コスモ女子に限らず、女子もオネエもみ~んなあやかりたいのが、今月のテーマ「美」よね~。気の利いたことが言えなくても、磨いた技術がなくても、美しい人ってただいるだけなのに人生全般で得しやがって何なんなのよって、正直うらやましい。…って、いきなり完全に負け組サイドの視点じゃねえか!

いえね、アタシ先日46歳になっちゃったんですよ。加齢に弱気にならないように、「これで憧れの46グループに入れます!」って、わざわざ欅坂のニセ衣装まで作って2丁目のお店でヨタヨタ踊ったりしてたんだけど、周りからは「何が欅坂だ、無縁坂女装だろ!」ってさんざん突っ込まれました。

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本家よりかなり短いスカート丈にするところに、本気でちょっと負けたくない感出てるの。足の露出だけはしつこいタイプのババアあるある。そして風邪ひく。

何が言いたいかっつーと、フィジカルな美については小手先の技はあっても、細胞の絶頂期が過ぎたら、みんな平等に衰えてはいくってこと。コスモ女子のメイン層って2030代女子でしょ? 造形はともかくとして、お肌や髪に関してはピークだからね。わかってる? あんたたち、肉体素材は今がピークなんだよ~!

実際、いわゆる女性ホルモンが体にもたらす女性的な美ってはっきりあるもの。うちらは外殻だけの女装ゲイだけど、トランスジェンダーの友達とかが女性ホルモンを投与すると、明らかに肌質や丸みが変わっていくもの。肌や髪の潤い・ハリ、丸みを帯びた体つきを産み出すエストロゲン様、おそるべしですよ。

でもこいつの血中濃度は、10代後半でピークを迎えて、30代で緩やかに下降が始まり、40代後半で激減。50を過ぎるとごくごく僅かになるという残酷な現実が待ってるの。みんな薄々気づいてると思うけど、還暦以降の人って、おじさんみたいなおばさんや、おばさんみたいなおじさんだらけでしょ。幼児の男女差が少ないのと同じで、人間って生まれた直後と死ぬ前は、肉体的な男女の差なんてたいしてないのよ。そして40代後半に突入したアタシは、まさに肉体美というものの急下降を味わいまくってるナウよ。ちくしょう! コスモ女子がまとめて憎い!

ただ逆を言えば、肉体美のはかなさを思い知ることは、それに頼り過ぎない保険の意識を持てるってこと。遺伝子のギフト、当たりクジみたいな美貌だけあって、それにかまけ過ぎた女とオネエたちの一部が悲惨なことになるのも知ってるでしょ? 最盛期の美貌基準の「上から目線」脳のままで、どんどん煙たがられるようになるねえさんや、それに自分の価値を置き過ぎたがために、失う恐怖から逃げるように改造を繰り返すねえさん。結局「肉体だけの美」は、一方的に消費したい周りには都合が良くても、本人は振り回される恐ろしいものにもなりかねないのね。

ドラァグクイーン系のゲイ女装は、その美しいっぽいものが「装ってる」だけのものだって分かってる。楽屋でお互いの剥き身のしょっぱさも見合って、笑い飛ばしてる。だいたいうちらは、それで惑わして結婚相手を捕獲できるでもなし、盛って遊ぶほどに、ラッピング的なかりそめの美を冷めながら楽しんでるの。

その上で、脳で作れるタイプの、手の動きや立ち姿、言葉選びみたいなものの「優美さ」、「人生の美学」には人一倍こだわってる人が多いのがポイントよ。たとえば70代、80代のおばあちゃまがシワシワなことは、誰も文句もないでしょ。その時に言える「美しいおばあちゃまだね」って感想は、まさにそういう文化的な所作や人との接し方の優美さによるもの。これからの老人ばっかりになる社会の中では、生き様の美しさがますます際立っていくんだと思うわ。

…って、ホルモン絶頂期のあんたたちに何を言ってもババアの遠吠えだってわかってる! でも、同世代横並びのコスメ情報やカメラ写りテクニックにキャッキャ言いつつ、あっという間にやってくる肉体美の急下降以降にものを言う部分のほうも、今から意識できてるコになって損はないわよ。本当に長い付き合いになるほうの「美」をわかってる、しっかりさん。刹那なキリギリスの美をパートタイムで楽しんでるアタシたちだからこそ、脳から作るアリの美もちゃんと身につけときなって思うわ。美しく棺桶に入りましょ! Have a Nice Flight~!