シアトル在住のメラニー・ゲイドスさん(28)は、外胚葉異形成症という先天性の難病を持つ異色のモデル。遺伝子の変異により、髪や歯、爪の成長などに影響を受けているのだとか。他の多くのモデルとは異なる容姿を持つ彼女が何を考え、どうやってこれまでの道のりを歩んできたか、コスモポリタン アメリカ版に語ってくれました。

「ファッションウィークに出ていると、私に対する接し方で人々が私をどう思っているかが分かります」とゲイドスさん。「私は自分の見かけで悩んだことなんて、決して、一度もありません。私とは何の関係もないんですから」。インタビューから伺えるゲイドスさんの印象は率直で、大らか。

ゲイドスさんがモデルの仕事を始めたのはニューヨークのプラット・インスティテュートに通っていた頃。美術系の学校に在籍していたことで、あらゆる創作活動をする人々と出会い、あるカメラマンの友達にモデルを頼まれたのだとか。

私は自分の見かけで悩んだことなんて、決して、一度もありません。

「その頃、私は学校でたくさんの自画像を描いていたんですけど、彼が私の描き方をすごく気に入ったんです。そして、モデルをしてくれないかとも頼まれました。この経験をした後、自分はもっとモデル業ができると気づいたんです。この外見を持ってるのは私だけ。こういう物の見方や世界観を持っているのは私だけなんです」。

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よくあるモデル誕生物語とは異なり、誰かに「見出された」わけではないゲイドスさん。<Craigslist>や<ModelMayhem>などのオンラインサイトを見て、モデルの仕事を探したそう。「<Craigslist>のニューヨーク地区には、かなり様々なカメラマンからの募集が出ていました。今の仕事に飽きて、商業主義の仕事から出たがっている人々にたくさん会いました。彼らは他にはいない、唯一無二の、撮影が楽しくなるような人材を求めていたんです。私は他のモデルとはあまりに違うから、これほどたくさんの仕事をとることができたんです」。

今も事務所に所属することなく、マネージャーもついていないゲイドスさん。「(マネージメント会社の)IMGと、他のいくつかの事務所に声をかけられたことはありますけど、契約には至りませんでした。本当に、タレント事務所を探したいんですけど、ツテがなくて。でも今のところ、自分でかなりうまくやっています!」

どうやらそれは間違いなさそう。<Craigslist>で仕事を見つける一方で、ゲイドスさんは、<i-D><Galore><Love>などのメジャーなアバンギャルド・マガジンに起用されていて、ニューヨークファッションウィークのショーでも何度かランウェイに登場しているほか、映画やショートフィルムにも出演しているのだとか。

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もはや不可能なことなんてなさそうなゲイドスさんだけれど、「最初にモデルを始めた頃、12年くらいは、私に『まあ、商業撮影は無理だろうね』と言うカメラマンがいたものです。あと、『君がランウェイを歩くことはないよ』とか。私はもう3年ほど、ランウェイを歩いています。ニューヨークファッションウィークにだって出てるんです! 私は何かが出来ないって言われるのが本当にイヤなんです」。

もっとも、その後に否定的な反応をされたことも。「多くの雑誌は私の写真を投稿したり、出版したりすることをためらいました。…きっと他のファッション業界とあまりに違うからでしょうね」とゲイドスさん。「撮影を終えた後でさえ、時に『どうしようか』って感じで。きっと恐くなるんですね」。

私は何かが出来ないって言われるのが本当にイヤなんです。

他の人なら、そんな言葉に心が砕けそうになるかもしれないけど、ゲイドスさんは、いたって冷静。驚くことに、子どもの頃からそうだったのだとか。「学校に行くと、多くの人が私を恐がっているか、違和感を持っているような感じでした。質問をする人もいるし、その他の人はどう反応していいか、どう対処していいか分からなかったみたい。どうして人々が私に対して他の人と違う扱いをするのか分かりませんでした。DNAの異常というだけなんです。生まれつきなんです。それによって私の考え方や何かが影響を受けたことはないわ」。

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彼女のように個性的な外見によって、より多くの仕事が回ってきているモデルは他にも少なくなく、ケイティン・スティッケルズさんもその1人。染色体異常が原因のいわゆる「ネコ目症候群」を患っていて、今年撮影された<V Magazine>のファッション写真が話題に。他にも、ゲイドスさんが挙げたのはアルビノのモデル、ショーン・ロスさんと、尋常性白斑を患うウィニー・ハーロウさん(「アメリカズ・ネクスト・トップ・モデル」への出演をきっかけにブレイク)。

ファッションは今、その理想像を作りかえていると本当に思うけど、それは私のような人間が実際にそうさせているからに過ぎません。

ファッション業界について、「毎年、幅が広がって、少しずつ開放的になっているような気がする」と言うゲイドスさん。「ファッションは今その理想像を作りかえていると本当に思うけど、それは私のような人間が実際にそうさせているからに過ぎません」。

今度はファッションウィークのためにベルリンに飛び、その後パリで映画撮影に臨む予定だというゲイドスさん。これまでの経験を本にするため、執筆もしている他、ボディ・イメージについて話す機会を得るため、様々な組織と話し合いを続けているのだそう。「モデルを始めた頃は、そんなことはできませんでした。私はまったくの新人で、まったく新しいケースだったから。私にそんな力はなかったんです。でも、今では人々が私を理解しているのが分かるし、私が話すことに興味を持っているのも知っています」。

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ゲイドスさんにとって、太ももの太さや髪の毛のカール、お腹周りのぜい肉を気にするのはつまらないことに見えるよう。「誰にでも不安なことはあるものです。他人がどう見えるかとか、他人が自分をどう見るかを心配するのは、とても窮屈で、憂鬱なことだわ」とゲイドスさん。「私は、なぜ人々がただ自分でいることに満足して、他人に関しても同じ態度でいられないのか、分かりません」。


外胚葉異形成症」とは?

遺伝子の変異によって起こる突然変異の総称で、髪の毛、歯、爪、汗腺、目、耳、手足の指に影響を与えるもの。外胚葉異形成症を持った人々は単に見た目が違うというだけでなく、食事や環境において特別な配慮を必要とすることもあるのだとか。外胚葉異形成症を持って生まれる子ども1万人に1人と言われているものの、遺伝疾患の種類は多様で、他にも様々な発病の形があるとのこと。

※この翻訳は、抄訳です。

Translation:mayuko akimoto

COSMOPOLITAN US