産婦人科医に聞いた、知っておくべき「女性ホルモン」のこと

女性特有の疾患を予防しよう!

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メンタルや健康に深く関係する女性ホルモン。とくに、女性特有の疾患には、女性ホルモンが関わってくるので、きちんとした知識を得てバランスを整えておくことは将来を見据えた上でも大切。女性ホルモンについて研究する産婦人科医の峯眞紀子先生と吉形玲美先生に、"20代、30代の女性が知っておくべきこと"を聞いてみました。

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―まずはじめに、女性ホルモンってどんなものですか?

脳からの刺激で卵巣から分泌されるホルモン。2種類あります

・エストロゲン…女性ホルモンの代表

妊娠においては、子宮に作用して受精卵のベッドとなる子宮内膜を厚くするはたらきをします。思春期に乳房が大きくなる、皮膚のハリを保つなど女性らしさをつくる骨密度を保つ、血管をしなやかにする、内臓脂肪をためにくくするなど身体の内面の健康を保ちます。ただ、過剰では乳がん、子宮体がんなどのリスクに!

・プロゲステロン…妊娠を維持するのに必要なホルモン

妊娠においてはエストロゲンによって厚くなった子宮内膜を受精卵が着床しやすい状態に整えます。また、基礎体温を上昇させる働きがあり、その変化を知ることで排卵の有無や時期を確認することができるのです。そのほか食欲増進、むくみなどにも影響が。月経前に分泌が増えるため、人によってはPMS(月経前緊張症)の原因となります。(吉形先生)

女性ホルモンと月経周期

女性ホルモンと、女性特有の疾患

―女性特有の疾患と女性ホルモンはどんな関係がありますか?

卵巣がんや乳がん、子宮体がんなどは、女性ホルモンの影響を受けるので、20代からの定期健診が重要

卵巣がんや乳がん、子宮体がんなどは、女性ホルモンの影響を受けることが知られています。しかし、家族性の卵巣がんや乳がんの中には、女性ホルモンに依存しないタイプのものもあります。また、子宮頸がんは、多くが性行為によるヒトパピローマウイルスHPVの感染で起こるため、女性ホルモンの影響はほとんどありません。女性ホルモンと病気は大きく影響しますので、20代からの定期的な検診が重要になります。(峯先生)

20代、30代でも卵巣がんや子宮頸がん、乳がんなどが発生するケースを耳にしますが、若年で起こりうる原因はなんですか。

一部の卵巣がんのリスク因子は排卵回数、動物性脂肪の多量摂取、喫煙があります。排卵回数が多いほどがんのリスクが増えることになります。昔に比べ出産回数の低下や授乳期間の減少に伴って、一生の間に起こる月経の回数が増えたため、排卵の回数も増えました(戦前の女性は、月経回数は生涯で50回程度でしたが、現代の女性は約9倍の450回とも言われています)。乳がんは全体的に増加傾向で、35歳以下で発症する若年性乳がんも増加しています。食生活の欧米化や、女性のからだの発達の早さがリスク要因と言われています。子宮頸がんは性行為開始の低年齢化なども関連している可能性があると思われます。(峯先生)

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―子宮内膜症、子宮筋腫などの疾患にも女性ホルモンは関係がありますか?

子宮内膜症、子宮筋腫は、ともにホルモンの影響を受ける病気です

自分で分泌する女性ホルモンによって増悪・増大していきます。子宮内膜症は、悪化していくと生理痛や不妊症の原因となります。一方、30代では3人~4人に1人が子宮筋腫と言われています。早期発見のため、検診をお勧めします。(峯先生)

女性の体とエストロゲンの関係

20代、30代で女性ホルモンのバランスが悪いことで、将来の健康状態にも影響がでてくるのでしょうか?

極端な月経周期の異常が長く続くことで排卵が起こりにくくなります。将来の影響ということになると、不妊症が考えられます。(峯先生)

―女性特有の疾患を防ぐために、"20代、30代が今から知っておくべきこと"を教えてください。

高齢出産や、粉ミルクのみで育てる完全ミルクは、乳がんのリスクが上がる

女性特有の疾患を防ぐためには、早期発見が何より必要です。

授乳中は女性ホルモンの分泌が減少しているので、授乳経験がある人、授乳期間の長い人は乳がんの発生リスクは下がると言われています。高齢出産や、母乳ではなく粉ミルクのみで育てる完全ミルクで乳がんが増えるといわれるのはこういう理由です。(峯先生)

―女性ホルモンに影響を与えるストレスとは、どんなものですか?

