大盛況のうちに幕を下ろしたミラノ・ファッションウィーク。ゴミ素材をモードに昇華した「モスキーノ」や、若手デザイナーの注目ルックなど、見どころが多かった今季のミラノコレクションをプレイバック!
日本からはコムアイが参加!キャスティングが豪華すぎる「ドルチェ&ガッバーナ」
前回に引き続き、オースティン・マホーンのライブで幕を開けた「ドルチェ&ガッバーナ」。ランウェイを縦横無尽に動いてパフォーマンスするオースティンとすれ違うように歩くのは、大勢のミレニアルモデルたち!
イタリアのアイコンモデルであるビアンカ・バルティから、オアシスのノエル・ギャラガーの娘アナイス、スティーヴン・スピルバーグの娘でユーチューバーのサーシャ、ジュード・ロウの息子ラファティら二世セレブに加え、日本からは「水曜のカンパネラ」のコムアイが参加し各国を代表するネクストアイコンが集合。
かねてより、ブランドアイデンティティであるシチリア島の住人をモデルに起用するなど、リアルなキャスティングを得意とする「ドルチェ&ガッバーナ」が今回テーマにしたのは「ギャラクシー」。宇宙規模な大胆さで、世界中から集まったリアルな若者たちと、細かい壁に捉われない未来を描いた。
後半、オースティンは人気曲「ダーティ・ワーク」を披露。ブレイク中の芸人ブルゾンちえみさんのネタに使われているあの曲! ショー動画を見ながら、密かに「35億! 」と反応しちゃう日本人は少なくない…!?(笑)
掛け合わせの妙! 「グッチ」による神秘的なダイバーシティ!
今シーズンからウィメンズとメンズを同時に発表することになった「グッチ」のテーマは「錬金術師の庭」。
クリエイティブディレクターのアレッサンドロ・ミケーレらしい「ノーボーダー」なコレクションは、70年代のグラムなムードやボロボロのバンドTシャツとデニム、50年代のようなクラシカルなスカーフ使いとビスポークスーツ、民族的なシノワズリやスコティッシュスカート、インドシルクのような艶やかな色合いのセットアップ、中世の貴族のようなドレスが、ランダムに登場。
それぞれを普遍的に彩るのは、ライオン・昆虫・蛇のモチーフや、ブランドのフラワーモチーフ「フローラ」。各時代の断片を切り取ったファッションと、ずっと変わらぬ動植物の正反対な掛け合わせはインパクト大! ダイバーシティを融合させるグッチの「錬金術」に魅了されて!
エレガンスで、軽やかに宗教を超えた「マックスマーラ」
ヒジャブ着用モデルとして注目のハリマ・アデンが登場した「マックスマーラ」。ケニアの難民キャンプで生まれ、ミスコンでミネソタ州代表となった彼女は、水着審査ではムスリム女性用水着で身体全体を隠す「ブルキニ」を着用。Instagramでは「ヒジャブは私のクラウン(王冠)」とコメントしており、今回もヒジャブを纏ってランウェイを歩く徹底ぶり。
アイコニックなゼラニウムレッドやキャメルといったカラーで始まったショーは、シアーな生地をゆったり使ったテーラードスーツでモデルが歩く度に軽やかな動きを見せ、その中にハリマのヒジャブが溶け込み、エレガントに宗教を越えて女性たちの美しさを引き立てた。
注目の若手ブランド「ファウスト プリージ」のロックな古代ローマ!?
昨年、ピッティウオモでゲストプレゼンテーションも行った注目の若手ブランド「ファウスト プリージ」。 ネオンのように賑やかなカラーパレットに、多くの民族・宗教を内包しながら国家を築いた古代ローマ帝国の象徴である太陽モチーフを合わせ、重厚でノスタルジックなコントラストを作り出した。
レザーやファーで仕上げたゴージャスな肩周りのジャケット、娼婦のようなガードルやフェザーのデコレーションといったロックなディテールは、ツバ広のキャペリンハットでイタリアンシックに導かれ、そこに太陽のネックレスが荘厳に輝く。激動のローマ帝国時代の先人たちの教えを、現代のロックスピリットに乗せたヒストリカルなコレクション!
政治的なパフォーマンスも好評だった「ミッソーニ」、ところでアイテムは…!?
ショーの最後にピンクの「プッシーハット」を被ったモデルたちがマーチを繰り広げ話題になった今回の「ミッソーニ」。クリエイティブディレクターのアンジェラ・ミッソーニは家族と共に人権の尊重について演説し、ゲストたちも座席に配布されたプッシーハットを被り、会場は一体感に包まれた模様。実はその思いは、パフォーマンスだけではなくルックにも込められていたみたい。
いつもよりもビビッドでエッジィなカラー使いと、不規則なグラフィック、そして真っ赤な足元でしっかりと強さを表現!一方で有機的でどこか懐かしいストーンや貝殻でできたアクセサリーも、「ミッソーニ」らしくて気になる!
ドナテッラが放つ「ヴェルサーチ」のセクシーパンク!
「ヴェルサーチ」はいつにも増してセクシーでパンチの効いたコレクションを発表。目の覚めるようなイエローやオレンジを、シースルーのブラックで作ったストライプや花柄に重ね、スリットとフラウンドの効いたアシンメトリーなシルエットで挑発。
加えて、「COURAGE(勇気)」「EQUALITY(平等性)」「UNITY(結束)」といったロゴを至るところに載せた。ヘアにはアイテムにも使用されたビビッドカラーのインナーエクステンションを施し、目元を太く囲み跳ね上げたアイラインでパンクに。デザイナーのドナテッラ・ヴェルサーチらしいダイレクトなメッセージが突き刺さる! フロントローにはナオミ・キャンベルの姿も。
こんなのアリ!? ラグジュアリーの意味を問う「モスキーノ」
ダンボール製スーツを纏ったケンダル・ジェナーがオープニングを歩いた「モスキーノ」。その後のルックも、プチプチパッキンやクッションフェルト、新聞広告やゴミ袋など、ありとあらゆるファッション業界から生まれた"ゴミ"を素材に用いるというユニークっぷり!
高級な服を梱包する際に、粗雑に扱われた廃棄物を目の当たりにして、それでもこの服を"ラグジュアリー"と呼べるのか? と自分に問いかけたというクリエイティブディレクターのジェレミー・スコット。
彼の思いが反映されたショーは、終盤にはランウェイを"包む"舞台幕を引き剥がして登場した真っ赤なベルベットの"カーテンドレス"や、会場の絨毯やキャンドルスタンドのようなインテリアを素材として生かしたゴージャス(!?)なドレスたちで遊びごころたっぷりにフィニッシュ!