自分の人生は、自分でしか生きられないし、どう楽しんでいけるかは、毎日の選択と気持ち次第。どんな生き方だって、自分で選んできている人は、いつだって魅力的に見えるし、自然と心惹かれるもの。コスモポリタン日本版では、人生を謳歌しているさまざまな女性の生き方を紹介していきます

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東大大学院生/林真由さん

『ミス・ワールド2016』で審査員特別賞、「beauty with a purpose」賞を受賞。ファイナリストと現役東大院生という、2つの顔を持つ才色兼備の林さん。どちらかというと「美」には無頓着だったという彼女が、コンテストに出場した経緯や、競い合って得たこと、さらに今後の展望について語ってくれました。

——東京大学の大学院へ進まれた経緯を教えてください

家族全体で健やかな成長ができるように…家族看護学を学んでいます

小さい頃から母親の影響でボランティア活動をしていたので、海外研修が多い慶応大学の看護医療学部に入学しました。発展途上国の子供たちの健康増進に携わりたかったんです。研修でオーストラリアやイギリス、ラオスへ行かせてもらいましたが、中でもラオスは印象に残っていますね。日本では当たり前のことが当たり前じゃなくて。例えば、日本から送った最新の医療器具が置いてあるんですけど、袋をかぶったまま放置されていて…。技術がなくて扱えないんですよね。厚生労働省の方とお話をして、法律から制度を変える必要があるんだなと実感しました。

大学卒業後は看護師として臨床経験があるほうが良いと思い、大学病院で働くことに。外科や内科を経験しましたが、何カ月も患者さんと一緒にいると、ご家族と接する時間も多くなるんですよね。ある若い患者さんにお子さんがいて、もう先が長くないって状況になったときに、子どもに伝えるか悩んでいて相談されたり…。さらに、6歳の被虐待児童に出会ったとき、その子のケアだけじゃなく、親や家族全体を見る必要があると、その時強く感じました。そういう実体験を経て、家族全体で健やかに成長できるような社会を目指すべく、もっと勉強がしたいと思って大学院へ。今の教授が家族看護学で有名な方で、さらに虐待や周産期のことなど、私の関心領域を研究されていて、この教授のもとでどうしても学びたいと思い、東京大学の大学院を選びました。

——学問に精進しながら『ミス・ワールド』に出場することになったきっかけは?

今までの社会貢献や内面の美が問われるコンテストだったから

大学院に入る前に、たまたまモデル事務所にスカウトされたんです。ただ、自分で仕事を探さなきゃいけない状況で。そんなときに『ミス・ワールド』の応募資格が、身長制限がないこと、年齢制限もギリギリでちょうどイイことを知りまして(笑)。

それに、他のミスコンはホントに見た目や身長、ボディーライン、自分をどう見せるかで判断されるけど、『ミス・ワールド』は内面や今までの社会貢献が問われる。そういうところに惹かれましたね。

——ミスコンというと競い合うことが前提ですが、葛藤はありませんでしたか?

落とされるならそれまで。ただ、自分の経験は負けないと信じていた

私は身長が156センチしかなくて…150センチ台で出場していたのは1人だけ。もう、これってどうしようもないんですよ(笑)。私が15センチのヒールを履いたところで、みんなも15センチのヒールを履くので、差は変わらないし。どうあがいても小さいもんは小さい。でも、それで落とされるなら、そんなもんなんだなって思うようにしていましたね。諦めとは違って、私が経験してきたものは負けないと思っていましたし。もし身長で1つ負けるんだったら、他で頑張るし、戦うしかないなって。

順位をつけられるってことに対しては、そういうものなので割り切っていました。誰がどうなっても気にしないって。コンテストである限り、順位はついちゃうからしょうがない。それについたらついたで、その人が自分よりすごかったんだなってだけのこと。自分は足りなかったから、そこへ行けなかったっていう考えでしたね。

——出場者のみなさんはギスギスしてたり…?

よく聞かれます(笑)。ライバルというより仲間意識のほうが強かったです
Face, Hair, Head, Nose, Smile, Mouth, Fun, People, Eye, Hairstyle,

もしかしたら一部では多少のギスギスはあったのかも知れないけど、私が無頓着だからなのかな…(笑)。ライバル関係っていうよりも、良き仲間って感じでしたね。毎週末のようにセミナーや活動があったので、相談し合ったり、「この食べ物が体にイイ」とか情報交換をしたり。一緒に高め合っていくという存在でした。

——最終的に林さんは『ミス・ワールド』審査員特別賞を受賞されましたが、どんなところが評価されたと思いますか?

