の中枢があり、目から入る光の刺激によって睡眠のスイッチがオフになり、人は覚醒します。つまり、寝る前にスマートフォンを見ていると、睡眠のスイッチをオフにする刺激が加わるため、なかなか眠ることができず脳が興奮した状態となり、質の良い睡眠の妨げになります。

逆に、朝起きてからスマートフォンを見ると睡眠のスイッチをオフにする刺激が加わりますので、うまく活用することで睡眠のリズムを作ることができます」

Q 1日中デスクワークをしています。

A 首から肩甲骨周囲を動かすと、体が温まり、血の巡りがよくなります。

「デスクワークをしていると、長時間飛行機に乗っているときと同じように、足に血液がたまり、浮腫んだりだるくなったりします。足ばかりか背中や腰もひどく疲れてしまいます。これが原因で肩こりや頭痛になる方も多くいます。

デスクワークを1日されている方は、定期的に体を動かすようにするといいでしょう。熱を発生させる褐色脂肪細胞を刺激して、体温を上げ、血の巡りを良くしましょう。この褐色脂肪細胞は、首から肩甲骨周囲に存在しますので、首をゆっくりと回して、肩甲骨を動かすことを意識して両手をゆっくりと回すと良いでしょう」

Q 時間がないので、いつも朝食抜きです。

A 朝食にバランスの良い食事をすることが、免疫力を上げるポイントです。

「朝ごはんが1日のうちで一番、太りづらく、ダイエットのためには大切な食事です。昼食や夕食と同じカロリーをとっても、朝ごはんは血となり肉となってくれます。朝ごはんにバランスの良い食事をすることが、免疫力を上げるポイントになります」

Q いつもお風呂はシャワーのみで済ませています。

A 42℃以下で5分の入浴は、身体を芯から温め、免疫力を上げてくれます。

「シャワーを浴びれば、体の汚れを落とすことができますが、心の汚れまでは落としてくれません。疲れた心を癒すためには、5分でいいのでお風呂に入ってみてはいかがでしょう。42℃以下で5分の入浴は、体を芯から温めてくれます。体温を上げることで体の代謝が上がるだけでなく、身も心も癒やしてくれます。もちろん、免疫力も上げてくれますよ」

Q 寝るのはいつも深夜になってしまいます。

A 睡眠リズムを整えるには、どんな時間に寝ても「朝起きる時間」を一定に保つことがオススメ。

「日本人の平均睡眠時間は、7時間42分と言われていますが、多忙な読者のみなさんにとって、なかなか難しい目標かもしれません。

睡眠時間が取れない人には、起きる時間を決めることをオススメします。どんな時間に寝ても、かならず起きる時間を一定に保つことで体のリズムを崩さずに生活することが出来るようになります。実は、人の体内時計は25時間をサイクルに設定されていますので、24時間の生活では、自然にリズムが狂っていきます。この自然のリズムとの調整をしているのが、朝、起きたときになります。つまり、睡眠は起きた時間が基本で、寝る時間が基本ではないのです」

Q 最近疲れやすく、1年に何度も体調を崩しています。

A 1日のうち、最も体温が低いのが朝一番。体温よりも高い白湯を胃に入れ、免疫力の活性化を。

「朝、起きたときに、一杯の白湯を飲むことをオススメします。

体温が免疫力のバロメーターだというお話しをしました。1日のうちで体温が最も下がっているのが、朝起きたときなのです。この朝一番に、体温よりも高い温度の白湯を胃に入れることで、簡単に体温を上げることができます。最も低い朝の体温を上げることで、その日1日、高い体温で過ごすことが出来るようになります。つまり、体温が高いことは免疫力が活性化されていることですから、疲れにくく、風邪を引きにくい体に整えてくれます」

Q 寝つきが悪く、夜中に何度か目が覚めます。

A 体温が高くなると、入眠がスムーズに。就寝前の白湯で体を温めることがオススメ。

「寝る前にちょっと高めの白湯を飲むことをお勧めします。

1日のうちで体温が最も高くなるのが寝るときです。体温が高くなると入眠がスムーズになります。年を重ねると体温が低くなり、寝る前に体温が上がらなくなり、睡眠も悪くなりがちです。

寝る前の少し高めの白湯は、カラダの芯から温めてくれ、質の良い睡眠へ導いてくれます」

―最後に、読者へメッセージをお願いします。

女性が人として輝くためには、表面だけでなく内面から輝く必要があります。そのためには、体温を上げて免疫力を活性化することが大切です。

手軽に毎日できる習慣を身につけることで、内面から明るく健康的で元気な体を作ることができます。ぜひ、すばらしい人生を過ごしてくださいね、応援しています!