2016年の夏、エボニー・デイビス23歳)がモデルをつとめたカルバン・クラインのキャンペーン広告はニューヨークの街中に飾られた。

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現在、米ファッション業界の第一線で活躍するエボニーだが、彼女曰く、業界には根強い有色人種差別がはびこっているという。コスモポリタン アメリカ版によると、そんなエボニーが先日スピーチ番組『TED Talks』で、彼女が味わってきた差別体験や、今後のファッション業界に多様性を求める趣旨のプレゼンテーションをしたそう。

これはyouTubeの内容です。詳細はそちらでご確認いただけます。
Black girl magic in the fashion industry | Ebonee Davis | TEDxUniversityofNevada
Black girl magic in the fashion industry | Ebonee Davis | TEDxUniversityofNevada thumnail
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デビュー当時の心境について、「モデルの契約さえ決まってしまえば、(黒人でも)道は開けるものだと思っていた」と振り返ったエボニー。しかし、現実は厳かったようで「あらゆる場面でファッション業界からの強い反発を受けました。黒人の髪の扱い方を知らない白人のスタイリストが、私の髪の毛に触れて、『うちの事務所、あなたと似た子が既にいるのよね』と言うのです。その言葉の真意は、『黒人の女の子は誰でも同じに見える』ということです」。

最も辛かったのは「あなたをどう扱ったらいいのかわからないの」という類の発言。エボニーも彼女の親もアメリカ生まれなのに、しつこくルーツについて聞かれたり、「ルックスがいいからハーフに違いない」という思い込みの発言をされたり、事務所の方針で「契約できる黒人モデルの数には上限がある」と言われたことも。さらには、黒人の肌の色や髪質に対応できないスタイリストに、顔を灰色に塗られ、頭に火傷をさせられたこともあったという彼女。昨年、ありのままのヘアスタイルで仕事をすることにしたときも、周囲は困惑し、苦言を呈したという。

<Essence><Ebony>(いずれも黒人読者向けの情報誌)とは仕事をするな」と周りから忠告を受けた時のエピソードについては、「黒人モデルというレッテルを貼られたら、モデルとして第一線で活躍する道が閉ざされてしまう。黒人でありながら、黒人というレッテルを貼られることは、自分の価値をはぎ取られ、第一線を退くということなのです」と、不公平な業界の実情を明かしたエボニー。

そんな彼女にとって、個人的にもモデルとしても大きな転機となったのが、201675日に発生した、黒人男性アルトン・スターリングさんが警察に射殺された事件。偶然にもこの事件と同日に、エボニーが起用されたカルバン・クラインのキャンペーン広告がスタート。心を突き動かされたエボニーは、ファッション業界に向けて、業界全体にはびこる人種差別根絶を求める手紙を公開することに。

そしてスピーチのラストでは、このように言及した彼女。

まずは、多様性を受け入れることから始めましょう。社会的義務として黒人モデルを選ばないといけないから…ではなく、ファッション業界への独自の功績が認められて起用されるようになりたい。世の中が作り出した『美』の枠に私をはめこむのではなく、これからは多様性を受け入れ、それぞれが『美』の定義を広げてみてはどうでしょう?」

※この翻訳は、抄訳です。

Translation: シャー順子

COSMOPOLITAN US