今まで携わってきたボランティア活動の実績だと思います
Leg, People, Social group, Community, Team, Temple, Service, Picture frame, Company, Collaboration,

JICA』、『国境なき医師団』、『日本ユニセフ協会』などの活動に関心の高かった母の影響もあり、私も昔から興味を持っていました。小学生のときから『WHO』で働きたいなと思ったり、手話をしたり、老人ホームでボランティアをしたりなど、身近なことから、東日本大震災後にはNPOの「冒険遊び場作り協会」、「シャンティ国際ボランティア会」を通して、気仙沼に5月から毎月のように通い、今でも継続して訪れています。

他にも、医療系学生による国際協力隊『euphoria』に所属したり、シェア=国際保健協力市民の会で長期のインターンをしたりしていましたね。純粋に、このような活動をしていきたいんです。

——『ミス・ワールド』に出場して得たことは何ですか?

周りの人に見られるということを意識するようになりました

ミスコン以前から見た目を気にして生きてきたわけではないので「モデルの子と比べられちゃったら、そんなの無理に決まってるじゃん!」って(笑)。でも過去の『ミスワールド』世界大会のファイナリストたちを分析して、品のある外見や華やかさ…自分に自信がある姿などは参考にしていました。それから、いろんなことを共にした30人の仲間と出会えたことも大きいですね。それぞれが活動してきたボランティアの話を聞けたり、将来的なビジョンを語り合えるので楽しいんです。

——林さんにとって"美"とは何ですか?

見た目はある程度必要。でも内面を磨けば、おのずと外見にも表れるはず

自分のやりたいことをやってる人ってキレイですよね。内面を磨くと、おのずと外に出てくると思うんです。自分が1つ、コレ! って決めたものに邁進して、目標を持つことが重要なのかなと。それに自分がしてきたことに自信を持つことも1つの"美"なのかなって思います。

外見だけで勝負する世界に行きたいのであれば、自分に合ったメイク、髪型、服を研究する努力が必要ですよね。「あ、これは自分に似合うな」ってことがわかると、それが自信につながるし。今度、自信が持てるとそれが強みになる。自信を持っている女性は輝いてますから。外見を求めるのであれば磨いて、さらに内面も付随してきたらイイのかなって。

それに自分の言葉に力を持ちたいなら、ある程度の見た目は必要ですよね。コメンテーターの方もキレイな人がしゃべっていると、「ん?」って目に止まる。さらに話している内容がすごかったら、惹き付けられるので。

——学業と芸能、今後はどのような活動に力を入れていく予定でしょうか?

名がないと、どんなに頑張っても伝わらないことがある…と思う

大学院に合格してからは芸能活動も始めて、現在オンエア中のドラマ『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』にも出演しています。以前から気になっていたのが、芸能人っていうバックグラウンドがあるだけで、発言したときの影響力がすごいんですよね。有名になっちゃえば意見が通りやすいし、反映されやすいんだなって、ずっとどこかで思っていました。したたかかもしれないけど、社会を変えるという点では効率的なのかな、って。芸能人として有名になりたいっていうのとはちょっと違う。あくまでも私の軸足は、家族看護なんです。

今後の展望は、児童虐待について研究する予定でしたが、周産期での経験やこの半年の研究から、不妊治療の、特に非配偶者間人工授精で生まれた子どもの福祉に関心があります。日本では精子や卵子提供、養子縁組の時に、子ども本人に遺伝子上の親のことを明かさないことが多くて…。たしかに告知をするってことは、すごくハードルが高い。でも家族を作っていく上で重要なことだし、この問題は今後、絶対増えていくと思うんです。それに今は海外で働くことよりも、日本で働きたいと思うようになりましたね。日本人に生まれた以上は、虐待を含めて、たくさんの社会問題が日本にあるので、向き合っていきたいんです。


美しさや学問を人一倍極めているはずなのに、さらに探求し続けている林さん。表面的な"美"ではなく、芯のある本物を追い求める姿は、きっとミレニアル世代の女性を勇気づけてくれるはず。彼女が今後、日本の社会問題に、どうアプローチしていくのか楽しみで仕方ない!

【林 真由さんから学んだ美を意識して生きるヒント】

  • 女友達はライバルではなく、共に高め合い、刺激し合う存在である
  • 自分のコンプレックスを認め、それ以外で勝負できる部分をつくる
  • 内面から輝くためには過去の経験に自信を持ち、やりたいことや目標を見つけて努力する