「脂肪のつきやすさ」を決めるもの

お腹の脂肪、後編です。

【前編】 では脂肪分解について、専門的すぎるほど説明してしまいましたが、今回はさらにハードコアな内容でいきますよ~。

さて、前編でも触れたアドレナリン受容体ですが、これはα、βと2つに分けられます。

α受容体=脂肪分解を抑制

β受容体=脂肪分解を促進

と決まっていて、脂肪燃焼に対する効果は、それぞれの細胞、特に脂肪細胞において、この2つの受容体の比率によって決定されるといってもいいでしょう。

筋細胞や脂肪細胞にはアドレナリン受容体がありますが、性差や個人差によって受容体の数、α受容体とβ受容体の比率はちがうと言われていて、一般的に女性ではお尻、 脚、男性では腹筋、腹斜部において、脂肪分解を抑えるα受容体が多いのだとか。

ということはつまり……女性の下半身はそもそも痩せにくい、ということになりますよね。

日本人は「節約遺伝子」

「え、女子もお腹じゃないんだ?」と思った人もいるでしょう。

実際、手、足は細いけど、お腹周りが気になるっていう女性は結構いますが、その人達は遺伝的にα受容体がお腹に多いということ。私が何度もこのコラムで、「人によって脂肪のつき方落ち方がちがう」と言っている理由はここにあります。

さらに日本人の場合、脂肪分解の方で使えるβ受容体の遺伝子に変異がある人が、欧米人に比べ2~3倍高いらしい! 飢餓を生き抜くためには、α受容体と変異したβ受容体は最適ですが、ボディメイクに励んでいる身としては、そんな節約遺伝子は大迷惑(笑)。

事実を受け入れてからが勝負

しかしここはもう、文句を言ってもどうにもならないこと。でも事実を知ったからってショックを受けないでほしいんです。

私がこの記事を書いているのは、脂肪が落ちないからって凹まないでほしいから。自分でコントロールできないことで落ち込む必要はないですからね。

世の中に、完璧な遺伝子はありません。だからこそ、トレーニングや食事管理の中で何が一番自分に合うのかを見つけてほしいし、探すことそのものを楽しんでほしいと思います。遺伝問題は知っていてほしいけど、人とくらべたり、うらやましがる必要はないんですよ!

参考文献:1. The American Society for Clinical Nutrition, 1992 Adrenergic receptor function in fat cells. P Arner 2. Hum Reprod. 1997 Oct;12 Suppl 1:6-20. Adrenergic regulation of adipocyte metabolism. Lafontan M1, Barbe P, Galitzky J, Tavernier G, Langin D, Carpéné C, Bousquet-Melou A, Berlan M. 3. Am J Physiol. 1989 Jul;257(1 Pt 1):E65-73. Effect of short- and long-term beta-adrenergic blockade on lipolysis during fasting in humans. Klein S1, Peters EJ, Holland OB, Wolfe RR.

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