季節の変わり目が月経不順や不正性器出血の原因になることも

ストレスの精神的、肉体的感じ方は人によって異なりますが、季節の変わり目などには「月経が遅れている、生理が来ない」といった月経不順や不正性器出血で外来を受診される患者さんが増える傾向があります。この場合、排卵していなかったり、排卵が少し遅れているだけなど原因はさまざまですが、女性は気候の変化といったあまり自覚していないようなストレスでもホルモンバランスが乱れることがあります。(峯先生)

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女性ホルモンのバランスを整えるために

―女性ホルモンのバランスを悪くしてしまう日常生活の中での原因を詳しく教えてください。

20代、30代にありがちなホルモンバランスに悪影響の生活習慣は、以下の点が挙げられます。

・食習慣(偏食、栄養不足、栄養過多、添加物の摂取など)

・喫煙・受動喫煙を含む

・ダイエット

・運動不足

・夜型の生活

・過度のストレス

・冷え(食習慣、ダイエット、運動不足、夜型生活、などからくることも)

現代女性の忙しい暮らしも理由に考えられますが、意識して改善していただきたいですね。

(吉形先生)

―女性ホルモンのバランスを整えるための食事方法や生活習慣を教えてください。

女性ホルモンを整えてくれる栄養素の代表は、大豆イソフラボンです。豆乳よりも発酵食品を

女性ホルモン分泌によいとされる栄養素で20代、30代に不足しがちなものは、タンパク質(豆、魚、肉は赤身)、ビタミンE(アボカド、ナッツ類)ですね。妊活も意識するなら、カルシウム(乳製品、海藻、サクラエビ、ゴマ、大豆食品)や鉄、亜鉛(カキ、レバー)を。また、女性ホルモンバランスを整えるのによいとされる栄養素の代表は大豆イソフラボンです。大豆食品は豆乳をがぶ飲みするより(豆乳からは11杯くらいが妥当)発酵食品のほうがよりよいです。

いずれも1つの食材でなく多くの品目から摂取するのが理想です。難しいならサプリメントでもいいのですが、摂取上限値や添加物・保存料などには注意をしてください。インスタント食品や添加物の多い惣菜は論外です。コンビニでも素材そのものがわかるような安全なものをえらぶようにしてください。

※参照:『パートナーと考える出産・妊活バイブル』著 吉形玲美 2012年日東書院

(吉形先生)

―女性ホルモンのバランスを知るための検査はできますか?

血液検査でホルモン状態を知ることができます

また、超音波検査なども含め数回受診することで排卵の周期など、総合的な判断ができます。原因を知ることで、ライフスタイルに応じた治療の選択を勧めています。検査の内容によりますが、超音波検査とホルモンの採血で5000円くらいからです。(峯先生)

20代、30代で女性ホルモンのバランスを整える治療は、どんなことをするのでしょうか?

軽度の場合は、生活習慣の改善の指導のみで経過観察することもあります。不正性器出血を繰り返す場合や長期に月経が来ない方には積極的にホルモン剤での治療を勧めています。治療にはホルモン療法(カウフマン療法)、低用量ピル内服などがあります。

また、月経前症候群やにきび、肌荒れがひどい場合は、低用量ピルを処方しています。これらの治療のメリットは月経周期が安定することや症状改善だけではなく、女性ホルモンが関係する子宮内膜症や卵巣がん・子宮体がんの発生率が低下します。デメリットは、むくみや胸の張りなどの女性ホルモンによる副作用が起こることがあることです。(峯先生)

―最後に、20代、30代の女性へのメッセージをお願いします。

女性ホルモンと上手につき合う方法を知ることは、女性としての生活をより楽しく過ごせることにつながります。

自分の身体と心を守ってくれている女性ホルモンについて興味をもち、また婦人科検診なども身近に感じてほしいと思います。セルフコントロールの方法としてはまず基礎体温をつける習慣を。自身のバロメーターを知っておくことは、女性ホルモンとの上手なおつきあいの第一歩です。(吉形先生)


産婦人科医に聞いた、知っておくべき「女性ホルモン」のこと

峯眞紀子先生(左)

大阪市内にある茶屋町レディースクリニック本町 院長(医学博士)。女性がより美しく、若々しく生きるために「女性のQOL(生活の質)を考慮した生活提案」を行っている。

吉形玲美先生(右)

浜松町ハマサイトクリニック、婦人科医師(医学博士)。著書に『パートナーと考える出産・妊活バイブル』(日東書院)。女性ホルモン様成分「エクオール」研究の第一人者として、幅広く活躍中。

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